2Rになると西山がスピードの差を生かしてワンツー、左フックと立て続けにヒットさせ、井上に鼻血を噴き出させる。しかし辛抱強くチャンスをうかがっていた井上は、左フックから一気に踏み込むと右肘一閃。すると西山の眉間の辺りが切り裂かれ、見る間に血が滴り落ちる。それを見たレフェリーはドクターチェックを要請。その傷の深さにドクターは続行不可能の判断を下し、井上のTKO勝ちが告げられた。飛びあがって喜びを表すMAライト級王者。
「注目された試合でしたから、チャンピオンになった時より嬉しいです」と喜びを隠さない井上。しかしそれ以上に拘っていた肘で勝てた方が嬉しかったのはないだろうか? なにしろ「練習時間の半分以上を肘(の練習)に当ててますから」。これまでそのスタイルから地味な中堅王者という評価を脱しなかった井上だが、これでその評価から一変するかもしれない。それくらい貴重な勝利だった。これで戦績は26戦12勝(5KO)7敗7分。
一方、初黒星を喫した西山は、「今回は減量も楽でコンディションもよかったのに・・・」と悔しさを隠す事が出来ない。「相手の攻撃は見えていたし、肘の距離に入らないように警戒もしていた。どちらかというと肘よりローの方を警戒していた。油断してたわけではない。相手は(肘を)温存してましたね。やられた。かっこ悪い。この借りはいつか返す」。
西山の動きは悪くなかった。1Rの時点では井上を上回る動きで攻撃も的確だった。敗因をあえて挙げるなら、攻撃を見すぎたというところか。井上のパンチの軌道を完璧に読んでいたが、それがあだになってベテランの執念の一撃をくらったのではないか。西山はこれで8戦7勝(4KO)1敗。
この敗戦は西山にとってショックだったろうが、それほど商品価値は落ちたわけではない。最後の肘の一撃は仕方ないにしろ、前半メジャー団体の王者相手に互角以上に渡りあった点は高く評価していい。ガラスの天才でないかぎり、西山の活躍はこれからも期待できるだろう。
第5試合 J-NETWORK・MA対抗戦 ヘビー級/5回戦(下2枚写真)
長谷川康也(アクティブJ) 対 サンダーシンジ(マイウェイ)
勝者:長谷川康也 判定3-0[50-46,50-45,50-45]
第4試合 J-NETWORK・MA対抗戦 ライト級/3回戦
北野裕治(ソーチタラダ) 対 ステルス牧野(山木)
勝者:北野裕治 判定3-0[30-27,30-27,30-27]
第3試合 ライト級/3回戦(1R2分)
喜入衆(アクティブJ) 対 内田秀樹(サバーイ町田)
ドロー 判定0-0[30-30,29-29,30-30]
第2試合 フェザー級/3回戦(1R2分)
太郎(アクティブJ) 対 藤曲シン(谷山)
勝者:藤曲シン KO 2R2分02秒
第1試合 71Kg契約/3回戦(1R2分)
倉本武皇(アクティブJ) 対 碓氷早矢手(ソーチタラダ)
勝者:倉本武皇 判定2-0[30-29,29-29,30-29]
第1試合前にJ-NETの年間表彰が行われた。MVP受賞の増田博正が挨拶。