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Report

pridePRIDE.13 2001年3月25日(日) 埼玉/さいたまスーパーアリーナ

第2試合 
<メッツァー×イーゲン 感想掲示板:Your Imprssion>
ガイ・メッツアー
(米国/ライオンズ・デン)
1R2分25秒

KO
イーゲン井上
(米国/グラップリング・アンリミテッド)
×

「膠着から攻撃へ Return to the striker」

レポート:井田英登  写真:飯島美奈子

 パンクラス王者時代からコーナーでの膠着ファイトを得意とし、スタンド膠着の代名詞のように「ガイ・メッツァー現象」などといった不名誉な用語まで奉られたメッツアーだが、元はキックボクサー出身であり、スタンドでの華麗なハイキックには定評のある選手でもある。総合転向後、付け込む隙のない手堅い試合を展開してきたせいで、ネガティブな評価を押し付けられてきた観はあるが、逆に言えば勝ちにこだわった渋めのガチンコファイターということになる。先月末には、雨の野外大会という最悪のコンディションの中、アレクサンダー大塚をグラウンドでのヒジ一発で流血ドクターストップに葬るなど、キャリアに裏打ちされた狡猾さも身に付けてもいる。

 現在、UFCミドル級の主役としてを栄華をほしいままにするティト・オーティスとは、師としてあがめるケン・シャムロックをも巻き込んだ抗争を繰り広げた仲であり、ティトVS桜庭戦が喧伝される今、もう一度そのメインストリームに噛み込んでいきたいところだ。

 体格的に一クラス下のイーゲンとの対戦となったことで、メッツアー的にも相手を押さえ込まねばならないプレッシャーから開放されたのだろう、スタンドでのファイトに軽さが見える。内ももにローを走らせてきたイーゲンに、ハイで逆襲してみせる。一方、対するイーゲンは逆にメッツァースタイルを踏襲して、メッツァーをコーナーに押し込んでテイクダウンを狙う。しかし、コーナー際の攻防になればメッツァーの独壇場。両差しでロックしたイーゲンの顔面を押しつぶすように腕を差し込み、脇を差し返すとくるりと体を入れ換え、ヒザを飛ばす。イーゲンが首相撲を挑んでくると素早くボディにパンチを打ち込んで、はなれ際に素早いパンチを走らせる。これにはイーゲンも反応して打ちあいになるが、大振りのフックを見せ餌にタックルに出たイーゲンの捨て身の攻撃は素早く躱して、ヒザをぶち込む。イーゲンとしてはやはり身長差の出にくいグラウンドへ持ち込みたいところなのだろうが、メッツアーは一切付きあわない。業を煮やして放った飛び込みの左フックをカウンターの左右ストレートを合わされ、ぐらつくイーゲン。勝負どころと見たメッツアーは下がるイーゲンに左右のロングフックで追いすがり、ロープに跳ね返ってきたところへの顔面へのヒザ、フォローの右ストレートを畳み込んで、綺麗なノックアウトを奪った。

 大の字の横たわったイーゲンをしり目に、メッツァーはセコンドとしてリングにあがったエンセンに執拗に「何か」を言い募っている姿がみられる。恐らくは引退表明したエンセンに復帰、あるいは対戦要求を突き付けたのではないかと思われるが、硬い表情のエンセンは兄を気づかってリングを降りていく。

 それでも思いの残ったらしいメッツァーはリング上でマイクをとってアピール「エンセン井上選手が引退を表明したと聞いたが、そんなことは認められない。今一番戦いたいのはエンセンなんだ」と英語で語る。リング下でそれを見守っていたエンセンは再びリングに戻り、ファンからはエンセンコールが巻き起こるが、「自分はそんな軽い気持ちで引退を表明したわけじゃない。もし復帰するとしたらもっと自然な形で帰ってくるつもりだし、その時の相手がメッツァーになるにしても、そうでないとしても、今はこういう形で帰るつもりはない。かれは馬鹿なことを言ったなと思う」と真っ向からこれを否定。因縁の対決や、キャラクター性が強調される傾向にあるPRIDEのリングの今の在り方とは一線を画する、エンセンらしい一本気な意志を表明して見せた。

<メッツァー×イーゲン 感想掲示板:Your Imprssion>

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レポート井田英登  写真:飯島美奈子

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