野村はタイ国内で二十戦以上のキャリアを持つ選手。テレビマッチでのKO勝利やビルマボクシングの出場経験もある。
試合開始当初、サウスポーに構えるサンソロン。しかし攻撃しながら時折構えをスウィッチして見せる。一方の野村はサンソロンのスウィッチに戸惑いながらも右のローキックを繰り出し、何発かヒットさせる。
相手がスウィッチするせいなのか、野村は足を揃えて歩くような構えで右のローを繰り出す。スイッチするサンソロンに対して右だけではなく左のローも混ぜて蹴り臨機応変に対処。サンソロンは左奥足への右ローが効き始めたのかオーソドックスに構えて前足を上げることが多くなる。
やや野村優勢の展開に焦れたのかサンソロンが距離を詰め、首相撲を仕掛ける。しかし、野村は振り回すようにこれを投げ、同体で倒し難なくやり過ごす。
ときどき当たる右ローが少し効き始めたと思えた頃、突然野村がノーガードからフェイントをかけて突進しローとパンチを上下に散らし始める。
その瞬間だった。足が揃った野村のアゴにサンソロンが左肘一閃。野村は真後ろに倒れダウン。
すぐ立ち上がった野村はガードをあげ、再びローとパンチで自分のペースを取り戻そうとするが、サンソロンは一気に畳み込み、野村をコーナーに追いつめて右肘を連発。
クリンチになり、レフェリーにブレイクを命じられるが、試合再開直後、サンソロンがグローブで野村の顔面を指し示しながらアピール。
すぐにレフェリーがドクターを呼び傷口のチェックが始まる。傷は眉と鼻にかけてざっくりと裂けており試合続行不可能。レフェリーストップでタイ側が2勝目をあげた。
野村はリングを降りるとすぐ病院へ。傷は十七針縫う大裂傷だった。