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(レポ&写真) [全日本キック] 4.21 後楽園:山内&大輝、新王者に

全日本キックボクシング連盟 "初代全日本スーパー・ウェルター級王座決定トーナメント 〜決勝戦〜"
2006年4月21日(金) 東京・後楽園ホール  観衆:1,380人

  レポート&写真:井原芳徳  【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】
 

第8試合 セミファイナル 第22代全日本ウェルター級王座決定戦 3分5R
×湟川満正(AJジム/2位)
○大輝(JMC横浜ジム/4位)
3R 2'54" KO (右アッパー)

※大輝が新王者に

 1Rはどちらもほぼ互角。互いに右ロー、左ミドル等を当てる。だが2Rから大輝が持ち前の破壊力を発揮。左フック、左ボディを中心としたパンチラッシュで2連続ダウンを奪う。湟川はゴングに救われる格好に。3Rにも同様の攻めで大輝がスタンディングダウンを奪取。最後は強烈な右アッパーで湟川が前のめりで倒れ、足にきた状態になったのを見たレフェリーがKOを宣告した。

 デビュー2年で同王座を獲った魔裟斗を上回る1年5ヶ月というハイスピードで、大輝は王座を奪取。ここまで9戦9勝(6KO)。公開練習で湟川は、大輝を「何でもできそうだけど、どこにでもいそうな感じ」と評したが、大輝の場合はその分厚い体から繰り出される一発一発の重みが並外れている。まだ22歳で、技術的にも伸びしろも感じさせる。『未完の大輝』の完成形はいったいどれほどの強さなのだろう? 中量級のキックに新たな革命を起こすのは、この男かもしれない。



◆初代全日本スーパーウェルター級王座決定トーナメント

第9試合 メインイベント 決勝戦 3分5R
○山内裕太郎(AJジム/全日本ウェルター級前王者)
×濱崎一輝(シルバーアックス/全日本ミドル級2位)
3R 2'43" KO (右膝蹴り)

※山内が新王者に

 一回戦と準決勝同様、序盤の山内は様子見。打ち合いではボクシング技術で勝る濱崎にやや押され気味に見える。だが、右ローをじわじわ効かせると、濱崎は嫌がるように。同じ打ち合いでも徐々に濱崎のパンチの威力が落ち、山内が攻勢となる。

 相手をいつのまにか劣勢に追いこむ熟練の山内マジックがハマれば、もう怖いものはない。最後は左フックを顔面に当て、すぐさま右ボディをレバーブロー気味にクリーンヒット。濱崎がダウン気味にうずくまると、山内はそのアゴに強烈な右膝を叩き込み、見事KOで2階級制覇を成し遂げた。
 実は準決勝で左足の甲を痛めたため、左の蹴りが使えなかったという山内。それを微塵も感じさせない見事な試合運びだった。リング上では「相変わらずスロースターターですけど、やられる前に手を出せるようバージョンアップしていきます。これからが始まりですので、応援してください」とアピールした。
 新たな始まりの舞台はもちろんK-1 MAX。スーパーウェルター級のリミットは69.85kgで、70kgのMAXとほぼ同体重だ。山内は「K-1経験者と1回はやって力を試したい」とも話したが、濱崎がすでに山本優弥白虎をK-1のオープニングファイトでTKO/KOしていることから、ストレートで本戦に上がっても異論は無いだろう。

 この日は盟友の湟川がウェルター級王座を奪取できなかったが、湟川をKOした大輝もMAXでの活躍が期待できる逸材だ。大輝はMAX参戦について聞かれると「まだそんなことを言えるレベルじゃない」と謙遜したが、単に参戦するだけじゃなく、確実に勝てる自信を付けてから上がりたいという高い志が伝わってきた。同じ志は山内の先述のコメントからも感じられた。
 思えばMAXで活躍する選手には、魔裟斗を筆頭に、小比類巻貴之、新田明臣、佐藤嘉洋ら、全日本の王者(または同等クラス)だった選手が多い。元王者ではなく、未完の大輝、熟練の山内、対照的な現役王者2人がMAXで猛威を振るう。そんな日の予兆をこの日の観客はみな感じたのではないだろうか。

第3試合 準決勝戦 サドンデスマッチ(3分3R+延長1R)
○山内裕太郎(AJジム/全日本ウェルター級前王者)
×吉武龍太郎(アイアンアックス/全日本ミドル級4位)
判定2-0 (豊永30-28/勝本29-29/朝武30-29)


 1Rはやや静かな展開。中盤からパンチが交錯し、徐々に吉武がクリーンヒットで上回り優勢に。だが劣勢と感じていなかったという山内は2R中盤、相手のパンチの突進を誘うと、左の縦肘一撃で右眉をパックリと切り裂き形勢逆転。新任のヌンサヤーム・トレーナーとの練習の成果が活きる。ドクターチェック後、傷が広がるのを警戒し、やや腰が引けた状態でパンチを振り回す吉武に、右ローを着実に当て続け主導権をキープ。テクニシャンぶりを発揮し勝利をもぎ取った。

第2試合 準決勝戦 サドンデスマッチ(3分3R+延長1R)
○濱崎一輝(シルバーアックス/全日本ミドル級2位)
×白川裕規(S.V.G/全日本ミドル級7位)
判定3-0 (野口30-25/勝本30-25/梅木30-25)


 白川のバックブローの奇襲を受ける場面もあった濱崎だが、持ち前のパンチ力を活かし1Rからストレートでダウンを奪取。2R以降は白川の首相撲につかまるものの、3Rには左ミドル一発でダウンを奪い、流れを引き戻す。さらにパンチ連打でもう1度ダウンを奪い、KO勝ちは逃したものの完勝。下馬評通り決勝に駒を進めた。

第1試合 リザーブ戦 サドンデスマッチ(3分3R+延長1R)
○望月竜介(U.W.F.スネークピットジャパン)
×藤元洋次(NSG)
1R 2'59" KO (3ダウン:パンチ連打)


 まさかの一回戦敗退に終わった望月が、ほぼパンチのみの攻撃で藤元を圧倒。右フック、右ボディでダウンを奪い、最後はコーナーに詰めてのパンチの連打で、藤元が棒立ちになったところでレフェリーがストップした。



◆本戦のその他の試合

第6試合 国際戦 54kg契約 サドンデスマッチ(3分3R+延長1R)
○藤原あらし(S.V.G./全日本バンタム級王者)
×ラジャサクレック・ソー・ワラピン(タイ)
3R 1'50" KO (3ダウン:左ローキック)


 ワンロップ戦でのKO負けから5ヶ月ぶりの試合となるあらし。序盤ローブローを2連続でもらうが、「久しぶりの試合で硬すぎた。ローが見えてたのに金的をもらう方が悪い」と振り返り、相手を恨まず「マイペンライ(問題ない)」と話し、ほとんど休まずに試合続行を要請する。
 その後は首相撲の展開が多くなったが、2R中盤、あらしは豪快なバックスピンキックを当てたのをきっかけに流れを変え、左ストレートでダウンを先取する。ラジャサクレックのミドルと肘をもらう場面もあったものの、着実にローを当て返し主導権を維持。3Rには右フックでダウンを奪うとあとは完全にあらしのペース。ローを効かせつつ膝蹴りも当て、左ストレートでこのラウンド2度目のダウンを奪取。最後は左ローキックでとどめを刺した。

 試合後はリング上に最近産まれたばかりの子供をあげ笑顔。「お父さんになった藤原あらしです」と観客に向け第一声を発し、会場は明るい雰囲気に包まれた。バックステージでは「今日はいいミドルもらい勉強になった。勝てたのはラッキーだった」と話し、圧勝にも慢心せず。「今年の目標は中堅のタイ人を倒すこと」と話すとおり、ラジャサクレックに勝ったことは第一歩に過ぎない。再び組まれるであろう日タイ対抗戦からが、お父さんになったあらしの本当の勝負になる。
 なお、マッハ55の連続出場に関しては「僕は一選手。会長に組まれたら上がる」と話していた。


第5試合 ランキング戦 フェザー級 サドンデスマッチ(3分3R+延長1R)
○正巳(勇心館/5位)
×遠藤智史(AJジム/7位)
判定3-0 (朝武28-27/和田28-27/勝本28-27)


 1R、正巳が右フックで2ダウンを奪取。しかし2Rは遠藤が膝蹴りとミドルで巻き返す。3Rには互いに肘で切り合う大流血戦に。遠藤の巻き返しが光り、どっちが勝者かわからない壮絶な結末だった。

第4試合 ランキング戦 ライト級 サドンデスマッチ(3分3R+延長1R)
×島野智広(建武館/5位)
○村山トモキ(AJジム/9位)
判定0-2 (梅木29-30/勝本29-29/朝武29-30)


 淡々とした攻防が続いたが、3R終了間際に膝と肘の有効打を当てた村山が判定勝利をおさめた。

 
◆オープニングファイト

第4試合 75kg契約 3分3R
○木塚龍司(勇心館)
×YO次郎(P's LAB東京)
2R 2'57" KO (3ダウン:左ローキック)

第3試合 スーパーバンタム級 3分3R
×芦塚経行(DRAGON GYM)
○井出 満(WSRフェアテックスジム)
2R 2'05" KO (パンチ連打)

第2試合 60kg契約 3分3R
×宮田裕司(シルバーアックス)
○上杉隼土(超越塾)
判定0-3 (29-30/28-30/29-30)

第1試合 ライト級 3分3R 
×佐藤翔太(S.V.G.)
○鈴木真治(藤原ジム)
判定0-3 (27-30/28-30/27-30)

Last Update : 04/24 13:04

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