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(レポ&写真) [パンクラス] 12.10 ディファ:川村、カストロとドロー

ワールドパンクラスクリエイト "SEGA SAMMY Presents PANCRASE 2006 BLOW TOUR"
2006年12月10日(日) 東京・ディファ有明

  レポート:本庄功志  写真:井原芳徳  【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】
 

第7試合 ライトヘビー級 5分3R
△川村 亮(パンクラスism/3位)
△ニルソン・デ・カストロ(ブラジル/シュートボクセ・アカデミー)
判定0-1 (松宮29-29/梅木29-29/廣戸28-29)


 幾多の選手を苦しめたカストロのローブローが川村にもヒットし、ファールカップから音が聞こえる。しかし川村はお構い無しに、相手のローに合わせパンチを放っていく。川村はダッキングしながら、パンチを振って圧力をかけていき、出だしは上々だ。

 2Rに入り、カストロの左ローがピンポイントに川村の足を効かせはじめる。川村は踏み込んでのストレート、フックと打つが、単調になりつつある感は否めない。しかし、右フックがカストロの顔面にクリーンヒット。カストロをぐらつかせ、ラッシュを仕掛けるも仕留められず3Rへ。
 最終ラウンドは完全にカストロペース。スタミナが底をつきはじめた川村は、経験の差もあり終始劣勢に。「やられている時に気持ちが出せなかった」と話した川村は、ハイキックをもらうと力なく腰が崩れグラウンドで下に。折れかけている川村の心を、躊躇なくへし折るようにカストロがバックから強烈なパウンド。なんとかスタンドに戻した川村だが、足が効いていて踏み込みが甘くパンチが当たらない。最後はまたしても川村が下になり、パンチを数発もらったところで試合終了。

 判定は一者カストロに支持しドロー。結果的にはデビュー間もないにも関わらず、カストロ相手によくやったと思ってもいいだろう。だが、ファンはアカーシオ撃破により、川村をすでに高い位置にまであげているのではないだろうか。その証拠に、判定が告げられた時の会場が静まり返っていたのが印象に強い。ファンは川村の勝利が欲しく、見たかった。
 「ドローを活かします」と試合後語った川村。来年は彼がパンクラスの顔となり、近藤が果たせなかった“強いパンクラス”を体現してほしい。

◆カストロ「今日の試合に向けて、十分練習してきました。1年間間が空いたので、次に向けての練習試合のような感じで臨みました。(川村の印象は?)強かったです。腰が予想外に強かったので、途中でムエタイに作戦を切り替えました。
(2Rにパンチをもらったが?)顔面に入りましたが、意識はありました。もらったおかげで逆に闘志が沸いてきましたね。私はパンクラスの王者になりたいので、次は王者(近藤)とやらせてほしいです。」

◆川村「うーん…、勝てませんでした。観に来てくれたファンに申し訳ないです。心の中に弱い気持ちの部分がありました。やられているときに気持ちが出せなかったですね。パンクラスを背負う気持ちが出せませんでした。負けるなら思いっきり負けようと思っていたので、ドローは嫌です。でもデビュー第2戦の時のドローとは違う。この引き分けを必ず活かします」

第9試合 メインイベント ライトヘビー級 5分3R
○近藤有己(パンクラスism/王者)
×イアン・ナイ(メキシコ/カポエイラ・アンゴラ・スポーツ・センター)
1R 1'30" ギブアップ (チョークスリーパー)



 当初近藤が対戦予定だったジョン・フランソワ・レノグが、マネージメント会社とのトラブルを理由に欠場(試合放棄とみなされ、近藤は不戦勝扱いに)。代わって急遽用意されたナイはカポエイラの選手とのことだったが、「勝ちにいった」という近藤は打撃につきあわず、タックルで転がすとバックに回りスリーパーで秒殺。汗一つかかない余裕の勝利だった。

 マイクを持つと「自分はこの試合が今年最後だとは思っていません。年末出られるよう勝手に準備しています」と発言。PRIDE男祭り参戦を熱望した。

◆近藤「(試合は)落ち着いてできました。相手はタイプ的にレノグと同じだと思ったので。総合慣れしていない感じでやり易かったです。
(年末の参戦をアピールしたが?)年末は自分の中でこだわっています。今日からでも準備していきます。(階級は?)こだわらないですね。正直言うと、PRIDEに出たいなというのがあります。やり残した事があると思うんで」
 

第8試合 セミファイナル ウェルター級 5分3R
×アライケンジ(パンクラス)
○石毛大蔵(SKアブソリュート/王者)
判定0-3 (和田29-30/梅木28-30/松宮28-30)


 序盤から打撃戦を展開する両者。スタンドではアライが「打撃は王者に届くと感じた」と話すように、右フック、アッパーとコンビネーションを放っていき一歩リードか。
 だが2R以降、石毛はスタンドでは不利と感じたか「殴り合いたかったが、作戦を変えた」といい、グラウンド戦に移行。アライを何度も倒し、時折強烈なパウンドを放つ。下になったアライは何も出来ず、グラウンドの展開を制した石毛が判定で勝利した。

◆石毛「スタンド強かったですね。それだけです。自分の中で思い通りできず、内容がダメだったので詰めていきたいですね。(アライを)極めきれず、最後の詰めが甘いと思いました。今年1年はパンクラスの王者になりましたが、周りは特にチヤホヤしてくれませんでした。王者として外のリングにいきたいですね。最終目標としてはUFCのライト級(70kg)ベルト。そこに焦点を合わせて体作りをしていこうと思います」

◆アライ「グラウンドが下手すぎだと思いましたね。申し訳ないです。自分に自信のある打撃しか練習しなかったので甘かったです。(石毛は)強かったですね。組んでこないと思ったんですけど、いざ組まれたら全然ダメでした。(試合は)自分がカウンターを狙いすぎて、アグレッシブさを忘れていました。自分は上手くなってはいますが、強くなっていません。練習を大幅に変えて強くなります。今後もウェルター級でやっていくつもりです。ライト級はストーリーがなく、自分が願う対戦相手がいませんので」
 

第6試合 ライト級 5分2R
○伊藤崇文(パンクラスism/2位)
×松田恵理也(TEAM坂口道場)
判定2-0 (松宮20-19/和田20-20/廣戸20-19)


 グラウンドで上になった伊藤が、ガッチリ相手を固め、安全運転の状態。下の松田は、腕十字を仕掛けるも不発。伊藤がほぼ上の状態をキープするも、動きが見れず膠着状態が続く。試合時間のこり僅かの時、両者足の取り合いを演じるも動かず試合終了。試合の主導権を握る時間の長かった伊藤に軍配が上がった。

第5試合 ミドル級 5分2R
○佐藤光留(パンクラスism/3位)
×マタファノフ・スヴャトスラフ(ロシア/SKアブソリュート・ロシア)
判定3-0 (梅木20-18/松宮20-17/廣戸20-17)

※スヴャトスラフはオイルを顔に塗っていたため、試合開始時に減点1

 佐藤がタックルで再三に渡りテイクダウンを奪い、足関節を狙う。途中お互いが極めあいっこする場面が見られたが両者極めきれず。佐藤がグラウンドで有利なポジションを取り続け、判定で勝利した。

第4試合 ウェルター級 5分2R
○大石幸史(パンクラスism/4位)
×野沢洋之(スタンド)
1R 4'53" KO (スタンドパンチ)


 序盤からバチバチの殴り合いを展開する両者。どちらが先に倒れてもおかしくないようなパンチを交錯させる。大石がテイクダウンに成功するも、膠着しブレイク。その後、またも打ち合いを両者繰り広げると、大石はコーナーに詰められ劣勢となったが、右フックで一発逆転のKO勝利をおさめた。

第3試合 パンクラスアテナ 57kg未満契約 3分3R
×WINDY智美(パンクラスism)
○竹下嘉奈子(和術慧舟會東京本部)
3R 2'08" ギブアップ (アームバー)


 打VS極とハッキリとわかりやすいこの一戦は、序盤WINDYの打撃が竹下を圧倒する。ロー、パンチと振っていくWINDYに対し、竹下はガードが甘くパンチをもらう。しかし、組み付いてグラウンドの展開になるとやはり竹下。腕十字を再三にわたり仕掛け、打撃で与えてしまったポイントを挽回する。

 直進してくる竹下に対し、WINDYは横のステップが甘く組みつかれてしまう。3Rテイクダウンを奪った竹下は、すぐさまマウントになり三角絞め。極められないとみるや、腕十字、アームバーに移行しWINDYはタップ。番狂わせの金星を手にした竹下は、来年の女子格闘技界で台風の目になるかもしれない。

◆竹下「打撃をもらいすぎました。今後の課題ですね。引いたらやられると思ったので、前に前にという感じで。(WINDYは)強かったです。特にパンチはすごいですね。今後もパンクラスは呼んでいただけるのならいつでも出ます」
 

第2試合 ミドル級 5分2R
○鳥生将大(パンクラスism)
×鶴巻伸洋(ティアゲネス)
1R 1'16" KO (スタンドパンチ)


 ブラジリアンキックのような蹴りで、鶴巻を牽制する鳥生。数発ローキックを当てたあと、パンチの連打で相手をロープに詰めた鳥生は、左ストレートを当てダウンを奪う。その後追い討ちのパウンドを連打したところでレフェリーがストップ。プロデビュー戦は完勝だった。

◆鳥生「デビュー戦ということで緊張しましたが、これでismの仲間入りができたと思います。来年はネオブラッド・トーナメントで優勝したいです。今後は総合力のある選手になりたいです」
 

第1試合 フェザー級 5分2R
○志田 幹(パンクラスP's LAB東京/3位)
×藤原大地(パンクラス稲垣組)
1R 0'36" TKO (レフェリーストップ:タックルによる負傷)


 開始すぐ、志田のタックルで藤原が背中を強打し、悲鳴をあげたため、レフェリーが試合をストップした。体を斜めに動かすだけで悲鳴をあげ、下手に動くと脊髄損傷の恐れもあるため、藤原をリングから一切動かすことができない状態。救急車で搬送されるまで30分近く休憩時間が取られる異例の事態となった。
 藤原の診断の結果は「腰椎横突起骨折」。2本の背骨が折れた状態だったことが判明したが、脊髄系は無事だった。手術の必要は無く、骨が付くのを待つ状態だという。

Last Update : 12/12 14:05

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