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Report

シルバーウルフ主催 ウルフレボリューション 〜2nd WAVE〜
2001年1月12日 ZEPP TOKYO(観客数1220人/満員:主催者発表)

「魔裟斗、モロッコの怪人を蹴散らす」

レポート:井田英登

※全試合肘なしキックルール

第6試合 ダブルメインイベント第2試合 68キロ契約3分5R 
ISKA世界ウェルター級王者
魔裟斗
(シルバーウルフ)
3R 1'26"

TKO
WPKL世界ムエタイ・ウェルター級王者/世界キックボクシング・ウェルター級王者
モハメッド・オワリ
(モロッコ)
×

 一度は対戦が発表されながら、魔裟斗の全日本キック離脱によって幻となっていたカードが、丸一年のブランクを経て実現する事ととなった。緩急のあるフットワークを使いながら、重いパンチを繰り出してくるオワリに対し、魔裟斗はロー中心にして慎重なスタート。2Rになってもじっくりと構える対戦相手に焦れたのか、オワリは派手なバックスピンキック、バックブロー、またもやバックスピンと派手な大技三連打を見せる。対する魔裟斗もすかさず左右のストレートを返して、オワリのプレッシャーを押し戻すが、早い右ローを打ち込んで深追いはしない。
 試合が動いたのは3R。左右のワンツーに続いて、打ち込んだ魔裟斗の右ローでオワリの下半身が左へかしぐ。ここまで執拗ローでダメージを蓄積させたのが効力を発し始めたようだ。オワリも飛び込んでのアッパーを放って反攻を試みるが、魔裟斗の右ローは徹底してオワリのヒザを攻め付ける。パンチでコーナーに詰めての離れ際、遠間からの飛び込みと3Rも容赦なくたたき込まれたローに、ついにオワリの体が反転するようにかしいだ。まさにそれはオワリの古傷の個所でもあり、これ以上の抵抗は無用と見たセコンドがタオルを投入。モロッコの怪人と呼ばれた男は、マットに倒れ伏せることも許されないまま敗れ去った。
 試合後、マイクを取った魔裟斗は「もっと感動してもらえる試合をしたかったんですけど、相手にはもう少し頑張って欲しかったですね」と余裕のコメントを残し、またバックステージでは「外人も一通り強いやつとやったんで、そろそろお客さんの望むカードをやる時期かなと思いますね」と、噂される小比類巻との決戦に打って出る決意をのぞかせた。一方敗れたオワリはバックステージで「私は左ヒザの靭帯に古傷があり、そこをたまたま攻められたために試合を続行できなかっただけ。魔裟斗には負けたとは思っていない。サリも偶然の一発をもらったとしか思えない試合だったし、魔裟斗が強いかどうかはわからないな」と吠えたが、だらんと延ばされた左足に負ったダメージまではごまかしようもない様子だった。

第5試合 ダブルメインイベント第1試合 69キロ契約3分5R 
× ISKA世界スーパーウェルター級王者
小比類巻貴之
(チーム・ドラゴン)
判定

2-0
ルンピニースタジアム・ジュニアミドル級8位:ISKA世界ムエタイ/WTMA世界スーパーウェルター級王者
ダニエル・ドーソン
(オーストラリア)

 ライバル魔裟斗のホームグラウンドに迎えられての「客演」となった小比類巻。“ダブル・メインイベント”という最高級の待遇はやはり、来るべき両者の対決に向けてのエールに他ならない。昨年末のドームでは伏兵ウィルフレッド・モンターニュの粘り強い攻めに苦しめられながら、逆転KOを見せ精神面での成長を伺わせた。だが今回の対戦相手ダニエル・ドーソンはシェーン・チャップマンを破るなど、結構な強豪である。武器は肩口から伸びてくる右ストレートを中心にした右、右の変則的なコンビネーション。右ローを出したかと思うと、かぶせて同じ右からストレートを放ったり、前蹴りのモーションでリズムを崩しておいて、ストレート、そしてローとつないだりといった、相手のリズムを崩しての攻めが続く。序盤こそじっくり構えて、撃ち合いに付きあわず、緩急のあるコンビネーションで試合をリードしようとした小比類巻だったが、この変速リズムに攻め手を封じられ次第に押し込まれる展開が目立ち始める。特に後半の4、5Rは、試合後自ら「完全に向こうのペースにのせられて、何をやっていいか判らなくなった」と述懐するように、完全にドーソンのペースで攻め込まれ、単調に左ハイを振り回す展開に終始した。

第4試合 72キロ契約3分5R 
ISKA世界ミドル級王者
大野崇
(正道会館)
判定

3-0
WMTAオーストラリアミドル級王者
チャド・ウォーカー
(オーストラリア)
×

 ムエタイスタイルを得意とするウォーカーは、今回の肘なしスタイルのルールでは武器があまりに無い選手。右のキック以外には見るべき武器もなく、スタミナの切れた後半は、ひたすらクリンチとさば折りで大野の攻撃を封じることしか出来ない。そのうえ、組んだ大野を首投げにしてとにかく試合の流れを中断させる上に、バッティングまでする。このラフな展開に、中盤以降スロースターターの大野もほとんどけんか腰で応じ、バックスピンや胴回し蹴りの大技のほか、グラウンドに転がったドーソンの背中を蹴り付けるようなシーンも見られ、逆に感情をあらわにしない大野の闘志をのぞかせる結果となった。


第3試合 67キロ契約3分5R
×イゴール(オクタゴンプロ)
○隼人(PHOENIX)
1R 1'24"TKO

第2試合 59キロ契約3分5R
△大宮司進(正道会館)
△梅下湧暉(谷山ジム)
判定1-0

第1試合 ヘビー級特別試合3分5R
○柳澤龍志(チームドラゴン)
×園田隆(A3 GYM)
4R 3'00" TKO

※このレポートの中で第四試合に出場したチャド・ウォーカー選手を「オリバー・オーセン」と表記しておりましたがこれは誤りです。訂正して、お詫びさせていただきます。

レポート:井田英登  写真:菊地奈々子

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