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NJKF "MILLENNIUM WARS 5"
2000年7月7日(金) 東京・後楽園ホール

第8試合 トリプルメインイベント第2試合 トップ・オブ・ウェルターリーグ 67kg契約/5回戦
× NJKFウェルター級王者
青葉繁
(仙台青葉)
2R1分57秒

KO
NJKFウェルター級2位
松浦信次
(東京北星)

 ウェルターリーグ参戦の4選手のうち、NJKF所属の3名には微妙な因縁が絡み合っている。全日本キック時代から大谷にだけは勝利を上げられない青葉、その青葉に引退のきっかけとなったKO負けを食らった松浦。このウェルターリーグの公式戦初対決で大谷を下した松浦。三者とも王座を獲得したことのある実力者だけにこれは実力差というよりファイトスタイルによる相性というべきか。

 ここまでのリーグ戦績は各2戦を消化して小野瀬が全勝、二位が松浦の1勝1敗。大谷は1敗1分、前回日本キックの大会でまたしても大谷と「因縁のドロー」となった青葉も1敗1分。ほぼ小野瀬の優勝が決まりかけた、というところまで来ているがこの試合で松浦が勝ち、その後小野瀬が負けるという展開になれば二人の成績は並ぶため、決着戦が行われることになる。
 そしてその旨がこの試合の前にもアナウンスされた。別の日に「最終決着戦」が行われることになる、と。日本キックボクシング連盟のリングで対戦した小野瀬と松浦の試合は希にみる”超激戦”だっただけにあの興奮をもう一度、という観客の期待も募る。

 青葉にしてみれば、ウェルターリーグ前に大谷との間に行われたNJKFウェルター級王座防衛戦に成功(判定はドローのため、規定により王者の青葉が防衛)したにもかかわらず、そのオプションとして提示されていたムラッド・サリとの対戦が立ち消えとなり、代わりにウェルターリーグ参戦となった経緯は、決して愉快なものではなかったはずだ。
 当時ルンピニー・スタジアムで唯一の外国人王者であったサリが防衛戦を行わなかったため王座を外されたこと、ほかにも諸事情があってこのオプション(タイのチャンピオンまたは同クラスの強豪とのマッチメーク)の”条件”がこのリーグ戦の優勝に変わったのだが、リーグ戦中、青葉の戦いぶりはその不幸な経緯が透けてみえるような、ぴりっとしないものだった。本人も短期間に試合が組まれることでの「モチベーションの低下」をたびたび口にしていたが、現NJKFウェルター級王者が一勝も上げていないという事実は、前述した”相性の因縁”が微妙に影響している。
 
 最終戦。
 青葉のリーグ優勝の可能性は消えたが、現役王者の存在感まで吹き飛ばされては参戦した甲斐がない。逆に松浦のほうは優勝の可能性を残していることが妙な気負いとならなければ、勝利の可能性は高い。特に右ストレートの驚異は青葉も意識せざるをえないだろう。

 1R、青葉がじりじりとプレッシャーをかけていく。ボディへもパンチを散らし、松浦の攻撃を倍返ししていく。松浦も慎重に様子を見る。2分過ぎ、青葉の攻撃を塗って松浦の右がヒット。青葉はローやジャブの合間にバックブローを繰り出すが松浦これをブロック、組むもののブレイクがかかる。お互い探りながらの1Rが終わる。
 2R、松浦の左ミドルをキャッチしてパンチを入れるなど、返しでプレッシャーをかけ続ける青葉。どちらも強い一発を持つ分、ラッシュのタイミングを間違えば返り討ちにあう。どちらも連続の攻撃までいかないのは、こうしたさぐり合いが続いていたからだろう。
 中盤までのペースは、あっけなく終結する。
 攻防でコーナーを背負った青葉に対して放った松浦の右が青葉をとらえる。その後左右のパンチを浴びせ、棒立ちになったところへフィニッシュのストレート。
 立ち上がろうとする青葉の足元がふらついているのを見てレフェリーがKOを宣告した。青葉と松浦の因縁はこれで一度断ち切れた。
 小野瀬戦につづきラッシュで魅せた松浦はこのウェルターリーグでもっとも大きくアピールした選手だと言えるだろう。
 青葉は敗れはしたものの、これまでとは違い自分の戦いを取り戻していたように思える。次のウェルター級王座防衛戦では、完全復調の青葉を見たいものだ。その相手はおそらく大谷か松浦になるのだから。

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レポート:薮本直美  写真:菊池奈々子

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