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Report

k-1アルゼ K-1 WORLD GP 2001 メルボルン大会
6月16日(土)オーストラリア・ヴィクトリア州・メルボルン市/ヴォーダフォン・アリーナ

「ホースト、W重戦車に苦戦も東京ドームへの切符奪取。ミルコまさかの一回戦敗退」

 レポート&写真:井田英登

▼K-1ワールドGPとしては初の海外二次予選大会となったメルボルン大会だが、地元プロモーターのタリク・ソルカ社がTVスポットを使った積極的なプロモーションを展開した事もあって、10,000人収容の会場は見事に超満員となった。日本に何度も足を運び日本流の大会運営を学んだ事もあり、海外とは思えないようなスムースさで大会も進行し、運営的には大成功となった。
 またリングの上でも、一回戦が全てKOで決まるという理想的な試合が展開され、地元の人気者マーク・ハントも大活躍した。そんな中、K-1の頂点に君臨する帝王ホーストもベテランの意地を見せ優勝。まさに世界に向けて、最高のショーケースとなった大会だった。
 一方、このところ連戦連勝で破竹の勢いを見せていたミルコは、自らの慢心もあってか、不本意なKO負けを喫する大波乱。まさに完全実力主義の世界の栄枯盛衰を見る思いであった。

第試合 トーナメント一回戦 
昨年世界GP王者
アーネスト・ホースト
(オランダ/ボスジム)
1R 3'00"

K.O.(右ローから左ボディへのパンチ)
イタリア予選王者
セルゲイ・グール
(ベラルーシ)
×

体格差もあり、序盤から積極的にワンツーフックから右ローへとつなぐ得意のコンビネーションで攻め込んだホースト。ベラルーシ最強の大学生の異名をとったグールだが、首相撲で脇を上げられたところへボディへのヒザをもらい最初のダウンを喫した。なんとか立ったもののボディにパンチを集められ、1R終了のゴングとほぼ同時にコーナーにうずくまってダウン。

第2試合 トーナメント一回戦 
× 推薦・昨年ジャパンGP準優勝
天田 ヒロミ
(日本/フリー)
1R 2'52"

K.O. (右フック)
オーストラリア予選王者
マーク・ハント
(オーストラリア/トニー・ムンダイン・ボクシングジム)

 天田は予告通りアウトボクシングに徹した動きで下がりながらパンチを狙うが、ハントの動きは予想以上に速く、間合を詰められてパンチを浴びてしまう。痛めた腰がまだ万全でないこともあって、下がる一方の展開になる。最後は左のショートから右のフックを顔面に食らい大の字でダウンしてしまった。
 既に8月のさいたまスーパーアリーナでのジャパンGP決勝大会へ出場が決まっている天田だが、このまま故障を抱えての連戦は正直なところかなり危険だとしか言い様がない。

第3試合 トーナメント一回戦 
× 昨年べスト8
ミルコ・クロコップ
(クロアチア/クロ・コップ スクワッドジム)
1R 2'24"

K.O.
推薦・USA予選準優勝
マイケル・マクドナルド
(カナダ/フリー)

マイケルを格下と見たミルコはノーガードで挑発するなど、若干慢心が見える動き。このところベルナルド、アーツを撃破した実績があるためだろうか、石井館長にもギャラアップを迫ったという噂もある。組み付いたところでマイケルの右フックを貰ってしまい、さらにぐらついたところを畳み掛けられる。マイケルの速い左ショートからフック連打を顔面に浴びマットに四つんばいに。フラフラと立ち上がった所を今度は左フックで顔面を打ち抜かれ、レフェリーストップ。優勝候補の一回戦敗退に場内は大きく沸いた。

第試合 トーナメント一回戦 
× 推薦・昨年イタリア予選王者
パリス・バシリコス
(ギリシャ/カズパラズファイターズジム)
2R 2'25"

K.O.(右フック)
イギリス代表
マット・スケルトン
(イギリス/イーグルジム)

引退の噂もあったベテラン、バシリコスを相手にマットがワンサイドといってもいい圧倒的な試合を演じた。開始早々、クリンチから右フックで1ダウンを奪取。ロングフックで押しまくり、バシリコスは下がって逃げ回るしかない展開となる。1Rはそれでもなんとか凌いだものの、コーナーに詰められてパンチを浴び、組んではヒザを貰うバシリコス。形勢逆転に出したミドルを捕まれて、右フックをかぶせられダメージを負ったあと、コーナーで右のフックをジャストミートされ、ロープを掴んだまましりもちを突いた状態でノックアウト。

第5試合 トーナメント準決勝 
昨年世界GP王者
アーネスト・ホースト
(オランダ/ボスジム)
判定3-0

29-28,30-29,30-29
オーストラリア予選王者
マーク・ハント
(オーストラリア/トニー・ムンダイン・ボクシングジム)
×

ローで着実にポイントを取っていく作戦のホーストに対して、ハントはとにかく前に出て組み付いてヒザを飛ばしていく。その突進力に押されたホーストは苦戦を強いられたが、全体に大振りなハントに、下がりながらのローでポイントを稼いでいく。2Rにスリップを8カウントのダウンに取られたこともあって、会場は一気に地元のヒーロー・ハントのアップセットに期待が高まる(ただしこのダウンはミスジャッジ扱いとなり採用されなかった模様で、判定には影響していない)。ハントも会場中の声援を背に、見掛けによらずスピードの乗ったロングフックや飛び込んでのフックを繰り出し、押せ押せムードで攻めまくるが、3R後半は若干スタミナが切れたところを攻め込まれ、判定はホーストに。会場からは地元ファンのブーイングも飛んだが、辛くもホーストが逃げ切りに成功した。

第6試合 トーナメント準決勝 
× 推薦・USA予選準優勝
マイケル・マクドナルド
(カナダ/フリー)
判定0-3

27-30,27-30,28-30
イギリス代表
マット・スケルトン
(イギリス/イーグルジム)

優勝候補ミルコを倒し会場をアッと言わせたマイケルが持ち前のスピードを活かして攻めるが、今回プロに専念し体をきっちり絞ってきたスケルトンのパワーに封じ込まれる。クリンチからのヒザで左右に振り回され、大砲のような左右のフックを繰り出すスケルトンに対して、マイケルは下がる一方。カカト落としやバックブローといった奇策も決まらず、3ラウンド全てを取られる形で敗退となった。

第7試合 トーナメント決勝 
昨年世界GP王者
アーネスト・ホースト
(オランダ/ボスジム)
判定2-0

28-28,29-28,29-28
イギリス代表
マット・スケルトン
(イギリス/イーグルジム)
×

 ハント同様、距離を詰めてクリンチからのヒザ、離れ際のアッパーを振ってくるスケルトンにホーストは手を焼く。2Rにはスケルトンが飛び込んだために生じたバッティングで、左眉の上を二個所切るアクシデントが発生。流血状態のまま試合は続行となった。しかし、その後3Rもスタミナの切れないスケルトンは左右のフックでドンドン前に出てくる。ホーストは下がりながらのローでポイントを重ねながら、なんとかこの猛攻を凌ぎきり、バッティングのマイナスポイントもあって薄氷の勝利を掴んだ。
 ラスト20秒で左右のラッシュをしかけるなど積極的な部分もあったが、全体的にはスケルトンの動きに比べて、ホースト側には疲れも見えており、もう一ラウンド延長があったら、ホースト危うしとさえ思える展開であった。
 ともあれ、ホーストはこのトーナメントを制したことで、バンナに続いて東京ドームへの二枚目のチケットを掴んだ。果たして前人未到のK-1三連覇を成し遂げることが出来るか? ミスター・パーフェクトの苦難の道はまだまだ続く。



レポート&写真:井田英登

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