日本ライト級選手権は、王者石井宏樹が万全の内容で挑戦者中川タカシを圧倒。挑戦者の得意とする首相撲を完封して防衛に成功した。
中川は昨年、層の厚いライト級の中で5R通じて繰り出す首相撲と、精力的に前に出るスタミナと精神力を武器に3連勝し、ここまで上がってきた。石井とは一昨年10月に対戦、判定負けしているが、どちらかといえば石井の苦手とするタイプではある。
石井はこのクラス随一のスピードとハイセンスなテクニックの持ち主。昨年1月の同級タイトルマッチで当時の王者鷹山真吾に挑戦、KO勝利で王者に就いた。今回が初防衛戦となる。昨年は5月にラジャ前王者と引き分けたり、12月のタイ遠征でタイ人に完敗を喫し涙にくれるなど厳しい試練も経験してきた。
ゴング直後から首相撲を狙ってくる中川に対し、石井はそれを嫌ってフットワークを駆使して距離をとり、パンチからローを飛ばす。中川が組み付いてくるとうまくロープに押し込んでつぶしてみせた。
石井はフットワークで距離をとりつつ左とローで突き放しタイミングを見計らい、ワンツースリーからのラッシュで襲いかかる。中川の戦略はただ一つ、首相撲からの膝蹴りのみ。しかし誤算だったのは意外と石井が首相撲に対処しており、ガードに阻まれて思うようにポイントを稼ぐことが出来なかったこと。逆に石井が首相撲の状態から肘を打ち込んでたじろがせる場面もあった。
結局、全ラウンドを通じて石井がペースを握り続ける。3、5Rにはラッシュで明白なポイントを奪い、最終ラウンドの中川の必死の抵抗も凌ぎ完勝で防衛に成功した。石井はこれで17戦11勝(3KO)3敗3分。敗れた中川は20戦11勝(3KO)
6敗3分。
石井の試合は各ラウンド毎で見てみるとそれぞれに山場はあるのだが、全ラウンド通してみると平板な印象になることが多い。これは石井のスタイルの長所でもあり、短所でもある。KOばかりがキックの魅力という気はないが、石井のクレバーさ、テクニックの高さと安定度を堪能する一方で、若干の物足りなさを感じずにはいられないのだ。このまま超絶技巧を追求するというなら文句はないが、技術だけでは越えられないものもある。
時には石井の狂気も見てみたい。
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