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オランダ帰りの野武士、不沈艦ファイトの幕開け

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　実を云えば筆者のこの大会での最大の注目選手はノブ・ハヤシだった。その名前を目にしたのは今大会のエントリーが初めて、それどころかオランダのチャクリキ・ジムに日本人選手がいることすら初耳だったのだが、まず一つにはあのチャクリキあのトム・ハーリックが勝算の無い選手をわざわざ送ってくる筈がない、という期待。そして事前のTV枠で目にしたハヤシのファイトが、思った通りただ者ではない破壊力を感じさせたからだ。

　このハヤシと対するのが宮本というのも楽しみだった。パンチの破壊力ではK-1日本勢トップと云われ、またアグレッシブなファイティング・スピリットでも定評のある宮本。しかも今回彼は同門の武蔵や中迫をねじ伏せて優勝をさらうつもりでいるという。その宮本とのガチンコでのぶつかり合い、ハヤシの実力をはっきりさせるためにこれほどもってこいの試合はないだろうという期待が持てた。

　だが、結果はそうした予想すら上回っていた。

　試合開始と同時に前に出て激しい打ち合いを演じた両者。宮本のパンチは２発、３発とハヤシの頭部にヒットしていた。ところがあの宮本の剛腕を貰ってもまるで効いていない様子のハヤシ、体力で宮本を圧倒し、前に前に押し出しながら次々と手数を出してくる。決してスピードがあるわけでも技術的に優れていると感じさせる訳でも無いが、とにかく一発一発が大砲のような重さを感じさせる上に出始めると相手が倒れるまで止まらない。巨大な山がドッと相手を押し潰すようなそのファイトは正に「和製マット・スケルトン」と云った印象だ。

　あの宮本が僅か１Ｒ１：４８の間に２度のダウンを奪われてKO負け。これでノブ・ハヤシは今大会の、いや将来のK-1戦線まで睨んだキー・パーソンの一人となった。

　

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