(レポ&写真) [バンゲリングベイ] 1.13 新宿:新田、引退戦は黒星
バンゲリングベイ "BUNGELING BAY 縁 〜enishi〜" 2008年1月13日(日) 東京・新宿FACE 審判:JKBレフェリー協会
レポート&写真:井原芳徳 【→カード紹介記事】 【→掲示板・キックスレッド】
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第6試合 メインイベント 肘無し 75kg契約 3分5R ○寒川直喜(バンゲリングベイ/J-NETWORKミドル級王者) ×須藤信充(team SUDO) 4R 1'25" TKO (ドクターストップ:膝蹴りによる右眉尻のカット)
「須藤さんの左フックは(K-1 MAXで戦った)ドラゴよりも凄かった」。これは試合直後の寒川のリング上での言葉だ。記録は寒川の勝ちだが、内容は下馬評を覆す須藤の大健闘だった。 先手を取ったのは寒川だった。リーチ差を活かし、得意の左ジャブを何発もヒットさせる。だが須藤は焦ることなく、体重の乗った右ローを着実にヒット。途中寒川に左頬を切られドクターチェックを受けるが問題にせず。2R終盤には右ローの直後に、左フックや左ボディも織り交ぜるコンビネーションでチャンスを作る。
すっかりジャブが打てなくなった寒川に対し、須藤は3Rにも右ローからの怒濤のコンビネーションでたびたび寒川を追い詰める。空振りながらも右ハイを織り交ぜる場面も。弱った獲物を一気に殺しにかかる野獣のような攻めは、2年前迄のNKB時代を彷彿とさせる。 だが4R中盤、須藤は終盤のラッシュのために力を温存しようと、攻撃の手を緩めた矢先、寒川の膝蹴りで右眉尻を切られてしまう。さほど出血は無かったが無念のドクターストップ。寒川はジムの自主興行のメインを辛うじて白星で飾ることに成功した。
◆寒川「須藤さんの左フックはドラゴよりも凄かった。視界から何度も消えたし、隙ができればしっかり突いてくるし、とりあえず『天才』だってことで(苦笑)。ジャブで相手を嫌がらせてから膝蹴りで脳を揺らしたかったけど、フィニッシュの膝は体幹が乗っていない悪いパターンだから、こすれちゃったんじゃないかな。正直助かりましたけど、ああいう勝ち方は自分らしくない。ここ最近『体調が良くなかった』と試合後にコメントすることが多かったけど、潰瘍性大腸炎が理由でした。入院してちゃんと治してから復活します」
◆須藤「あれで止められちゃうのはちょっと。血はすぐ止まったしね。(激励に来た我龍真吾を見て)我龍君が最初の寒川戦で止められた時の悔しさがわかるよ。(試合前に話していたとおり、蹴りとパンチのバランスの良さが戻っていたが?)まあ良かったんじゃない? 5R戦える体力もあったし、寒川君のジャブはそんなに効かなかったし、攻撃も封じられたけど、思ったより寒川君の体が強かったよ、ハッハッハー!(今後は?)修正点は見つかったんで、それを直しつつ、筋トレでもっと筋肉を増やしたいね」
第5試合 セミファイナル K-1ルール 72kg契約 3分3R ×新田明臣(バンゲリングベイ/UKF世界ミドル級王者、K-1 WORLD MAX 2005 日本代表トーナメント準優勝) ○ヤン・カシューバ(カナダ/unit-k/ワールド士道館空手ミドル級'05優勝) 判定1-2 (少29-30/小川30-29/山中29-30)
新田明臣が15年のキックボクサー生活にピリオドを打つ一戦。お笑いタレントのアントニオ小猪木、KICK☆に先導され、お馴染みのサンバ・デ・ジャ・ネイロの曲に乗って、にぎやかに登場した新田は既に涙目だ。呑み仲間のブラザートムさんによる入場コールの時点で、新田は感極まっていたという。 最後の舞台は初の自主興行。となると比較的楽な試合が用意されても不思議では無い。だが、非常にシビアな、それでいて非常に新田らしい最後に。
相手のカシューバは昨年末閉鎖した英会話学校NOVAの元講師。11月末には無一文になったが、生徒に支えられ食いつなぐ生活が読売新聞で取り上げられた。今回が格闘家として自立するための初戦で、なおかつ相手がK-1 MAXでも経験豊富な新田ということもあり、戦いは真剣そのもの。開始すぐから空手仕込みの突きの連打と膝蹴りで新田を下がらせる。 新田も場内の「ニッタ」コールを背に、2Rには左ミドルを連打。逆にカシューバを下がらせる。ところが2R終盤、再びカシューバがパンチの連打で逆襲。新田はコーナーに詰められ防戦一方に。 3Rもカシューバの猛攻が続くが、新田はラウンド後半、意を決したようにカウンターの右フックを強打すると、これをきっかけにパンチの打ち合いに応じるように。ミドルやハイも織り交ぜ、新田らしさを存分に見せきって最後のゴングを聞いた。
判定は1-2のスプリットでカシューバに軍配。2Rの攻撃が評価の分かれ目になったようだ。勝ったカシューバは新田の最後の試合ということを気にしない様子で飛び上がって喜んでいたが、観客からは不満の声は無く、その様子を暖かく見守っていた。 マイクを持った新田は「すいません、負けてしまったけど挨拶させて下さい。今できることをやったので後悔は無いです」等と話し、引退試合で恒例の10カウントゴング無しで退場した。新田のキックボクシング通算戦績56戦34勝(16KO)18敗4分。
◆新田「閉会式で、リング上でみんなと集まって記念撮影をしたときの光景が、試合前にずっと思い浮かべていた光景と全く同じでうれしかったです。負けてしまったけど、結果のことはすぐ忘れちゃうんで執着していないです。 首の神経がやられてしまって、ここ数年、足の痛みが脳にちゃんと伝わらない状態でした。日常生活でも簡単に転んでしまうことがありますし、今回に向けての練習も寒川にミットを6ラウンド持ってもらうだけしかできませんでした。むしろ休むことが練習という感じでした。 これからは『エンターテイナー』になりたいですね。単純に人を楽しませるという意味もあるし、今回の大会名の『縁(えにし)』のとおり、人と人とのつながりを僕が作り、面白いこと、新しいことを生み出せればと思います」
第4試合 フェザー級 3分3R ○出貝泰佑(バンゲリングベイ) ×友麻(ファイティングマスター) 2R 2'17" KO (左バックスピンキック)
第3試合 ライト級 3分3R ○藤田祐貴(谷山ジム) ×飛猿(AXKICK) 判定3-0 (シーナ30-30/山中30-29/小川30-29)
第2試合 ヘビー級 3分3R ○Edo Ryoma(ブラジル/THE SPIRIT GYM AE) ×小阪俊二(ファイティングマスター) 2R 2'22" KO (右ローキック)
第1試合 75kg契約 3分3R ○加藤和徳(バンゲリングベイ) ×SENZO(club EDO) 1R 1'32" TKO (ドクターストップ:左目の負傷)
[セミプロマッチ]
第3試合 ライト級 2分2R ○梶原洋樹(バンゲリングベイ) ×狼鐘闘[ロベルト](ペルー/club EDO)※Robertoから改名 判定3-0 (20-19/20-19/20-19)
第2試合 67kg契約 2分2R ×鈴木宏典(バンゲリングベイ浜松) ○林 徹(ファイティングマスター) 判定0-3 (19-20/18-20/18-20)
第1試合 72kg契約 2分2R ×高本博文(バンゲリングベイ) ○嶋津直樹(ソウルガレージ) 判定0-3 (19-20/19-20/19-20)
Last Update : 01/15 11:07
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