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どこまでも地平線が続き、360度見渡すかぎり畑、畑、畑。
アメリカのローカル大会として着実に興業を打ち続ける「キングオブケージ」が、またもやカリフォルニアの郡部で開催された。前回は土砂降りの雨の中、野外での大会を強行し、評判を落としたが、今回は屋内施設をキープし、二つのタイトルマッチを準備するなど全力体制で新規まき直しを計ってきた。
ただし、総合系の大会に厳しい西海岸の事情も有り、今回も開催地は都会から遠く離れたド田舎にぽつんと存在するインディアン保護区のカジノを舞台にせざるを得ない。だが田舎で開催されるという条件は、興行的には逆に追い風でも有る。刺激の少ない地元の住民には、掛け替えのないイベント開催だったようで、場内はびっしりと埋まった満員札止めの盛況となった。
会場はさすがにこのロケーションだけに、まるで小学校の体育館のようなスぺースだが、それでもケージが持ち込まれ、真っ暗に照明が落とされると、それなりに格闘技興業の匂いがしはじめるから不思議だ。UFCほどの派手さや選手の水準はないが、それでもファンはそれなりにこの空間をエンジョイしている。選手の一挙動一投足に歓声があがり、セクシーなラウンドガールのモンローウォークに口笛が飛ぶ。プロレスとも、またボクシングとも違う新しいエンターテイメントスポーツとして、地道にKOTCは西海岸の土地に根を張りはじめているようだ。
さて、今回もPRIDEとの提携関係を軸に三人の若い日本人選手が送り込まれた。
前回土砂降りの雨の中、値千金のワンパンチKOで多いに名前を売った大山峻護、そして前回のリングス有明大会でプロデビューを飾ったばかりの江宗勲、そしてKOTC参戦三回目まだ白星の無く今度こそ結果を残したい松井大二郎の三人だ。PRIDE出場を賭けた若い二人と、スランプ脱出を悲願に掲げた松井とでは、モチベーションも、試合に対する姿勢も全く違ったが、果たして結果はみごとに明暗が分かれた。
一番手に登場した江宗勲は恐いもの知らずの若手の特権で、いきなりハイキックを振り回す突貫ファイトを展開。いったんテイクダウンには成功したものの、下からの十字を狙われ、また地力に勝るフロイドにバックを奪われ、あわやチョークスリーパーでタップアウトかというピンチまで迎えてしまう。ゴングに救われてこの最大のピンチは脱したものの、2Rにはスタミナ切れで押さえ込まれて万事窮す。そのまま試合終了。判定は3-0と圧倒的にフロイド支持となり、前回の今村雄介同様、苦い海外デビューとなった。
また、打撃にいよいよ磨きをかけ、いよいよ次はPRIDEデビューかという噂も出始めた期待のホープ大山峻護は、初回からひたすらパンチで前に出る。だが、ジェリー・ボーランダーの代打に指名されたフィリップ・ミラーは噂以上のタフガイだった。強打でならす大山のパンチをもろに浴びながら前へ前へと突進して、逆にノーガードで打ちまくる大山の顔面に大振りのパンチを打ち返してくる。大山も意地になって打ち返したため派手なパンチ合戦となり会場は多いに沸きかえる。右フック一辺倒となった大山は完全に顔面ががら空きで、面白いようにミラーにパンチを入れられる。起死回生に放ったヒザ十字も極まらず、逆に下のポジションでパンチを浴び続ける事になってしまう。ゴングに救われてスタンドに戻った2Rも右パンチにこだわった為に決定打を出せないまま転がされ、同様の展開となりグラウンドで一方的にパンチを浴びる。結局、虫の息になった大山は3'00"レフェリーストップで敗れ去った。退場時も江の肩を借りながら、真っすぐに歩けないほどのダメージを負い、そのまま病院へ直行。ゴールデンルーキーとして日本逆輸入を目指した大山の野望は、二度目のKOTC挑戦で脆くも崩れ去った。
さて日本人二連敗の流れの中で、個人的にもKOTC二連敗、国内でも勝ちに恵まれない松井大二郎はまさに背水の陣となった。松井は無理に打ちあわず、堅実に胴タックルを仕掛け、掬い上げてのテイクダウンで上のポジションをキープ。ガードポジションで執拗に密着してくるカーンズに手を焼いたが、ヒジ打ちの使えるルールを活かして空間を作り、パンチを落としていく。柵の底辺を使っての首折りと、リコ直伝のシャチホコキックでポイントを重ねる松井。2Rも全く同じ展開で試合を支配し続け、3-0で文句ナシの判定勝ちを飾った。
メインイベントでは、日本でもおなじみのヴァーノン・タイガー・ホワイトがKOTCライトヘビー王座を賭けての防衛戦を行ったが、打撃戦にこだわりながらも決定打を出せず、再三テイクダウンされてパンチを浴びるなど、どう考えても不利な試合ながら二者支持で判定勝利。王座防衛を果たした。また、セミではシーザー・グレイシー門下のジル・カスティーリョがテイクダウンを活かしてミドル級チャンピオン、ジョー・フューレイをおさえ込み、判定ながら王座奪取の金星を挙げている。(速報段階でヴァーノンの勝利をドローとお伝えしましたが。公式記録ではヴァーノンの勝利となっておりました。おわびして訂正いたします。)
<メイン・イベント >
○ヴァーノン“タイガー”ホワイト(ライオンズ・デン/KOTCライトヘビー級王者)
×マービン・イーストマン(ジョン・ルイス柔術)
3R判定2-0(一者ドロー)
<セミ>
×ジョー・ヒューレイ(ライオンズ・デン/KOTCミドル級王者)
○ジル・カスティーリョ(シーザー・グレイシー・アカデミー)
3R判定 3-0<第9試合>
×マーチン・アーメンダレス(シーザー・グレイシー)
○ショーン・シャーク
3R 2'07"レフェリーストップ<第8試合>
○クエンティン・ジャクソン
×ブライアン・ハヴァレック
1R 1'48" タップアウト(インサイドガードからのパンチ)■フューチャー・ファイト
<第7試合>
○松井大二郎(高田道場)
×リック・カーンズ(テッド・ウィリアムス・コンバット・グラップリング)
2R判定 3-0<第6試合>
○フィリップ・ミラー(テッド・ウィリアムス・コンバット・グラップリング)
×大山峻護[トシ・オーヤマ](日本)
2R 3'00"レフェリーストップ<第5試合>
×ブライアン・スリーマン(ドラゴンズ・レア)
○ロナルド・ジューン
2R 2'46" 腕十字固め<第4試合>
○フロイド・スウォード(チーム4コーナー)
×江宗勲[Koh](和術慧舟會)
2R判定 3-0<第3試合>
○グレッグ・メイヤー
×ボー・クァチ
1R 0'17"レフェリーストップ(スタンド状態で柵に押し付けてのパンチ)<第2試合>
×ジェレミー・エドワーズ(ストライカースポーツ)
○エドウィン・デューウィース(ブラウサアカデミー)
2R判定 3-0<第1試合>
×チャド・ウォッシュバーン(テッド・ウィリアムス・コンバット・グラップリング)
○アンソニー・ラモス (ストライカースポーツ)
1R 2'44" タップアウト(マウント・パンチ)
レポート&写真:井田英登 |