無敗のバンタム級王者大谷則之がベテランタイ人アラビア長谷川に挑んだ一戦は、技術と経験の差を見せ付けられた末の完敗だった。
大谷は昨年1月に山本ノボルを判定に下してわずか5戦目で王座に就いた若きチャンピオン。その後防衛戦では田中信一を老獪な戦術で下したが、未だ評価は定まっていない。今回の長谷川戦は彼にとって王者としての試金石になるはずの一戦だった。
タイ人のアラビア長谷川は元ルンピニーのランカー、というよりは長らく日本人に取って壁であり続けた老獪なテクニシャンといった方が通りがいいかもしれない。何しろ下はフライ級から上はライト級まで階級や団体を問わずに出場、その絶妙なインサイドワークで多くの日本人選手を弄んだ末に退けてきた。
初回大谷はフェイントからワンツー、ロー、ハイキックと多彩な技を繰り出すが長谷川は笑顔のままこれらをスウェーバックでかわし、鋭い右ストレート、ローを単発で出していく。
以降大谷の攻撃をいなしてはカウンターの右ストレート、ミドルを入れる長谷川、という構図が続く。長谷川は終始笑顔を浮かべたまま、これには場内から「まじめにやれ」とブーイングも飛んだが肝心の大谷はすっかり腰が引けてしまって攻め込めない。
中盤以降、省エネモードにシフトを転換した長谷川が首相撲で大谷を振り回し、大谷はそれに為されるがまま。
結局大谷は長谷川の笑顔すら消すことも出来ずに試合終了のゴング。ジャッジの一人は5ポイント差をつける大差で長谷川が勝利した。
思わぬ形で若さを露呈した大谷はこれで7戦6勝(3KO)1敗。長谷川は日本での戦績を20戦13勝(5KO)7敗とした。
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