[修斗] 3.15 後楽園ホール大会 レポート&写真
プロフェッショナル修斗公式戦 2002年3月15日(金)東京・後楽園ホール 主催:イーフォース・ジャパン
レポート・石動龍 コメント編集・鈴木伸幸 写真・井原芳徳
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メインイベント ウェルター級 5分3R ×マーシオ・クロマド(ブラジル/スポート・フィジカル/2位) ○雷暗 暴(アメリカ/無所属/4位) 判定0-3 (29-30,28-30,28-30)
実力者同士の対戦に期待が集まったが、コーナー際での膠着が目立つ試合になってしまう。13センチ背の高いクロマドがリーチの差を活かしてプレッシャーをかけていく。雷暗は打撃勝負を避け、組み付くとコーナーに押し込みテイクダウンを狙うがクロマドはそれを許さない。差し合っての細かいパンチとヒザの交錯で時間が過ぎていく。以降も同様の展開が続くが、2R終盤の攻防と、3Rのクロマドの引き込みで、雷暗が二度上を取ることに成功。そこからのパンチが評価されてか、雷暗が3-0の判定勝ちを収めた。
◆クロマドのコメント 「今日は打撃でKOを狙っていました。雷暗は自分より頭がいいんでしょう。一生懸命打撃を狙ったが全部かわされてたし、彼はチャンスを待ってじっとしていました。3Rで引き込もうと思いましたが起こされてしまい、うまく行きませんでした。今後はもっともっと練習をして、また日本で戦っていきたいと思います。今日は自分のほうがクリーンな試合をしたと思います。負けという評価をされましたが、自分としては負けた気がしないです」
◆雷暗のコメント 「KOで勝ちたかった。でも勝ちは勝ちだから。(クロマドの印象は?)身長があって、グラウンドのときにパスガードできなかったし、強かった。自分が動きやすくするようにクロマドをコーナーに押し込んだ。(クロマドのチョークは警戒した?)今までチョークをきめられたことがないし、僕は自分からタックルに行く選手でもないので、全然気にしてなかった。(打撃の技術に関しては?)練習ではやっているんだけど試合に慣れていない部分があって。これからはシュートボクシングとかにも出場して、たくさん試合をして自分の弱いところを無くしたいです。(コンテンダーズと連戦になったが?)両方一本取りたかったですけど、なかなか強い選手とやると一本取れないですね。(コンテンダーズの疲れが残ってたのでは?)コンテンダーズの疲れじゃなくて練習の疲れが残ってた。でも今日までしっかり休んだので、たいして疲れはなかった。怪我もなかったし。(今後は?)一生懸命がんばって、また五味選手と戦ってチャンピオンになりたい」
セミファイナル ライト級 5分3R △阿部裕幸(日本/AACC (Abe Ani Combat Club)/4位) △バレット・ヨシダ(アメリカ/グラップリング・アンリミテッド/5位) 判定1-1 (28-28,28-27,27-28) ※1R右フックで阿部にダウン1あり ※3Rグラウンド状態の相手の頭部への蹴りでバレットに減点1あり
2月に32歳となった阿部。悲願であるライト級のタイトル獲得のためには立ち止まる時間は残されていないだろう。一方バレットも連敗中。これ以上の敗北は許されない。 事実上のタイトル挑戦者決定戦はパンチの応酬で幕を開ける。シュートボクシングで勝利しストライカーとして自信を得ていた阿部の打撃に、バレットは真っ向から応戦。阿部のコンビネーションをかわして右フックでいきなりのダウンを奪う。ダメージの残る阿部はタックルからバレットをコーナーに押し込み、細かいパンチを打ちながら回復をはかる。
2Rバレットはしつこくタックルを仕掛けていくが、試合前に「絶対に下にはならない」と宣言していた阿部をなかなか倒すことができない。バレットは引き込もうとするが阿部は寝技に付き合わず、猪木−アリ状態からローを連打。これを嫌ったバレットが立ち上がり阿部が差してコーナーに詰めるが。するとバレットが飛びついてギロチンへ。二度狙うも腕から頭が抜け、またしても猪木-アリ状態になる。 3R、バレットの右ストレートがクリーンヒット。阿部はバレットをコーナーに詰めて逃れる。やや膠着した後、離れて打ち合いになるが、ここでもバレットが優勢。たまらず阿部はタックルに行ってテイクダウンし、パンチを落とす。バレットは下からのキックで応戦。だが勢いあまって阿部の顔面を蹴ってしまい、痛恨の減点。そのまま試合は終わるもこの減点が判定に響き、3者3様のドローとなった。
今回の試合結果に阿部は「首の皮一枚つながった」と語り、バレットは成績不振を理由にフェザー級への転向を表明した。
◆バレットのコメント 「いい試合だったけど、首相撲がなかなか思うようにいかなかった。(ドローの判定には?)自分も反則をしたので、フェアな判定だと思う。(戦前は阿部有利と言われていたが?)僕もパンチはできるから同じレベルだと思っていた。阿部選手がシュートボクシングやサムライルールに出場していたのも知っていた。打撃で来ることは予想していたのでエンセンやイーゲンと練習を積んできた。だから阿部のパンチは効かなかった。(今後は?)ライト級にしてからドローや負けの試合が多くなったので、フェザー級に落として試合をしたい。」
◆阿部のコメント 「ちょっとやられちゃいました。パンチもらっちゃいました。先にやる予定が先にやられて予定が狂いました。(初回ダウンをとられたが)あごが上がっていたところを狙われちゃいました。以前と構えが変わっていてワンツーが見えなかったし。打撃はバレットよりうまいと過信してましたね。(試合を振り返って)最初から足が動いてなかったです。足を使って距離を取って、先に自分のペースを作る練習をしてきたんですけどできなかった。バレットはタックルで来ると思っていたので膝を合わせる練習をしてました。打撃はある程度来ることはわかっていたんですが、裏をかかれましたね。(ドロー判定に関しては?)正直、まだ首の皮一枚でつながっているかな、っていう気持ちはあります。でもまだノゲイラには遠いかな。機会があったら挑戦してみたいけど。今回の結果をポジティブに考えて、狙うはノゲイラ。」
第4試合 ライトヘビー級 5分2R ○山下志功(日本/パレストラSAPPORO) ×北川 純(日本/直心会格闘技道場) 判定2-0 (20-19,20-20,20-19)
山下がコーナー際でテイクダウンを狙うが、北川は重い腰を生かしてそれを許さない。2Rに入ってもコーナー際での差し合いが続く。片足タックルで山下が一度テイクダウンに成功するが、北川はすぐに立って再び差し合いに戻る。結局そのまま試合は終了。2Rのテイクダウンが評価されてか、山下が僅差の判定勝利。
第3試合 ライト級 5分2R ○石川 真(日本/PUREBRED大宮) ×南部陽平(日本/シューティングジム横浜) 判定2-0 (20-19,20-20,20-19)
パンチに合わせたタックルで石川がテイクダウンを奪うが、上からの攻め手に欠ける。一方下になった南部だが、三角絞め・腕十字・アームロックと多彩な攻めを見せ1Rが終了。 2Rに入っても石川が上を取ってパンチ、南部は下から狙うという展開が続く。終盤に後ろを取られてのアームロックから南部が上を取り、コーナー際でパンチを連打。石川がそれを凌いだところで試合終了。両者とも決め手に欠けたが、上を制す時間の長かった石川が判定勝ちを収めた。
第2試合 02年度新人王トーナメント バンタム級1回戦 5分2R ○端 智弘(日本/PUREBRED大宮) ×塙 真一(日本/和術慧舟會) 判定2-0 (20-20,20-18,20-18)
2R終盤にテイクダウンに成功した端が僅差の判定勝ち。試合時間のほとんどがコーナーでの差し合いに費やされてしまった。
第1試合 02年度新人王トーナメント フェザー級1回戦 5分2R ×小塚誠司(日本/PUREBRED大宮) ○横山宜行(日本/総合格闘技STF) 判定0-3 (18-20,19-20,18-20)
小塚の打撃をかいくぐって横山がテイクダウンし、パンチを落とす。小塚も下からフロントチョーク、オモプラッタと積極的に攻めるが、終始上をキープした横山に軍配が上がった。
五味「防衛戦もやるときはやるんで」
▼大会では2001年度修斗年間賞の表彰式も行なわれた。MVPのアレッシャンドリ・フランカ・ノゲイラは欠席したが、敢闘賞でウェルター級王者の五味隆典が登場し、リングアナウンサーの質問に答えた。
−−受賞の感想は? 「ファンの人にはがっかりさせちゃったと思うんですけど、勝っちゃたんで。」
−−今後の試合でチャンピオンらしい試合が期待されると思いますが? 「らしくと言われてもチャンピオンなんですけど」
−−今年の戦いに注目されますが ? 「今UFCのチャンピオンが自分と試合したいと言ってくれてるんで、出来たらやりたいです。 修斗のチャンピオンが世界で一番強いことを証明していきたい。防衛戦もやるときはやるんで、応援よろしくお願いします。」
Last Update : 04/06
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