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(レポ&写真) [PRIDE武士道] 6.4 さいたま:マッハら茨城勢全勝

ドリームステージエンターテインメント "PRIDE武士道 - 其の十一 - PRIDEウェルター級グランプリ2006開幕戦"
2006年6月4日(日) 埼玉・さいたまスーパーアリーナ  観衆:13,371人

  レポート:星 顕雄(ライト級)、井原芳徳(ウェルター級)  【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】


■ライト級ワンマッチ

第8試合 1R10分・2R5分
○桜井“マッハ”速人(日本/マッハ道場)
×オラフ・アルフォンソ(メキシコ/オド・ファイトクラブ)
1R 1'04" KO (右フック)


 つい先頃、地元路上で一般人男性に殴られ、顔面骨折の重傷を負っていたことが発覚し、世間の耳目を集めたマッハ。2002年サッカーW杯での宮本恒靖を彷彿とさせる、黒いフェースガードを装着して入場ゲートに現れたが、そのマスクもすぐにむしり取ってしまい、試合は「素顔」で行った。
 対するオラフは長髪を力士の大銀杏のように束ね、曲がった鼻、顎には無精髭を蓄えた、まさに「ストリートファイター」を思わせる風貌だ。しかしその風貌も、昨年大晦日、五味隆典との激闘を経験した、今のマッハの敵ではなかった。試合は1分を過ぎたところでマッハの右フックがオラフの顎をとらえ、KO決着となった。
 試合後、マッハは自身が主宰する「マッハ道場」少年部の子どもたちに持たせた、「清い心 強い心 良い頭」と書かれた横断幕を前にマイクを握り、「これを道場のモットーにしているので、素人の人は殴れない」と自身の「話題」で締めくくった。
(※注:木口道場の流れをくむ道場のため、モットーは「強い心」ではなく「強い体」のはずだが、横断幕の文字が誤っていたようだ)

第7試合 1R10分・2R5分
○川尻達也(日本/T-BLOOD/修斗ウェルター級(70kg)世界王者)
×チャールズ・“クレイジーホース”・ベネット(アメリカ/フリー)
1R 2'30" タップアウト (膝十字固め)


 昨年の大晦日、俳優の金子賢とマッチメイクされたことに対して不快感を露わにしていたベネット。だが今回は逆に、川尻から「イロモノ」扱いされ、格の違いを見せつけられる形となった。
 開始早々、コーナー上に座り込み挑発するベネット。だが川尻の心は揺るがない。しつこいタックルで上に乗る「勝利の方程式」にベネットを「代入」し、横綱相撲を見せた。
 開始2分、もつれてベネットが川尻のバックに回ったところで川尻が前転。意外にも脚関節を狙っていった。アンクルホールドが極まらないとみるや、膝十字に移行して難なくタップを奪い、修斗現役世界王者の貫禄を見せつけた。
 マイクを持った川尻は「打投極を磨いて、忘れ物をもう1回引っ張りだせるよう精進する」とアピール。五味へのリベンジに向け新たな一歩を踏み出した。

第6試合 1R10分・2R5分
×マーカス・アウレリオ(ブラジル/アメリカン・トップチーム)
○石田光洋(日本/T-BLOOD/修斗ウェルター級(70kg)環太平洋王者)
判定0-3


 今大会の「ディープインパクト」は間違いなくこの男、石田光洋だった。「五味の首を獲った男」マーカス・アウレリオから文句なしの完全勝利をもぎ取ったのだ。
 Tシャツの背中に入った「TACKLER」の文字通り、パワーのある低空タックルで、何度となくアウレリオを寝かせた石田。2Rは開始早々両足タックルでテイクダウンを奪うと、右の鉄槌10連発。これには場内の観客からも思わず「オーイ!」のかけ声が上がった。
 また、1Rは身長差11cmのリーチの差がある分、石田のパウンドの威力が消されているような印象を受けたが、2Rに入るとアウレリオが「ガス欠」となったか、防御が甘くなり、石田のパウンドの威力が際立った。

 2R残り30秒。石田はセコンドに「あと何秒?」と時間を聞く余裕すら見せた。そして「30!」の声を受けると、石田は猛然とパウンドのスパート。試合が終了すると、それまで攻め込んでいた石田の方が大の字になって倒れ込むというシーンが見られた。

 胸のすくようなワンサイドゲームに、場内からは石田コールが沸き起こる。石田はマイクパフォーマンスで、戦前にアウレリオから「石田なら大丈夫」と言われた件に触れたが、「逆にいい練習ができた」とあくまで爽やかキャラを通した。
 石田は2月の修斗環太平洋王座決定戦後、「川尻君が世界王者なんで、僕はこれが世界のベルトだと思って狙ってきました。このベルトを持って、川尻君と一緒に、世界の強い奴を一人ずつブッ潰していきます」と語っていたが、今日の勝利で、修斗を飛び出し、「世界の五味」となった男のハートに火を点けたのは間違いない。

 なお、DSEの榊原信行代表はライト級のタイトルマッチに関し「8月の名古屋大会でチャレンジャーを絞り込み、11月のウェルター級の決勝大会と同じタイミングがいいかと思う」と話していた。

第1試合 1R10分・2R5分
○ジェイソン・ブラック(アメリカ/ミレティッチ・マーシャルアーツ)
×オ・ウォンジン(韓国/正進MMAジム&CMA KOREA)
1R 6'25" TKO (タオル投入:4点状態からの頭部への膝蹴り)


 共にレスリングベース、共に初参戦という共通点を持つ両者だったが、ウォンジンは立ち技勝負、対するブラックは寝技勝負という好対照の試合となった。
 1R序盤、スタンドでバックを取り、そのまま寝技に引き込んでスリーパーを極めかけたブラックだったが、ここはウォンジンがガード。さらにブラックはガードポジションからフロントチョークを極めかけるが、これも抜けてしまう。ウォンジンの見せ場は開始5分、大振りながらも左右のフックを当てた一瞬だけ。
 最後はブラックが羽根折り固めのような体勢から上四方にまわり、ウォンジンのアゴにピンポイントで合わせたひざ蹴りが決まり、セコンドによるタオル投入のTKO勝ちをゲットした。



■PRIDEウェルター級グランプリ1回戦

第11試合 1R10分・2R5分
○三崎和雄(日本/GRABAKA)
×フィル・バローニ(アメリカ/ハンマーハウス)
判定3-0


 ドツき合いを熱望していたバローニの右フックを三崎はスウェーし、逆に右ストレート、右ローを着実にヒット。少し距離ができると飛び膝も当て、相手が得意とする打撃戦で優位に試合を進める。時には胴回し蹴りを出す場面も。
 もちろんグラウンドになれば三崎のワンサイド。柔道技で倒した後、2Rにはハーフガードからアームロックを仕掛け、バローニがもがいた隙にパスガードして頭に膝を叩き込む。終盤にはロープつかみでイエローカードも誘い出し、最後はバローニが左目付近から出血。三崎の完勝を印象づけた。
 三崎は試合後「使える筋肉と使えない筋肉の違いを教えてやろう、長期戦で嫌がらせをして、カウンターパンチで心を折ってやろうと思っていた」と、してやったりのコメント。バローニは「三崎は素晴らしかった。うぬぼれていた」と出直しを誓った。
 一方で三崎は「冷静に戦えたけど、ガムシャラさも必要」と、一本&KO決着ができなかったことを反省。試合後には同門の郷野をリングに呼び寄せ、決勝での同門対決を目標に掲げた。決勝に辿り着くまで、三崎がどう進化を遂げるかに注目だ。

第10試合 1R10分・2R5分
○デニス・カーン(韓国/アメリカン・トップチーム)
×ムリーロ・ニンジャ(ブラジル/シュートボクセ・アカデミー)
1R 0'15" KO (左フック→パウンド)


 開始早々、カーンが前蹴りを放つと、ニンジャはニヤリと笑う。するとカーンはすぐさま突進し右フックをこめかみにヒット。ニンジャがバランスを崩し後ずさりすると、追いかけたカーンは左フック一発でニンジャをマットに沈めた。
 この日最短時間でのKO勝ち。カーンはマイクを持つと「僕がチャンピオンになる」とアピールした。バックステージでは三崎&郷野のGRABAKA勢との対戦を希望。カーンを優勝候補の一人に上げていた榊原代表も「ウェルター級では一番輝いていた」とこの日のファイトを絶賛していた。

第9試合 1R10分・2R5分
○郷野聡寛(日本/GRABAKA)
×ヘクター・ロンバード(キューバ/吉田道場)
判定3-0


 郷野はスーツ姿でアフロヘアのカツラをかぶり、セコンドと共にダンスを踊りながら入場。元GRABAKAの須藤元気を彷彿とさせるパフォーマンスに会場は大いに沸く。だが初のパフォーマンスが成功し一安心してしまったか?ロンバードの怒りの炎を点火してしまったか?郷野はパンチラッシュを浴び、いきなり窮地に追い込まれる。
 とはいえ郷野は「ラッシュの自覚症状は無い。想定内だった」といい、ロンバードのパウンドと足関を防御するとバックマウントに。ここでしばらく体力を回復させ、スタンドのパンチラッシュをかわすと、ラウンド後半は右フックを何発も当て流れを引き寄せる。サウスポーのロンバードの前足にもローを着実に叩き込み、足元も弱らせる。ロンバードは序盤の勢いはどこへやら。打投極が総合の実戦で活かせるほど体に染み込んでいないようだ。

 2Rはテイクダウンに失敗し上から押さえ込まれる時間が長く続いたが、郷野だけでなくロンバードにも膠着誘発のグリーンカードが出され扱いは五分。残り1分にも郷野は右フックを当て、後半戦の有効打数で上回り判定勝利をものにした。
 期待されたマイクアピールだが「瀧本が勝った場合の内容しか考えていなかった」といい、友人へのメッセージを送る程度のものに。「今日はエンターテイナーとしての第一歩」ともバックステージでは話しており、二回戦以降に郷野ショーが洗練されていくことに期待したい。

第5試合 1R10分・2R5分
×瀧本 誠(日本/吉田道場)
○ゲガール・ムサシ(オランダ/レッドデビル・インターナショナル)
1R 5'36" TKO (ドクターストップ:右目の負傷)


 開始早々、瀧本は外掛けでテイクダウンに成功すると、ハーフからマウントに移行し、腕十字を極める。だが足のロックが甘く、まだ体力の有り余っているムサシは脱出に成功。すぐさまバックを取り、チョーク狙いとパンチで攻め続ける。すると5分過ぎに膠着ブレイク。グリーンカードをもらった瀧本は右目を負傷しており、ドクターストップがかかった。瀧本は病院に直行。榊原代表は「中山(健児)ドクターが『すぐ対応しないと危険』と話していた。シリアスな状態ではないか」と明かしていた。

第4試合 1R10分・2R5分
○長南 亮(日本/チームM.A.D/DEEPミドル級(82kg)王者)
×ジョーイ・ヴィラセニョール(アメリカ/ジャクソンズ・サブミッション・ファイティング)
判定2-1


 スタンドの打撃戦の後、上になったヴィラセニョールは腰を浮かしてパウンドを落とすが、攻めあぐねブレイク。1R残り3分、長南は右のロングフックを当てたのを皮切りに、テイクダウン、サッカーボールキック、バックマウントと一気に攻め込むが、惜しくも時間いっぱいとなってしまう。
 2R序盤もペースを握るのは長南。右ストレートを連続で当て、倒されても脱出し、再び右ストレートを当てる。今度は長南が上になるが、ラウンド終盤はヴィラセニョールのペース。スタンドに戻して前蹴りやハイキックで攻め、上になると終了間際には長南の顔面を踏みつける。判定は割れ長南が勝ったものの、この最後の踏みつけで長南は左目を腫らし、大会終了後に病院に直行することとなってしまう。
 試合後マイクを持った長南は「みっともない試合をしてすみません。次はもっと強い長南亮で挑みます」とファンに宣言した。たいした怪我でないことを祈りたい。

第3試合 1R10分・2R5分
○パウロ・フィリオ(ブラジル/ブラジリアン・トップチーム)
×グレゴリー・ブーシェラゲム(フランス/フレンチ・トップチーム)
判定3-0


 フィリオがマウントを何度も取ってのパンチ連打や、肩固めやアームロック狙いで終始主導権を維持し完勝した。1R終盤にはブーシェラゲムに膠着を誘発したとしてグリーンカード。2R中盤には両者にグリーンカードが出された。

第2試合 1R10分・2R5分
×ムリーロ・ブスタマンチ(ブラジル/ブラジリアン・トップチーム)
○アマール・スロエフ(アルメニア/レッドデビル)
判定0-3


 終始スタンドで距離を取ってのボクシングの攻防。1R、ブスタマンチが数度タックルを試みるが、ストライカータイプのスロエフはグラウンドに持ち込ませない。2R中盤、レフェリーが積極性を促す注意をした後、スロエフの右のロングフックが炸裂。ブスタマンチは尻餅をつき、スロエフの勝利が決定的となった。

Last Update : 06/08 10:48

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