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パンクラス 2000.2.27 PANCRASE 2000 TRANS TOUR 梅田ステラホール大会

メイン・イベント 無差別級ランキング戦 15分1本勝負 
× 無差別級6位
柳澤龍志
判定3-0
30-29,30-29,30-29
(柳澤にイエロー1)
菊田早苗

photo 菊田早苗は昨年6月のパンクラス入団以来、現在まで一敗も喫していない。パンクラスのルール設定が菊田にとって有利に働いている、というのもひとつの理由である。しかし実際は、菊田の実力がパンクラス入団以降より一層、顕在化しただけのことにすぎない。菊田はその戦歴が物語るように、フリーの時代からありとあらゆる経験を重ね、同時に辛酸を舐めてきた格闘家である。「96年VTJ」、「RINGS」、「PRIDE2」、「PRIDE4」、さらに修斗…。さまざまなリングに登場した経験もあり、その実力たるや誰もが認める存在である。しかし菊田はこれらの「大舞台」と呼ばれるリング上で一身に大歓声を浴びた経験がない。それは彼自身が決して華やかな技で秒殺を狙うタイプではなく、プロレスラー風のエンターテインメント性あふれる展開をするタイプでもなく、ただじっくりと攻め、相手を一つひとつ崩していく彼独特のファイティングスタイルのためであろう。菊田が常に「グラップラー」と呼ばれる所以でもある。菊田早苗はそんな独特のスタイルを築いた真の「格闘家」である。そんな「格闘家」菊田が入団以来、初のランキング戦に挑む。対する相手はランキング6位の柳沢龍志である。15分1ラウンド、延長は認められていない。


photo 開始数分でマウントを奪った菊田が、パンチラッシュを放つ。その後肩固めの体勢に入るがここは間一髪、ブリッジで交わし上になる柳沢。ここから展開せずブレイク。タックルからテイクダウンの菊田がまたしてもパンチ攻撃。しかしいつもと違う点はここで一気に決められないところだ。10分を経過した頃から両者とも疲労の色を濃くしてきたが、菊田の疲労がいつになく激しい。ブレイクの後、スタンドでの打撃で柳沢が菊田の後頭部への攻撃をしたために試合が一時中断。柳沢にレッドカードが言い渡された。残り時間2分を切ったところで、柳沢の右ハイキックを交わしてタックルからバックに廻る菊田。再びグラウンドでの攻防。残り20秒で上から柳沢がアンクルを狙うがここでタイムアウト。

 判定3-0による勝利を飾った菊田であるが、この日の体調は悪く高熱を押しての出場であった。とはいえ、菊田の今回の勝利は、持ち前のポジショニングと寝技の実力を十分に証明することとなった。更にランキング入りも確実にした。かつての「さすらいの格闘家」がパンクラスの新風としてスタートを切り、このまま何処まで突き進むことが出来るのか?あるいはこの菊田の勢いを誰が止めることが出来るのか?その動向に注目が集まるはずである。

(藤間敦子)


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取材:藤間敦子  写真:井田英登

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