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Report

全日本キックボクシング連盟 「LEGEND-VIII」
2000年9月13日(水)東京・後楽園ホール

第10試合 メインイベント 日本・ニュージーランド国際戦 70kg契約/5回戦 
× WKA世界ムエタイ・スーパーウェルター級王者/全日本ミドル級王者
新田明臣
(S.V.G.)
判定1-2

49-48,48-49,48-49
WFSB世界ムエタイ・ミドル級王者
ジェイン・チャップマン
(ニュージーランド)


「新田、1年前の雪辱晴らせず」

年11月以来、国際戦4連勝を含む6連勝と絶好調の新田。その間に全日本ミドル級、WKA世界ムエタイ・スーパーウェルター級の二本のベルトも獲得し、小林聡と並んで今やすっかり全日本の顔となった感がある。11月に開催予定の「K−1中量級大会(大会名未定)」にもラインナップが噂される彼にとって、今回対戦するシェイン・チャップマンは是が非とも勝っておかねばならない相手だ。

両者は昨年5月に対戦。序盤からチャップマンのパンチと前蹴りに苦しめられ、肘で額を切り裂かれる屈辱も受けた。後半右ストレートとローキックで巻き返しドロー裁定にこぎ着けたが、新田自身は「自分の負けです」というほどの納得のいかない一戦だった。
その後チャップマンはジョン・ウェインやデットパヤックといった強豪を撃破し名をあげていく。今年5月にこの二人の再戦がマッチメイクされたが、これはチャップマンの怪我により延期。今大会満を持しての一戦となったが、あれから両者とも実績を積み、現在絶好調なだけに互いに「今度こそはっきりした決着をつけて勝ってやる」と思っていることだろう。
ただ、一つだけ新田に心配することがあるとすれば、左足に分厚く巻かれたサポーター。前回のマテオ・シャッカ戦で蹴りを出した際に「足が抜けた様になって」痛めたとのこと。そのため、「蹴る分には支障はないけど、スウェーとかされて空振りするとキツいから、スパーリングが思ったように出来なかったです」。

ングと同時にまずチャップマンが襲いかかる。左ジャブからパンチの3連打、右ミドル、さらに右ストレートを叩き付ける。新田左ミドルで押し戻そうとするが、なかなか勢いは止まらない。左フック→右ボディ→右ロー→右ハイとパワフルなパンチを軸に止まらない連打でどんどん前に出る。新田もブロッキングやスウェーで冷静に対処するものの、チャップマンは完全にペースを掴んでしまう。新田は試合後「初回で流れを掴まれたのが痛かった。僕も序盤で流れを作るタイプなんで、ああやってこられちゃうと・・・」と反省する。さらに肘まで繰り出すチャップマンだったが、初回終了近くには打ち疲れたのか足を使い始める。この辺りに反撃の糸口があるか?

2R。チャップマンの相変わらずパワフルなミドルやフック、前蹴りになかなか前に出られない新田だが、新田は右ローキック、それも左足内股へのインローを多様。これが効果的にヒット、新田も「手応えがあった」と言うがチャップマン再三ローブローをアピール。ただ新田それ以外に目立った攻撃は出せず。

R、オーソドックス(右構え)にスィッチした新田、右ローでチャップマンの左足にダメージを与えようと試みる。しかしチャップマン、再びワンツースリーからのミドルで前進、さらにハイキックの連打で新田を後退させる。負けじと新田、前に出ようとするがここでチャップマン、テンカオを合わせ、右肘を新田のこめかみ付近に一振り。たちまち新田のそこから鮮血が吹き出し、ドクターチェック。なんとか再開が許されたが、流血をしきりに気にする新田。するとチャップマンは肘とローキックの連打でたたみかける。この辺りの勝負どころを心得ている辺りはさすが。新田はローでこの局面の打開を計るが、チャップマンは体勢をくずしつつもひるまずアッパーを合わせ、さらに飛びかかるような膝蹴りと肘。
しかし新田なおもロー連打。やがてチャップマンの顔色を変えさせ、後退させることに成功した。ここで3Rが終了する。

Rから新田の猛反撃が開始される。こめかみから鮮血をしたたらせながら、前に出ていく。そしてロー、ローの連打。何度もぐらつくチャップマン、足を使ってアッパーで反撃しつつ、TKO狙いの肘を連打。新田もこれに応じ肘の打ち合い、ここから新田がローにつなげるとこれが効果的にヒット。ダウン寸前に持ち込むがしたたかなニュージーランド人はフットワークでこれを回避。ちらちらと時計を確認する、前半とは打って変わった老かいさで最終ラウンドを乗り切り、判定に勝負を持ち越した。

チャップマン自身「後半の2ラウンドは(ポイントを)取られた」と認めるほどの新田の反撃だったが、少々遅すぎた。ジャッジは2人がチャップマン、残る一人が新田をいずれも49-48で支持するスプリット・デシジョンでニュージーランド人の勝利。新田の連勝は6でストップすると同時に、1年半前の雪辱を果たすことは出来なかった。

「ああ〜負けちゃいました〜」控え室に戻って開口一番の新田のせりふがこれ。表情はさばさばしているが、内心は悔しさありありだった。
「そんなに相手の攻撃で効いたのはなかったんだけど、序盤にペースとられてしまった。左のインローは手応えがあったけど、したたかなチャップマンにスカされて詰められなかった。もっと右が出せれば・・・。3回目?どうでスかねぇ?」
「K−1の石井館長がいらしてたんで、11月のK−1(中量級大会)に出してもらえるかなと思ってアピールしたかったんですけど・・・これじゃダメですね。ダメかなあ?どう思います?」
「せっかく6連勝したのに・・・(また6連勝すればいいじゃない、の声に)いや、この負けは6連勝ぐらいじゃとりもどせないですよ」。

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レポート:新小田哲  写真:菊地奈々子

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