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Report
kick 2000.1.28 全日本キック「YOUNG GUN」北沢タウンホール
第8試合 全日本ライト級5R昇格決定戦/3回戦
酒井秀信
(REX JAPAN)
1R56秒
KO
箱崎浩康
(富士魅)
×
 
 マーシャルアーツ・スタイルのロングパンツで入場してきた酒井が、トップロープを掴んでグルリと一回転して入場。ボクシング・ファンにはお馴染みのナジーム・ハメド流だ。「好きなんですよ、ハメド。」4戦4勝と勢いに乗ってこの日の5R昇格マッチを迎えた酒井だが、表情に緊張の色は見えない。だが相手の箱崎は既にキャリア10戦。果たしてこのリラックス・ムードが吉と出るか凶と出るか。

 ところが蓋を開けてみると...。


 ラウンド開始直後から積極的に出てきた箱崎を、酒井はいなすような素振り。それでも箱崎が強引に出ようとすると、右ストレートをねじ込んでぐらつかせる。そして次の瞬間、至近距離から箱崎の顎先を掠めるようなピンポイント・アッパー。膝から崩れるようにダウンする箱崎。この一発で試合はほぼ決まっていた。何とかカウント内に立ち上がった箱崎だったが、マウスピースを吐き出し、既に目の焦点も合っていない。レフェリーの試合再開の合図と同時に、酒井の身体が空中で一回転、バックスピン・キックの踵がものの見事に箱崎の顔面を直撃した。まるで棒が倒れるようにリングに仰向けにぶっ倒れた箱崎はピクリとも動かない。勝利に躍り上がる酒井の横を、担架に乗って運び出される。その後ドレッシング・ルームで意識は回復したが、立ち上がれるような状態でなく、救急車で病院に運ばれることとなった。試合時間わずか56秒、衝撃的な秒殺劇であった。


「5R昇格がかかってて、かなりプレッシャーでした。でももっとレベルアップしていくつもりなんで、まだまだこのレベルじゃないですよ。」劇的な勝利に試合後の酒井の口は滑らかだ。「肘や首相撲もそれなりに練習してますから、不安はないです。やりたい相手? いやぁ、特に誰ということはありません。リングに上がる人たちはみんな何かを背負って上がってきますから、尊敬してますし、誰がどうとか、そういうことは...。」

 しかしこうした活きの良い選手が5Rに上がるとなると、観客にとっては楽しみな対戦カードが増える。箱崎のセコンドについた金沢久幸は後輩のKO敗北を間近で見つつも、台頭するこの新人を冷静に観察していた。「やるとなったら、きちんと対策立てて。もちろん(上位ランクに)上がってくるなら対戦には何も問題はありません。」

(高田敏洋)



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写真:薮本直美

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