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会場判定は安部に！？再戦必至の裁定にブ−イングの嵐

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　先日名古屋で目の覚めるような右ストレート一発の秒殺劇を演じた中迫は現在絶好調の波に乗っている、、、筈だった。ところが蓋を開けてビックリ。いや一番ビックリしたのは当の中迫本人だったろう。最初はじっくり様子見のつもりかと思っていた、いや本人もそのつもりだったのかも知れないが、いざ中迫の方から手を出す段になってとにかく動きが異常に重い。TV深夜枠で放映された中迫と宮本のオランダ、ボス・ジムでのトレーニングの様子は、勿論内容は非常に濃く、二人にとって得るものが多いのは疑いなかったが、しかし過酷な真夏のトーナメントを控えた時期に、あれほど疲れ切るようなハードなトレーニングをして大丈夫なのだろうかという不安は感じた。今回のコンディション不良とこの武者修行の関連について中迫自身が何もコメントしなかった以上、外野がとやかく言うべきではないが、アスリートが時々掴まるストップが掛かったような妙な体調不良に、一番肝心なところで掴まってしまった中迫の調整には、明らかに何らかのミスがあったと思わざるを得まい。

　実際筆者にはこうした状況を目にする機会はこれまでにもしばしばあった。試合直前まで絶好調と本人も周囲も思い込んでいた選手が、いざリングの上に上がってみるとまるで身体が動かない。おそらく長期に渡る疲労の蓄積や精神的なプレッシャー等で、実際に体が温まってこないと判らない非常に微妙な身体能力、調整能力の部分に狂いが生じてしまうのだろうが、得てして経験の少ない選手にこうした問題は起きやすいように思われる。今回中迫は対戦相手と闘う以前に、こうした自分自身の身体とも闘う羽目に陥った。

　これに対して安部の方は非常に出来が良かった。昨年のJapan GPでは１ラウンド開始早々に滝川リョウからダウンを奪いながら、滝川の剛腕にまさかの逆転KO負けを喫した。しかしその後こちらもオランダ、ボス・ジム、メジロ・ジムでトレーニングを重ね、元々熟練度の高かったキックの技術により一層の磨きをかけての雪辱戦だ。本戦２ラウンド、手数では安部が上回っていたが共に決定打が無かった為試合は延長までもつれた。安部サイドの観客もかなりいたようで場内に安部コールが沸き起こる。やはり手数で上回る安部に対し、中迫は右ローに絞って活路を見いだす苦しい展開となった。

　やや遠目の筆者の観戦席からは手数で有利だった安部がポイントを取ったように思えた。だがリング下で試合を見ていた３人のジャッジはいずれもポイント中迫。これには場内がどよめく。（この裁定に関して、この後行われた開会挨拶で石井館長自ら「自分は最も近くで試合を見つめていた、経験豊富なプロのジャッジの目を信じる。もし安部選手が望むならリベンジマッチを考えてもいい」と異例のコメントを述べたほど。）両腕を突き上げてドレッシング・ルームに引き上げる敗者と、首を振りながら帰っていく勝者という、何とも空気の悪い一戦になってしまった。

　 　

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