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Report

マーシャルアーツ日本キックボクシング連盟
"『闘い続ける男たち』パート2"
2001年6月15日(金)東京・後楽園ホール

「修斗ライト級阿部、サムライルールで佐藤堅一から一本。山上、ミドル王座防衛」

レポート:井原芳徳,新小田哲

メインイベント ミドル級選手権/5回戦 
同級王者
山上健吾
(花澤)
判定2-0

49-48,49-49,49-48
同級1位
マグナム酒井
(士道館)
×

第11試合 特別試合 67kg契約/サムライルール 
× MAウェルター級王者
佐藤堅一
(士道館)
2nd. stage 1R1'13"

腕ひしぎ十字固め
プロ修斗ライト級7位
阿部裕幸
(RJWセントラル)

 サムライルールは、1st. stageと2nd. stageでルールが異なる。1st. stageは3分2Rで肘無し、投げありのキックボクシングルール。インターバル2分の後、2nd. stageは5分2Rでオープンフィンガーグローブ着用のグラップリングルール。グラウンドの攻防は1分間まで。つまり1st. stageはストライカーの佐藤、2nd. stageは阿部に有利なルールといえよう。佐藤はこのルールで2連勝中。敵地に乗り込んできた阿部のセコンドには、同僚の宇野薫、打撃の練習仲間の前田憲作、港太郎がつく。

 予想どおり佐藤のキックが阿部を苦しめる。最初の左ローで早くも阿部はふらつき腰が引けた状態だ。佐藤は執拗に左ローを叩き込む。阿部はレスラー本能むき出しに組み付き、ロープやコーナーに押し込んで打撃を封じる動きの繰り返し。佐藤も離れる度にキックで脅かすが、簡単に組み付かれてしまうと攻め手がない。苛立ちの表情を見せながら阿部の後頭部をグローブで叩き続ける。結局阿部はローや膝蹴りに苦しみながらも1st. stageを耐え抜き、ボクシンググローブをいつもの修斗グローブに付け替え得意なルールのステージを迎える。

 こうなると阿部の独壇場だ。低く構えてタックルのプレッシャーをかけると、佐藤は一歩ずつ後ずさりする。ついにロープ近くまで追い込むと、阿部が飛び込みあっさりテイクダウン。すかさずマウントポジションを取りパンチを連打し腕十字へ。佐藤も全く寝技の心得が無かったわけではなく、いったん体を反転させて防御するが、阿部は下の態勢になっても腕を極め続け、ついに佐藤はタップ。阿部がルールを活かして逆転勝利をおさめた。
 勝った阿部も負けた佐藤も、違うジャンルのトップ級の選手と闘えたことに揃って満足な様子だったのが非常に印象的だった。

阿部のコメント
「今はほっとしてます。もうコンテンダーズ(6月10日:vs. 若林次郎)で負けたから引退しようかと。コンテンダーズで今までで一番不甲斐ない思いをしたんで。今回は逆に相手が打撃のスペシャリストだったんで、半分恐怖で、半分ワクワクする感じで。一緒に練習していた前田憲作さんや港太郎選手が来てくれて、(落ち込んでいた)気持ちが入れ替わりました。
(今日の試合について)佐藤選手のヒザ、1回ミゾオチに入ってるんですよね。キツかったです。ローも痛かったけど、魔人ラッシュがイメージにあったので、それに比べるとまだ良かった。2ラウンドまでどうしようかと思いましたよ。左のミドルや前蹴りを港選手と練習してたんですけど、ぜんぜん試合で出せなくて。やっぱり、気が付いたらタックル入ってましたね。(タックルで組み付いて佐藤の打撃を封じたのは)作戦だったわけじゃないです。もっと前蹴りで突き放して自分が動いて、パンチを打っては離れるというイメージをしていたんですけどね。セコンドに動け動けと言われてたけど、気が付いたらタックルしてて。2R終わって、(セカンドステージに入って)もう行くしかないなと。腕十字じゃなくスリーパーを取るつもりだったけど、気が付いたら十字の態勢になっていたので、もう取るしかないなと。最後は自然に体が動きました。(佐藤の)ローは完全には当たっていなかったです。キックの練習で港選手たちに嫌というほど蹴られましたんで。オープンフィンガーグローブの恐怖感はなかったです。キックボクシングのグローブのほうが、“これで殴られたら倒れちゃうな”と思いました。組み付かれて後頭部を殴られたのはさすがに効きました。結構クラクラしました。
(またこのルールでやりたいですか?の質問に、即答で)もういいです。餅は餅屋なんで。でもこういうのを体験したかったんですよ。チャンピオンの人と。試合の緊張感を自分の中で忘れてた部分があるんで、自分のモチベーションを高めたという面ではプラスになったと思います。次の試合は修斗です。もちろん(と言いながら腰の回りにベルトを巻く仕草)」
 
佐藤のコメント
「まず阿部選手に対して、尊敬できるファイターであるということが言いたいですね。今、ルールや体重差にケチを付けて自分の土俵から出ない格闘家が多いけど、強さを追及する格闘家なら、土俵を外していろんなことに挑戦していくことが大事だと思うんですよ。そんな中で阿部選手は快く今日の試合を引き受けてくれて、あえて自分から土俵の外で闘ってくれた勇気を尊敬してます。
 今回寝技の練習は直前に高田道場で一回だけ、あとは元バトラーツの土方選手とちょっとだけ。あと今日は関節の怖さを身をもって感じられてかなりいい経験になりました。セカンドステージはもっとキレて行っちゃえば良かったと思いますね。変に守りに入っちゃったんですよね。でも、総合の試合にもチャンスがあれば上がるんで。将来的にはPRIDEも目指しますよ。これで(阿部所属の)慧舟會さんにも出稽古に行けますし、サムライルールがどんどん交流の深まる場になって、世界平和につながればいいんですよ。それが僕が目指す最終目標です。
 試合の場で一流の選手と肌を合わせられたのが良かったですね。十字も一瞬逃げられたと思ったんですけど、下から来るじゃないですか?ああいうのがやっぱり凄いなと思うし。素人考えで十字は上に乗られて極まるもんだと思ってて、ああやって逃れたら極まらないという意識があるじゃないですか? それが(1回逃れたところで)大丈夫かと思ったら、あれ!?って(笑)。」

第10試合 60.5kg契約/5回戦 
× フェザー級1位
カズ工藤
(士道館新座)
5R1'46"

TKO(ドクターストップ)
ライト級3位
木村允
(土浦)
※木村が5Rに左ヒジで工藤の額をカット

第9試合 ライト級/5回戦 
× 同級4位
水町浩
(士道館)
判定0-3

49-50,47-50,49-50
元NJKF同級2位
笹羅崇裕
(仙台青葉)



第8試合 54.5kg契約/4回戦
バンタム級1位    バンタム級5位
阿部之泰彦(東金) 対 高橋拓也(習志野)
勝者:阿部之泰彦 判定2-0[40-38,39-39,40-37]

第7試合 フェザー級/3回戦(1R2分)
奥津伊久磨(東金) 対 中西一寛(谷山)
勝者:中西一寛  判定0-2[29-30,30-30,29-30]

第6試合 フェザー級/3回戦(1R2分)
関口一幸(士道館) 対 角田哲(ビクトリー)
ドロー 判定0-1[30-30,29-30,30-30]

第5試合 ウェルター級/3回戦(1R2分)
岩楯智篤(士道館) 対 犬走健二(白龍)
勝者:岩楯知篤  判定3-0[30-28,30-29,30-28]

第4試合 ヘビー級/3回戦(1R2分)
神谷友和(士道館) 対 トルネード・ラウアー(仙台青葉)
勝者:神谷友和 KO 2R 1'41"(2ダウン)

第3試合 ウェルター級/3回戦(1R2分)
松本俊太郎(士道館) 対 東金ランボー(東金)
ドロー 判定0-1[29-30,30-30,30-30]

第2試合 ライト級/3回戦(1R2分)
吉田琢人(士道館新座) 対 中村玄志(山木)
ドロー 判定0-1[30-30,29-30,30-30]

第1試合 ライト級/3回戦(1R2分)
滝沢直樹(士道館) 対 佐川借三(谷山)
ドロー 判定1-0[29-29,30-28,29-29]

レポート:新小田哲,井原芳徳  写真:飯島美奈子

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