グラバカ郷野、対抗戦制し憎々しいマイクアピール/パンクラス10.30後楽園レポートSammy Presents PANCRASE 2001 PROOF TOUR Special Photos Collection 写真:飯島美奈子 【この大会のご意見ご感想を掲示板で募集!】 ▼超満員の観衆を集め大きな注目を集めた「東京・横浜vs GRABAKA 5対5対抗戦」は、グラバカが3勝1敗1分で勝利をおさめた。先鋒戦は今夏のネオブラッドを制した三崎和雄が、負傷した伊藤崇文の代役で出場した冨宅飛駈をわずか8秒でノックアウト。グラバカが幸先よいスタートを切ったかと思われたが、続く石川英司が2R窪田幸生の狙いをすました膝蹴りに沈み、中堅戦は佐藤光芳と渡辺大介の二転三転する白熱の寝技の攻防の末ドローに終わり、1勝1敗1分のタイに。休憩になっても熱気が冷めない異様な雰囲気の後楽園ホールだったが、副将戦、大将戦になると、やはりグラバカの地力の強さが発揮されることとなる。佐々木有生は石井大輔の甘いガードを狙いすまし左ハイをクリーンヒットさせると、ひるんだ石井に一気におおいかぶさり腕十字に仕留めた。これにはセコンドの菊田もリングに上り佐々木を投げ飛ばさんばかりの大喜び。この段階でグラバカの負け越しは無くなったこととなる。大将戦では郷野聡寛が打撃の得意なKEI山宮を挑発するようなノーガードからスピーディーで強烈な右ミドル、左右のパンチを炸裂させ、3Rには腰の重さを発揮し豪快に山宮を二度投げ、最後はマウントを取って貫録たっぷりの判定勝ちをおさめた。 勝った郷野はマイクを持つ。赤コーナーで悔しそうに見つめ続ける山宮、渡辺、冨宅、窪田、伊藤、渋谷、そして鈴木みのるを背に、“ヒール(悪役)”テイストたっぷりのアピールを見せる。「おいおいおいおい!前のパンクラスのチャンピオンこんなもんか、オイ!あと、前回横浜道場の門番(渡辺大介)を倒した後、俺が美濃輪と闘うのは早いとか言った奴!目を覚ましてください!!」。客席の盛り上がりとは裏腹に、東京・横浜の面々との乱闘が始まりやしないか?そんな緊張感がリングを走る。「(尾崎)社長、俺とボスと佐々木で、ブラジリアントップチームと3対3組んで下さい。もう日本じゃ俺たちの相手になるチームはねぇよ!!」。リングを占拠したグラバカの面々は手をつなぎ一斉に跳びはねて喜びを示す。グラバカファンからは「グラバカ!グラバカ!」とコールが巻き起こる...。グラバカ軍団がようやく去ったリングに東京・横浜の面々が入り四方のファンに深くお辞儀する姿は、なんとも寂しげだった。 「このリングは誰のものだ?」というのが大会のキャッチコピーだったが、まさしくこの結果は「このリングはグラバカの物だ!」ということを証明するような内容だった。特に修斗からパンクラスに乗り込んできた郷野、佐々木のイキイキとしたファイト、技術の高さには目を見張るものがあった。だがしかし、東京・横浜もこれまでなかなかパッとしなかった渡辺大介、窪田幸生の二人が際立って技術の向上が見られたことは大きな収穫だろう。メインイベントのミドル級タイトルマッチ終了後、パンクラスの尾崎社長はマイクを持ち12月1日の横浜文化体育館大会で郷野 vs. 近藤有己を行うことを発表。船木誠勝、鈴木に続く「新世代のエース」として早い次期から期待され続けた男が、グラバカ阻止の最終兵器となるのか? 横文には美濃輪育久も出場すると発表された。パンクラスのリアルな“抗争”は、まだまだ続くのか?最終決戦になるのか? 横文が過剰に熱い冬の陣となる。(井原芳徳) 第1試合 ミドル級(5分2ラウンド) ○大石 幸史(パンクラス横浜) ×ミック・グリーン(パンクラス・オーストラリア/パンクラス・オーストラリア・ミドル級王者) 判定2-0 (20-20,20-18,20-18) 元RJWでパンクラスに入門した大石のデビュー戦。タックルで再三テイクダウンを奪ったが、パワーのあるグリーンの防御に阻まれ攻め手に欠いた。 大石コメント「緊張は無く、試合をすることが楽しみだった。横浜道場で練習させてもらって、技術は付いたが心がまだ強くなっていないことがわかった。次回は初めて来たお客さんでも理解できるような、わかりやすい試合がしたい。そうできるように練習し直して来たい。」 第2試合 ミドル級(5分2ラウンド) ×佐藤 光留(パンクラス横浜) ○岩崎 英明(ストライプル) 2R 4'20" KO(右ストレート) なぜかノーガードで打撃戦に応じる光留だったが、2Rに右フック2発をもらい鼻血を出し、最後も右ストレートでノックダウンした。 第3試合 ミドル級(5分3ラウンド)5対5対抗戦 先鋒戦 ×冨宅 飛駈(パンクラス東京) ○三崎 和雄(パンクラスGRABAKA/2001年ネオブラッドトーナメント覇者) 1R 0'08" KO(右ストレート) 三崎コメント「組み付く予定だったが、本能で打撃が出てしまった。寝技で勝負したかったが、どんな形でも勝ちは勝ちなので嬉しい。あまりプレッシャーは感じなかったが、自分が負けてチームの足を引っ張ったらどうしよう、とは思った。直前に相手が変わってしまったが、憧れだった富宅選手と試合ができたことをそれはそれで嬉しく思う。(今後の目標は?)自分は出稽古には行かず仲間としか練習していないので、実力がどれだけ付いたのか正直言ってわからない。だから誰でもいいから強い選手と戦って、自分の力を試してみたい。」 第4試合 ライトヘビー級(5分3ラウンド)5対5対抗戦 次鋒戦 ○窪田 幸生(パンクラス横浜/8位) ×石川 英司(パンクラスGRABAKA) 2R 0'56" KO(右膝蹴り) 窪田が石川のタックルに狙いを定め、膝蹴りでノックアウト。マイクを持ち「12月23日のDEEP2001(ディファ有明)に出ます。相手は坂田亘選手です。また倒します!」とアピールした。 窪田コメント「今年初めてスッキリ勝てて嬉しい。今日は打撃で行こうと思っていた。左ストレートと右のヒザを練習して来ていたが、試合前は本当はシャイニングウィザード(プロレスラー武藤敬司の必殺技)をやりたいと思っていた(笑)。 KOできて、すごく興奮した。すごく緊張していたし、対抗戦のプレッシャーもあった。富宅さんの敗戦を見て、ここで僕が負けたら・・(どうなるんだろう)と思って、一生懸命だった。これは大きな一勝だと思う。次につなげて欲しい。(DEEPでの坂田戦について)上山選手との過去二戦の引き分けで、成長の無い自分に悩み、その結果を引きずっていた。今回はさらに強い相手とやることになった。次はDEEPで一勝したい。」 第5試合 ライトヘビー級(5分3ラウンド)5対5対抗戦 中堅戦 △渡辺 大介(パンクラス横浜/5位) △佐藤 光芳(パンクラスGRABAKA) 判定1-1 (29-30,30-29,30-30) 佐藤光芳コメント「渡辺選手は技術は特にすごいとは思わなかったが、精神的に強いと思った。下手に技術のある相手よりもやりづらかった。今までランカーとの対戦が続いていたので、急にランク外の選手とやることになって、テンションを上げることができなかった。全部自分のミスで上になられてしまったことと、こちらの戦術を研究されていたことが、ドローになってしまった原因だと思う。」 渡辺コメント「とにかく疲れた。酸欠で呼吸ができなかった。負けなかったので、最低限の仕事は出来たと思う。距離をとって遠い間合いからタックルに入らせる作戦だったが、試合になると興奮して、牽制のための打撃が出せずに、うまく行かなかった。対抗戦という試合形式で、自分の負けがチームの負けにつながるため、プレッシャーはあった。今までもパンクラスを背負うという気持ちはあったが、それを形で出せる試合ができて、いい経験になったと思う。まだまだ未熟だけど、僕達がパンクラスを守る。」 第6試合 ライトヘビー級(5分3ラウンド)5対5対抗戦 副将戦 ×石井 大輔(パンクラス東京/9位) ○佐々木 有生(パンクラスGRABAKA/10位) 1R 3'01" 腕ひしぎ十字固め 佐々木マイクアピール「一度は美濃輪さんに負けましたけど、もう一度美濃輪さん、近藤さん、待っていてください。必ずぶったおします!」 佐々木コメント「1Rはたくさんタックルに行って、スタミナを奪おうと思っていたが、(打撃が)来ないと思っているのがわかったため、仕掛けた。打撃は作戦通り。ミドルで相手のガードを下げさせてからのハイ、というコンビネーションをさんざん練習してきた。打撃を教えてくれたスネークピットの方々に感謝したい。(対抗戦をイーブンで迎えたことで、気合は入ったか?)グラバカがこんな所で止まっているわけには行かない。海外の強豪なり、ブラジリアントップチームなりと闘うためにも、負けられないと思っていた。(ライトヘビーのタイトルは考えているか?)菊田さんがベルトを持っている以上、考えていない。それよりも海外に出てUFCでチャンピオンになって、ベルトを二つ並べたい」 第7試合 ライトヘビー級(5分3ラウンド)5対5対抗戦 大将戦 ×KEI 山宮(パンクラス東京) ○郷野 聡寛(Team GRABAKA) 判定0-3 (28-30,29-30,29-30) ※対抗戦はGRABAKAの3勝1敗1分 郷野コメント「完勝。今日はスタミナに自信があった。最近ロイ・ジョーンズJr.のビデオを見て感化されていたので、フルラウンド遊んで判定勝ちしてやろうと思っていた。あれだけ差を見せたんだから、一本勝ちしなければ駄目だとは言わせない。(ノーガードのリスクはあったか?)ない。あんなにスローなパンチなら致命傷になるようなものはもらわない自信があったので、全然平気だった。(対抗戦の結果には?)大将として、三勝一敗一分けの成績には満足している。一敗は予想通り。予想通りの奴が予想通りの負け方をした(笑)。佐藤の引き分けは計算外だったが、それを補って余りある一本勝ちを佐々木がしたので良かった。95点のできだと思う。(マイクアピールで一番言いたかったことは?)『俺たちのリングだ!』と言いたかった。俺たちで呼んでる客も多い。(パンクラス内で闘ってみたい相手は?)近藤は次に多分ボスが倒す。美濃輪とはやりたかったが、前回ボスに一方的にやられたのに『負けてない』とか言うから、かっこ悪いと思って、興味が無くなった。だから今は特にいない。まあ決められたならパンクラスの日本人なら誰とでも遊んでやる。(フィジカルトレーナーのケビン山崎氏を見つけて)最後に今日僕がスピードで上回っていたのは、ケビンさんのお陰です!」 12.1横文で郷野戦の決まった近藤のコメント 「今やる気がフツフツと沸いてきた。かみ合う試合になると思う。郷野選手はまだまだ実力を出し切っていないと思うが、今日の試合はよい資料になった。(郷野の発言にカチンと来たか?)カチンと・・・来ない。闘うだけ。(今日の試合で郷野の弱点は見えたか?)見えた。いろんな意味で見えた。僕が勝つことによって『グラバカの波を止めた』とお客さんが見てくれれば嬉しい。僕自身は波だと思っていない。試合間隔があいたが、特に不安は無い。郷野に勝つ自信はある。」 メインイベント ミドル級キング・オブ・パンクラス タイトルマッチ/5分3ラウンド ○ネイサン・マーコート(コロラド・スターズ/初代王者) ×星野 勇二(RJW/CENTRAL/4位) 3R 2'13" 三角絞め ※マーコートが王座防衛 1R最初こそ星野のタックルで持ち上げられテイクダウンされたマーコートだったが、2Rになるとタックルを切るようになり、コーナーでの差し合いでも星野を押し込む側となるなど徐々に実力を示し始める。膠着気味の試合展開だったが、3R中盤、星野のタックルに倒れたマーコートが星野が一瞬の隙を突き三角絞め。星野は時計回りに体を動かし脱出を試みたが、逆に深く極まってしまいタップする他なかった。マーコートは12月1日横文で國奥との防衛戦に挑む。 東京・横浜軍の参謀・鈴木みのる、大会終了後のコメント 「(郷野の発言に対して)望むところだね。やられた本人が勝ちあがってもう一度対戦するのが一番だが、今日出てない奴も一杯いる。(郷野のマイクアピール中ピリピリしていたが?)それは違う。僕が選手をリングに呼んだ。自分達の選手に対して『逃げるなよ、見ておけ』、そういう意味で。どんな状況になっても応援してくれたファンのみんなに『ありがとう』くらい言わせようと思った。(試合に関して)グラバカの攻め方は、僕の想像の範ちゅうではあった。正直言って想像以上のものは無い。今回は相手のパターン、弱点を考えないようにしてもらって、本人が何をしたいのかはっきりさせてもらって練習した。皆練習していたところは出ていたと思う。総合力を上げる必要は無いと思っている。それぞれの武器を高めてほしい。僕の中では“プロ”のレスラーであるのが大前提。パンチで倒したいなら殴って倒せるレスラーであって欲しい。あのようなアピールをされたが、そんなに差があるとは思えません。(富宅の出場に関して)富宅を推したのは自分。結果は残念だったが、出てもらってよかった。みんなにとってプラスだったと思う。パンクラスのために体を張るという、富宅の姿勢を見て、何も感じないような若い選手には、将来は無いと思う。何かを感じてくれていると思うし、何かを感じて欲しい。先鋒に出た富宅の勇気によって、他の四人が背中を押されたというのが感じとれてよかった。」 パンクラス尾崎社長コメント「お客さんが盛り上がってくれたので、この流れを消したくない。選手自体も対抗戦によって盛り上がっているのがわかった。この火を消さずに、パンクラス内部の抗争を続けていった方が良いと思った。一時期グラバカと東京・横浜両道場の間には、差があったと思うが、それが近づいてきたと感じた。東京・横浜の選手から、もう一度対抗戦をやらせて欲しい、と言われるのを期待している。納得いくまでやればいい。今後対抗戦という部分を拡大していきたい。提携している和術慧舟會との対抗戦を行うなどして、勝ち残った日本人が海外の強豪と戦う、そういう流れを作って行ければ良いと思う。」 【この大会のご意見ご感想を掲示板で募集!】 <関連記事> 【スペシャル企画】 「このリングは俺のものだ!」郷野、佐々木、石井 大会前単独インタビュー パンクラス10.30後楽園ホール大会・直前コメント集/伊藤が負傷欠場 大石幸史、ミック・グリーン経歴 パンクラス12.1横文で國奥がミドル級タイトル再挑戦 Last Update : 11/04 15:19 |