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Report


ニュージャパンキックボクシング連盟・日本キックボクシング連盟 合同興行
 "CHALLENGE TO MUAI-THAI 3/2001激動シリーズ"
2001年2月17日(土)東京・後楽園ホール

「小野瀬不完全燃焼。松浦は首相撲地獄に轟沈」

レポート:新小田哲  写真:薮本直美

  

第11試合 ダブルメインイベント タイvs日本国際戦 147lbs契約/5回戦 
ルンピニーJミドル級7位
チョッチョーイ・チューチョークチャイ
(タイ)
判定0-0

49-49,50-50,49-49
日本キックウェルター級王者
小野瀬邦英
(渡辺)

タイの現役ランカーと小野瀬邦英が対戦したこの一戦は戦前大きな期待を煽ったが、終わってみるとルール問題で後味の悪さを残す結末になってしまった。

小野瀬はいつも通り得意の左ブローを振るって前に出るがチョッチョーイはうまく距離を殺し首相撲からの膝蹴りを狙う。前半はガードしていた小野瀬だが、中盤からはチョッチョーイが膝を入れるシーンが目立つようになる。最終回、必至の形相で前に出る小野瀬がボディ、ローをヒットさせる場面も見られたが、タイ人は前蹴り、ジャブでいなし最後まで決定打をもらう場面はなかった。ゴングと同時に小野瀬本人もリングを降りようとするなど、会場も小野瀬敗北のムードが流れていたが、ジャッジは3者ともドロー。場内からは不満のブーイングも聞こえた。

試合後の小野瀬は「こんな結果ならハイキックできれいに倒された方がまだよかった。タイの強い人とやると今日の選手に限らず、誰とやっても同じ結果になりますよ。それにああいうタイプとやって勝ちたいとも思わない」と最後まで納得のいかない表情だった。希望する対戦相手として「一人いるけど今日勝てなかったから言えない。実現するのは難しいだろうけど打ち合って倒し合いが出来る人と。(それは日本人選手?との問いに)ええ。引退する前にやれれば」と言外に武田幸三の名をほのめかした。小野瀬の戦績は26戦21勝(17KO)4敗1 分。

確かに、NJKFと日本キック連盟が手を結んだ初の興行で小野瀬邦英という国内屈指の魅力的なタレントとムエタイの強豪選手がマッチメイクされた意義は大きい。ただ、今日の相手のようなスタイルだと小野瀬の良さを殺すことになりかねない。一考の余地があるだろう。

小野瀬と対戦したチョッチョーイは「4Rに小野瀬が額に噛み付いてきた。こんなことする奴とは2度とやりたくない。タイだったら反則だ」として激怒。日本でももちろん反則のはずなのだが、レフェリーは口頭で小野瀬に注意したのみ。小野瀬本人は「首相撲の攻防の時に口を開けたらたまたま歯があたっただけ」と言っていたが・・・。このシーンは多くの報道陣、観客も目にしており、ファイティングスピリットは認めるとしても、小野瀬はオーローノ戦でも噛み付いた「前科」があるだけに、それとは別の問題。ジャッジは毅然とした態度をとるべきだった。

それだけでなく、メインのジャッジに対して内外から不満の声が聞こえてきたのは事実。これが日本キック連盟のジャッジ陣によるダメージ重視の連盟採点だと言われればそれまでだが、合同興行である以上、ジャッジに対しても何らかの統一見解は必要だろう。そうでないと、見る側、選手側双方に混乱が生じてくるのは確実と思われる。

第10試合 ダブルメインイベント タイvs日本国際戦 147lbs契約/5回戦 
タイ国ウェルター級
コンパタピー・ソー・スマリー
(タイ)
3R2分47秒

KO
NJKFウェルター級王者
松浦信次
(東京北星)
×

4年ぶりに対ムエタイ戦に挑んだ松浦だったが、ベテランタイ人コンパタピーの首相撲からの膝蹴りに5度倒される一方的な敗戦を喫した。
序盤左ミドルを連打するコンパタピーに対し慎重に距離をとってパンチを飛ばす松浦だったが、2Rから首相撲に捕らえられるとその後は重い膝蹴りをもらい続け、2R終盤に立て続けに2度のダウン。そして3Rにも必死の反撃もむなしく膝蹴りに捕まり、3度のダウンを喫してKO負けした。松浦はこれで28戦13勝(9KO)12敗3分。

第9試合 日本キック連盟×K-U交流戦 53kg契約/5回戦 
× 日本キックバンタム級1位
尾崎英樹
(ピコイ錦)
2R2分24秒

KO
K-Uフライ級1位
唐沢たくみ
(八王子FSG)

4位海老沢朋和にKO勝ち、王者田村健治に引き分けと日本キック連盟のバンタム級を荒らしまわるK-U軽量級のエース唐沢は、入場時にピンクラメのマント、さらに白に虹色をあしらったフェイクファーのトランクスで観客の度肝を抜く。
さらに試合でも素早いフットワークから激しい出入りでロー、ミドルを自在に当て1位の尾崎を翻弄。そして2R、ミドルの連打から鮮やかな右ハイキックで尾崎をKOした。
これで戦績を9戦7勝(6KO)1敗1分とした唐沢、「次も新しいコスチュームでみんなを驚かせます」と宣言。タイトルマッチにも興味を示した。4団体の軽量級でも台風の目となっていきそうな雰囲気だ。尾崎はこれで31戦18勝(10KO)7 敗6分。

第8試合 日本×タイ国際戦 68kg契約/5回戦 
× NJKFウェルター級5位
中村篤史
(北流会君津)
2R2分24秒

KO
元IMF世界ウェルター級王者
チャイナロン・ゲォサムリット
(タイ)

かつては小野瀬邦英、松浦信次らと激闘を展開、およそ2年ぶりの試合となるチャイナロンが中村篤史を問題にせず完勝した。
細かいパンチやローで突破口を開きたい中村に、2年前と変わらない見事な超合金ボディのチャイナロンは全く動じる様子がない。左フックからローのコンビネーションで中村のバランスを崩し、再三リングに転がしあしらってみせる。萎縮した感じが見られる中村に対しチャイナロンは、パンチのコンビネーションから右ストーレートを強打しまずダウンを奪うと、さらに強烈な右で中村をキャンバスに逆戻りさせ、レフェリーのストップを呼び込みKO勝利を飾った。「練習はしてたけど風邪で体調悪くて勝てるか少し心配だった」というチャイナロン、今後については「ニュージーランドで試合の予定はあるけど、もう日本では試合はしない」と現役引退を示唆した。チャイナロンはこれで67戦49勝(13KO)18敗。中村は12戦7勝(3KO)4敗1分。

第7試合 NJKF・日本キック交流戦 ライト級/5回戦 
NJKFライト級5位
ソムチャーイ高津
(小国)
判定3-0

50-46,50-46,50-46
日本キックライト級
神島雄一
(杉並)
×

一時期のスランプから完全に脱した感のあるNJKFのベテラン、ソムチャーイ高津が技術の差を見せ付けて日本キックの神島雄一に完勝した。
初回長いリーチから左フックをボディに伸ばす神島だが、ソムチャーイは中盤以降これを見切り、前に出ながらのテンカオ、右ストレートをうまく当て、得意の首相撲から肘、膝へ。2R以降は一方的な展開で、特にソムチャーイの右ストレート、肘が有効にヒット。そして首相撲で神島の攻撃を完璧に封じる。終盤にはパンチや肘を受けた神島の額に大きなタンコブが出来ドクターチェックを受ける場面もあったが、結局このまま大差でソムチャーイが判定勝利をものにした。
ソムチャーイはこれで30戦13勝(7KO)11敗6分。来週にはタイに渡り現地で試合の予定があるという。一方の神島は12戦6勝(4KO)5敗1分。


第6試合 NJKF・APKF交流戦 70Kg契約/3回戦
宮園泰人(ウィラサクレック) 対 本山大(飯岡)
勝者:宮園泰人 判定3-0[30-28,30-28,30-27]

第5試合 NJKF・日本キック交流戦 フェザー級/3回戦
平吹貴仁(町田金子) 対 児玉正暁(ピコイ錦)
勝者:児玉正暁 KO 3R0分52秒

第4試合 NJKF・日本キック交流戦 ライト級/3回戦
山本雅美(北流会君津) 対 山田大輔(杉並)
勝者:山田大輔 判定0-3[26-28,26-28,26-28]

第3試合 NJKF・日本キック交流戦 ライト級/3回戦
渡辺秀策(小国) 対 武笠則康(渡辺)
ドロー 判定1-0[29-28,28-28,28-28]

第2試合 NJKF・日本キック交流戦 フェザー級/3回戦
名取宏泰(東京北星) 対 松本隆史(村越)
※松本の「まつ」の字は実際は木偏に船の右側で一文字。読みは「まつもと」。
勝者:松本隆史 KO 2R0分44秒

第1試合 NJKF・APKF交流戦 ミドル級/3回戦
篠根理孝(拳友会) 対 鈴木祐一(光)
勝者:篠根理孝 判定3-0[30-28,30-28,30-29]

レポート:新小田哲  写真:薮本直美

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