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[修斗] 4.14 北沢 夜の部 (レポ&写真):マモル復活。星野育蒔は柔術デビュー

パレストラ東京 "WANNA SHOOTO 2002" 4月14日(日)東京・北沢タウンホール (→第1部は別ページ掲載)
◆第2部(18:00〜) レポート:岩城健太郎,石動龍,井原芳徳  写真:飯島美奈子

第6試合 フェザー級 5分3R
○マモル(日本/シューティングジム横浜/3位)
×吉岡広明(日本/パレストラ東京/4位)
判定3-0 (30-27,30-28,30-27)

 昨年11月、悪夢の1本負けで王座を奪われたマモル。”最も修斗を体現している選手”との呼び声の高いマモルの今回の相手は、テクニックに定評のあるフェザー級4位・吉岡広明。一筋縄ではいかない相手を迎えての復帰戦に大きな注目が集まる。

 入場からマモルに気負いは見られない。リラックスした表情でコールを受け、ゴングが鳴ると積極的に前に出る。吉岡をコーナーに押し込み、ヒザを当てさらにテイクダウンして上からパンチを落とす。

 2Rからは鋭い右ストレートを放ちながら前に出て、組み付くと吉岡の体を持ち上げて何度もテイクダウンする。「柔らかい動きをする選手なので、寝技で追っかけすぎて(関節を)取られるのを警戒した」と試合後に語ったとおり、マモルは上から確実にパンチをヒットさせると、立ち上がっての猪木-アリ状態からローキックを放ち、打撃技で吉岡にじわじわダメージを与える。3Rに入ってもマモルのスピードは衰えない。むしろ1Rよりも速くなったような感もあるほどで無尽蔵なスタミナを発揮する。

 狙っていたというKO勝ちこそ果たせなかったものの、前王者の復帰戦は完勝と言っていい内容で幕を閉じた。前戦の敗北の際に「全てを失った」と語っていたマモルだが、バージョンアップして戻ってきた姿を見る限り、その経験は確実に彼の血肉になっているようだ。
「課題だらけですよ。もっと練習して技術を突き詰めていきたい。そうすればさらに上に行けると信じています」 勝利してなお貪欲なその姿は、まるで飢えた猛獣のようである。

 彼の生きるフィールド・フェザー級では日々激しい生存競争が繰り返されている。ライト級からの転向組の活躍、若手の台頭、さらに元からいるフェザー級戦士。対戦の流れたABKZ、現在ランキング1位の池田、さらにフェザー級への転向を示唆したバレット・・強豪たちはいつか必ず彼の前に立ちはだかるだろう。

「もう一度ベルトが巻けるなら簡単に負けるようなチャンピオンにはなりたくない・・・」かつて自らを打ちのめした現王者“ジャッカル”大石を視界に捕らえるその日まで。飢えたパンサーの戦いは、今始まったばかりだ。(石動龍)

◆マモルのコメント

「もっとスタンドで勝負したかったですね。判定でしたけどとりあえず勝てて良かったです。試合は組み立て通りでした。柔らかい選手なんで(寝技で)追っかけすぎて腕とかを取られたくないなぁ、って。一本かKOで勝てれば喜んでもらえたんでしょうけどブランクでいたらない部分があったということですかね。(勝てたことで)僕的には合格点なんで今日は喜ばしてください(笑)。
(吉岡選手に)ヒザは警戒されてましたね。そうされると(差し合いからの)テイクダウンは取りやすいですが、少し膠着気味になってしまった部分もありましたね。
(試合を振り返って?)課題だらけです。なかったら練習する必要なくなりますからね。自分の試合を見直してもっともっと緻密に技術を突き詰めていきたいです。
(前回の敗戦について)負けて得たものがある、というカッコいい言い方はしたくないです。失ったものはあったと思うし。ただ勝ち続けていては感じられないものが感じられたかなあ、とも思いますね。単純にそういう受け止め方をしています。今日は勝ちを最優先して小さくまとまってしまった部分があるので、それを打ち破ってガンガン攻められるような選手になりたいです。
(今後について)組まれた試合を一つ一つ勝っていきたいです。そうすればランキングも上がると思うんで。そしてチャンピオンシップがもし決まったなら、その時は最高の状態で望めれば。もう一度チャンピオンになれるなら、簡単に負けるようなチャンピオンにはなりたくないですね」

◆吉岡のコメント
「2Rの途中で右足を痛めてしまいました。今日の全てはタックルに尽きます。向こうはコカして離れてという作戦でしたね。(パンチは?)そんなに効かなかったです。(体力差は?)なかったと思います。全てはタックルでした。(バンタム級に転向する可能性は?)選手が増えランキングができて、モチベーションにつながる環境ができれば考えます」

第5試合 ウェルター級 5分2R
○鈴木洋平(日本/パレストラ東京)
×パトリック・ラファエル(オランダ/タツジン・ドージョー)
1R 3'20" TKO(グラウンドパンチ)

 1R中盤に鈴木がタックルで上を取るとパンチの嵐を浴びせる。下からのパトリックの攻めを全く気にせずにさらにパンチを落とす。動きの鈍くなったパトリックを見てレフリーが試合を止めた。

第4試合 ミドル級 5分2R
○ザ・ばばんば(日本/パレストラ東京)
×マリオ・スタポル(ドイツ/パワー・アカデミー)
判定3-0 (20-18,20-18,20-18)

 開始直後にばばんばが右フックでマリオをぐらつかせ、テイクダウンを奪ってはアンクルホールドを極めかけるなど圧倒。最後まで攻め続けるが念願の一本勝ちを奪うことはできず。勝ち名乗りを受けるばばんばに笑顔は見られなかった。

◆ばばんばのコメント
「勝つチャンスはあったのに逃がしてしまいました。(今回いつもの勝利パフォーマンスが無かったのは?)ただの判定勝ちでは納得いかないですから。はしゃぐのは内容次第ですね。一本かKOを取らないと。もう高齢になってきたから、まだ試合ができるかどうかですね。TKOとかで勝てばすっきり引退できますけど、判定ばかりだから悔いが残っちゃって。できればあと数試合。...って最近毎回言ってますね(苦笑)」

第3試合 ブラジリアン柔術 紫帯メイオペサード級 7分一本勝負
×草柳和宏(日本/SHOOTO GYM K'z FACTORY)
○マルタイン・デヨング(オランダ/タツジン・ドージョー)
ポイント0-0 アドバンテージ1-1 レフェリー判定

 柔術ルールでの戦いは大きな動きは少なくポイント差もないまま試合終了。レフリー判定にもつれ込んだが、下から積極的に攻めたマルタインが中井祐樹レフェリーの支持を得た。
 直後に始まった草柳の修斗引退エキシビジョンには、かつてのライバルや同僚から「リアルファイト!」などと大きな声援が飛ぶ。マルタインは声援に刺激されてか、草柳に容赦なくパンチと膝蹴りを叩き込む。とても引退試合とは思えないガチンコな内容に客席は大きく盛り上がる。

 2分のエキシビジョンと花束贈呈の後に10カウントゴングが鳴らされ、草柳のシューターとしての現役生活にピリオドが打たれた。

◆草柳のコメント
「僕の試合を楽しみにしてきてくださった皆さん、ありがとうございました。今日でシューターとして現役は終わりますが、引退は通過点に過ぎないと思っています。まだまだやるべきことは残っていますし、これからは柔術等でもっともっと上を目指していきたいと思います」

第2試合 ブラジリアン柔術 青帯55kg契約 非公式戦 6分一本勝負
○星野育蒔(日本/米里倶人満)
×佐藤 歩(日本/パレストラ福島)
ポイント0-0 アドバンテージ1-0(パスガード)

 星野は柔道で高校時代に近畿大会ベスト4の実績を残し、大学には柔道推薦で進学したほどの実力者。大学は1年で中退し、その後は総合格闘家の道を志したわけだが、柔道のベースがあるため、ブラジリアン柔術にもすんなりと慣れ親しんでいった。パレストラ東京の中井祐樹の元で柔術を習い、青帯を取得。柔道の田村亮子の連勝記録が65でストップしたこの日に、星野が柔術に挑むというのは、まったくの偶然とは言え何か因縁めいたものを感じる。
 星野は赤の道衣を着用したが、ルールでは認められていない色のため、惜しくもこの試合は非公式戦扱いとなった。ルールで認められている青の道衣も持っているが、サイズが合わないため、戦いやすい赤の道衣を選び、非公式戦という扱いを受け入れたわけである。なお対戦する佐藤も非公式戦扱いを了承した。それにしても、星野の赤の道衣に金髪といういでたちには独特の存在感がある。

 対する佐藤は99年コパパレストラ白帯プルーマ級優勝者。柔術のキャリアでは星野の大先輩だ。星野のセコンドには修斗ルールの試合と同じく若林太郎氏が付き、佐藤のセコンドには中井祐樹がつく。
 試合は、下になった佐藤がリバーサル、上の星野がパスガードを狙うという展開が繰り返される。なかなか両者ポイントを奪えず試合が続いたが、終了間際に星野がパスガードのアドバンテージを奪い、かろうじて勝利をものにした(完全なパスガードならポイントが入るが、不完全でも有効な攻撃と認められればアドバンテージ扱いとなる)。

 星野は試合内容をいつものようにハイテンションな口調で振り返る。「試合になると体が動かんかった。佐藤さんは下からの攻めがうまかった。何ごとも経験。柔道の経験があったんで柔術も簡単にできると思ってたんやけど、実際に練習をやってみるとコロンコロン転がされて、ぜんぜんあかんのですよ。柔術の経験も総合で活かしたいです」。まだ20歳の星野。柔術の経験も肥やしにして、これからどんどん成長してくことだろう。次の試合は5月4日のAX後楽園大会。星野のプロデビュー1年間の集大成が見られることだろう。(井原芳徳)

第1試合 ミドル級 5分2R
×堂垣善史(日本/パレストラ加古川)
○中山 徹(日本/インプレス)
判定0-3 (17-20,18-20,17-20)
※堂垣にグラウンド状態での顔面への蹴りで減点1

 堂垣の打撃にパワフルなタックルを合わせ中山がテイクダウンに成功。そのまま終始上を制してパンチを落とし続け、堂垣の攻めを完封した。

●第3試合の跡の休憩明けに佐藤ルミナがリング上で挨拶。3月のコンバットレスリングは腰の負傷のため欠場したが、回復すれば6月の修斗大阪大会に出場する予定であることを発表した。ルミナは「去年は自分らしい試合ができなかったので、今年は自分らしく一本とKOを狙う試合をしたい」と宣言した。

Last Update : 04/27

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