(レポ&写真) [K-1 MAX] 2.2 武道館:城戸、日本トーナメント初優勝
FEG "Ameba presents K-1 WORLD MAX 2008 〜日本代表決定トーナメント〜" 2008年2月2日(土) 東京・日本武道館 観衆:9549人
レポート&写真:井原芳徳 【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】
【ONLINE SHOP】 城戸康裕、日本一直前の12月の試合収録のDVD「MAキック チャンピオンカーニバル」
◆ 日本代表決定トーナメント
第2試合 一回戦(1) 3分3R(延長1R) ○アンディ・オロゴン(ナイジェリア/チーム・オロゴン) ×山本優弥(青春塾/全日本ウェルター級王者) 判定3-0 (朝武29-28/黒住29-28/勝本29-28)
開始すぐから優弥は左ミドルと右ローで積極的に攻めるが、1R終盤からパンチの打ち合いになると、アンディが一枚上手。左ストレートで優弥をのけぞらせ、2R序盤には右ストレートでダウンを奪う。その後、優弥は左ミドル、右ロー、左ボディで猛反撃するが、アンディは試合終了までしのぎ切り、準決勝に駒を進めた。
第3試合 一回戦(2) 3分3R(延長1R) ×尾崎圭司(チームドラゴン/R.I.S.E. DOAトーナメント'06優勝) ○城戸康裕(谷山ジム/MA日本ミドル級王者) 判定0-3 (朝武28-30/黒住28-30/市瀬29-30)
尾崎は随所でバックスピン、城戸は左ハイを放ちつつ、ローを打ち合う展開。「ローを効かされた」という城戸は、2Rにサウスポーにスイッチして左ミドルを増やす。均衡状態のまま3Rへ。尾崎はジャブを連打しつつパンチ戦に持ち込むが、城戸は左ハイ、右膝、右ストレートを単発ながらも的確に尾崎の頭部にヒット。終了間際、尾崎のパンチラッシュで後ずさりするが、右ハイを叩き込んで尾崎の膝がくずれると、勝本剛司レフェリーはダウンを宣告。城戸がギリギリのところで勝利を決めた。
第4試合 一回戦(3) 3分3R(延長1R) ×TATSUJI(アイアンアックス/R.I.S.E. DOAトーナメント'05優勝) ○前田宏行(BUKUROジム/元プロボクシング日本3階級王者) 1R 1'10" KO (2ダウン:左フック)
期待通りのボクシング戦となったが、プロの日本3階級を制した前田が勝った。打ち合いで左フックを当ててダウンを奪うと、TATSUJIはフラフラに。前田は落ち着いて右ローも打ちつつペースを維持すると、最後も打ち合いで右アッパーと左フックを連打。TATSUJIの腰が落ちたところでレフェリーがKOを宣告した。
第5試合 一回戦(4) 3分3R(延長1R) ○HAYATO(FUTURE_TRIBE/UKF世界スーパーウェルター級王者) ×龍二(リアルディール/R.I.S.E. DOAトーナメント'07優勝) 判定2-0 (朝武29-28/黒住29-29/市瀬29-28)
激しいパンチの打ち合いがノンストップで最後まで続く死闘に。1R、龍二が左フック、右ストレート等でHAYATOをひるませ優勢。2Rもその流れが続くが、HAYATOは龍二の右のテンカオのカウンターで右ストレートを合わせダウンを奪う。龍二は右ハイも放ちつつパンチを何発も当てるが、HAYATOの手数も落ちず、左ミドルや右ローも駆使。結局最後まで龍二にチャンスメイクを許さず、初戦突破に成功した。
第6試合 リザーブファイト 3分3R(延長1R) ○白須康仁(花澤ジム/WMAF世界スーパーウェルター級王者) ×蜜山剛三(ファイブリングスドージョー) 2R 2'46" KO (2ダウン:右ストレート)
サウスポーの構えで左ミドルを当てる蜜山に対し、白須は重みのある右ロー。2Rには右フックをきっかけに、パンチの連打でダウンを奪う。最後は突進した蜜山に右ストレートを合わせ、きっちりKO勝ちをもぎ取った。
第7試合 準決勝(1) 3分3R(延長1R) ×アンディ・オロゴン(ナイジェリア/チーム・オロゴン) ○城戸康裕(谷山ジム/MA日本ミドル級王者) 判定0-3 (朝武29-30/御座岡29-30/大成29-30)
互いに蹴り主体の攻防。城戸は左ミドル、右ローを効かせ、右の前蹴りでアンディを吹き飛ばす場面も。2Rにはバックブローで奇襲を仕掛ける。互いに一回戦でフルラウンド戦った影響もあり動きは落ちるが、そんな中若干ながらも3Rに優位に立ったのは城戸。右ローを効かせると、アンディは組み付いて防御する場面が増えるように。トーナメント初参戦の城戸が、本命アンディを撃破する快挙を成し遂げた。アンディは一回戦の優弥戦でもらった左ミドルで右腕を痛めたことを試合後のインタビューで明かした。
第8試合 準決勝(2) 3分3R(延長1R) ×前田宏行(BUKUROジム/元プロボクシング日本3階級王者) ○HAYATO(FUTURE_TRIBE/UKF世界スーパーウェルター級王者) 1R 終了時 TKO (ドクターストップ:右腕骨折の疑い)
両者一回戦はパンチ主体のファイト。準決勝でも前田はパンチを仕掛けるが、HAYATOは付き合わずに左ミドルと前足狙いのローを打ち続ける。1R中盤には若干ぐらつく場面も見せた前田だが、残り30秒、強引にパンチの連打に持ち込み、左右のフックを連続でクリーンヒットさせダウンを奪取。さらにパンチラッシュでコーナーにつめるが、HAYATOはゴングに救われる。するとインターバル中、HAYATOの蹴りをもらった前田の右腕に骨折の疑いがあると中山健児ドクターが発表しストップ(本人は試合後、脱臼と話した)。HAYATOが強運を発揮し悲願の決勝進出を果たした。
第10試合 決勝戦 3分3R(最大延長2R) ○城戸康裕(谷山ジム/MA日本ミドル級王者) ×HAYATO(FUTURE_TRIBE/UKF世界スーパーウェルター級王者) 1R 1'07" KO (3ダウン:右ストレート) ※城戸が初優勝。世界一決定トーナメント開幕戦出場権と賞金500万円を獲得
開始すぐ、城戸がパンチの打ち合いを仕掛け、右ストレートでダウンを先取。城戸はパンチラッシュに膝蹴りも混ぜた後、左ストレートで2ダウン目を奪う。「蹴りで来ると思っていたので予想外だった」というHAYATO。フラフラの状態だったが、それでも打ち合いに応じ左フックでダウンを奪い返すと、場内は大歓声に包まれる。 とはいえダメージの蓄積ではHAYATOが上。城戸がハイキックを放つと、HAYATOはスウェーして前へ。そこに城戸が右ストレートを合わせると、HAYATOは大の字でダウンし、城戸の初出場初優勝が決まった。 大喜びの末、マイクを持った城戸は「最後はKOで終わったけど、まだまだ憧れのスーパースターの魔裟斗選手には追いつけない。魔裟斗選手から『K-1を任せる』と言ってもらえるぐらい頑張る」と謙虚に話した。
◆城戸「信じられないです。一回戦の尾崎戦の対策しかしていませんでした。尾崎戦では1Rにもらったインローがグチャって感じで当たって効いちゃって、顔には出さなかったけど、途中からサウスポーに切り替えました。尾崎戦が一番キツかったです。 (尾崎戦でダウンを奪ったハイは狙ってた?)常に狙って打ってます。ノッパデッソーン(元ラジャダムナン王者・現WBCムエタイ王者のタイ人。谷山ジムのトレーナー)からアドバイスをもらってて、パンチでラッシュをかける選手には一番付け込みやすいですね。
(準決勝のアンディ戦について)ビデオすら見ていなかったけど、前に出てこなかったんで僕のスタイルにハマりました。優弥戦でローが効いていたからラッキーでしたね。 (決勝のHAYATO戦は最初から仕掛けるつもりだった?)そうですね。ノッパデッソーンと駿太(ジムの後輩のMA日本フェザー級王者)と相談して。決勝はKOできたけど、一回戦と準決勝はまだまだですね。こんなんじゃ魔裟斗選手や佐藤選手の足下にも及びません。 (賞金500万円の使い道は?)大学の奨学金の残り200万円を一括で返します。残りはとりあえず両親に何かをプレゼントしたいです。キックでチャンピオンになってからキックに専念するためにアルバイトもしていなくて、ずっと切り詰めた生活をしていたのでうれしいです。優勝できるとは思っていませんでした。(漫才の)M-1で優勝したサンドウィッチマンみたいな心境ですね(笑) (今後について)4月(9日の世界一決定トーナメント開幕戦 広島大会)は絶対に取りこぼさないよう、今回の反省を活かしてもっと練習します。足は痛いけど、行きたかったスノボに行って、20日からタイのノッパデッソーンのジムで練習します(※一夜明け会見では、スノボは中止し療養することを明かした)」
◆HAYATO「優勝しか考えていなかったんで、準優勝でも一回戦負けでも同じです。(今後について)何も考えてなかったんで、ダメージを抜いてから考えます」
◆谷川貞治FEG代表「城戸選手は身体能力が高く小比類巻選手の再来のようなタイプ。優勝はおめでとうといいたいけど、決勝以外の戦い方には課題が残りましたね。やっぱり一日3試合はキツいですね。HAYATO選手も最後はフラフラでしたし。今日の(MAXの)MVPは前田宏行選手。開幕戦の日本人は魔裟斗、佐藤、城戸の3人で、他はエントリーしません」
【ONLINE SHOP】 城戸康裕、日本一直前の12月の試合収録のDVD「MAキック チャンピオンカーニバル」
◆ ワンマッチ
第9試合 スーパーファイト 3分3R(延長1R) ○ブアカーオ・ポー・プラムック(タイ/ポー・プラムックジム/K-1 MAX 世界大会'04 '06王者) ×佐藤嘉洋(フルキャスト / 名古屋JKファクトリー) 4R 判定2-1 (朝武10-9/御座岡9-10/大成10-9) 3R 判定0-0 (朝武30-30/御座岡30-30/大成30-30)
トーナメントとワンマッチのブアカーオは別人、という評価は以前からあるが、今回もその通りの内容に。ブアカーオは左の前蹴りを休み無く出してプレッシャーをかけ、右ロー、右フックを時折当てる。互いに優勢な場面の無いまま延長ラウンドに入ると、ようやくブアカーオは本気モードのフックとボディブローのラッシュで佐藤を苦しめる。ところが残り10秒、佐藤のカウンターの左フックが炸裂し、大逆転のチャンス。ブアカーオはゴングに救われ、判定は割れたものの辛うじて勝利をものにした。
第1試合 スーパーファイト 3分3R(延長1R) ○アルトゥール・キシェンコ(ウクライナ/キャプテン・オデッサ/K-1 MAX 世界大会'07 ベスト4) ×我龍真吾(ファイティングマスター/M-1ミドル級王者) 1R 3'00" KO (3ダウン:左フック)
キシェンコは序盤から重みのある左右のボディブローを当て主導権。耐えた我龍はパンチの連打と膝蹴りで反撃の場面を作るが、直後のパンチの打ち合いで巧さを発揮したのはキシェンコのほう。立て続けに3ダウンを奪い完勝した。
◆ K-1 WORLD YOUTH 2008 - International Team Competition - 第1弾 日本vsオランダ
大将戦 60kg契約 3分3R ○HIROYA(フリー) ×ロビー・ハヘマン(オランダ/チーム・グンヤー) 2R 2'07" KO (左フック)
20歳未満の選手育成のためにスタートしたK-1ワールドユース。対抗戦は3試合とも、途中まではほぼ互角の攻防だが、日本人選手がローを効かせると次第に流れをつかみ、フィニッシュの一撃または優勢につなげる展開となった。ユースの試合では通常の10カウント制とは違い5カウント制が採用された。日本チームの監督に就任した前田憲作氏は、セコンドの数メートル後ろから選手にアドバイスを送り、試合後は勝利した選手の肩をたたき健闘を讃えた。 なお、谷川FEG代表は嶋田翔太をこの日のMVPとし、「関係者いわく、彼らよりもっと強いという日本人の10代3人が今日も見に来ていた」「100人ぐらい選手を育てたい。階級は60kgにこだわっていない。早く単独イベントをやりたい」と規模拡大に積極姿勢。一夜明け会見ではユースの協会設立や、新空手との提携にも意欲を示した。
中堅戦 60kg契約 3分3R ○才賀紀左衛門(大誠塾) ×ロイ・タン(オランダ/メジロジム) 判定3-0 (朝武30-29/岡林30-29/斉藤30-28)
先鋒戦 60kg契約 3分3R ○嶋田翔太(島田塾) ×バピー・“ベビーフェイス”・テテロー(オランダ/ボクシング82) 2R 0'32" KO (右バックハンドブロー)
Last Update : 02/04 10:37
|