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(レポ&写真) [CROSS SECTION] 9.4 TFM:女子総合の独立記念日

GCMコミュニケーション "CROSS SECTION"
2004年9月4日(土) 東京・東京FMホール  ◆J-SPORTS放送スケジュール

  レポート&写真:井原芳徳  【→大会前のカード紹介記事】 【→掲示板スレッド】

女子総合の静かなる独立記念日

 CROSS SECTIONの総合格闘技ルールは、スマックガールのSGSルールと違い、寝技の時間制限が無い。今大会のように、第1試合からメインまで全試合“普通”の総合ルールの試合が並び、なおかつ、組技と立技の両方がまんべんなくできる“普通”の総合選手がこれほどまで揃った女子の格闘技イベントは、おそらく日本初ではないだろうか。(ただしグラウンド状態の相手の頭部への打撃が反則となることは、女子の競技である以上やむを得ない)
 男子の大会では当たり前に行われてきた事が、女子では難しかったのは、“普通”の総合選手がほとんどいなかったためだ。しかしスマックの寝技30秒ルールがキックボクサーの総合進出を促し、女子ならではのグラウンド頭部打撃禁止というデファクトスタンダードがグラップラーの総合進出を容易にした。そして彼女達が試合を重ねるうち、いつの間にか“普通”の総合選手がたくさん育っていた。

 今回のCROSS SECTIONは、会場は小さく、人気選手が出ているわけでもなく、ズバ抜けた名勝負があったわけでもなく、ややもすればすぐに忘れられてしまうような大会だ。しかし女子の総合が、多彩なルールが並ぶ“ジョシカク”という括りから独り立ちし、ようやく男子並の“普通”の水準に達した意義深い大会だったと思う。これまでの“ジョシカク”と、これからの“女子総合”の間に、一つの断面(cross section)を作り上げたとでも言おうか。満員の観衆を集め、辻結花 vs. モントーヤの名勝負を生み出した8月のスマックの後楽園大会とセットで、歴史に記録されていいようにも思う。


メインイベント -47kg契約 5分2R
△大室奈緒子(和術慧舟會東京本部)
△吉田正子(NATIVE SPIRIT)
判定0-0 (ドロー=芹澤,和田,磯野)


 身長145cmの大室は、160cmの吉田のリーチの長さに阻まれ、スタンドで有効打を出せない。グラウンドになると、ガードポジションから腕や三角のチャンスを伺う吉田と、パスガードや足関を狙う大室の、細かな駆け引きが続く。結局互いに大きなチャンスが無くドローに終ったが、メインらしい緊張感の続いた見ごたえのある試合だった。

セミファイナル -55.5kg契約 5分2R
×WINDY智美(パンクラスism)
○真武和恵(和術慧舟會東京本部)
2R 4'01" 腕ひしぎ十字固め


 真武がWINDYをコーナーに押し込んでグラウンドに持ち込み、WINDYがスタンドに戻すという展開が繰り返される。PRIDEのようにリングが大きければミルコのように回って逃げることもできるのだろうが、GCMの大会で使われるリングは比較的小さいため、ストライカーのWINDYは簡単に追い詰められてしまう。
 とはいえWINDYのグラウンドになってからの対処は着実に進歩している。真武の足関、肩固めから逃れてみせる。最後は腕十字に捕まり、またも黒星を喫してしまったが、寝技に制限時間の無い普通の総合ルールでここまで対処できるようになったことは高く評価されていいだろう。

第4試合 -51kg契約 5分2R
○おっさん(総合格闘技闇愚羅)
×高橋まり(パレストラ東京)
2R 2'09" アームロック


 1R、高橋が三角絞めでおっさんを長時間捕まえ続けるも、なかなか極まらずブレイク。その後もテイクダウンを奪うのはおっさんなのだが、高橋が其の度にスイープを決め、主導権を維持する。高橋が一本勝ちするのも時間の問題かと思われたが、おっさんはハーフガードを奪うと、一気にアームロック。これがガッチリと極まり、高橋はタップ。おっさんがワンチャンスをものにし、逆転勝利をおさめた。
 試合後おっさんは、「辻(結花)先輩がビーチフラッグ大会で取った」金メダルを首に掛け、「金メダル、取りました!」とアテネオリンピックの出場選手のように喜ぶパフォーマンスを見せ、観客を楽しませた。

第3試合 -51kg契約 5分2R
×石山絵理(RED DEVIL KIS'S)
○松本未来(クラブ・バーバリアン)
判定0-3 (松本=芹澤,梅木,磯野)


 打撃ベースの石山に、柔術ベースの松本はストレートで真っ向勝負。豪快にテイクダウンを奪うと、パスガード、マウントと一気に攻め立てる。石山に脱出される度に、松本はテイクダウン。前蹴り一発で石山を吹き飛ばす場面も。2R、石山が腕十字でチャンスを作るが、松本は難無く逃げ、その後はサイドから肩固めを狙ったり、マウント、バックを奪ったりと、主導権をキープ。終盤はやや攻め疲れた感じもあったが、プロデビュー戦とは思えない強さと迫力あるファイトを繰り広げた松本が白星をもぎ取った。今後が楽しみな選手だ。

第2試合 -61kg契約 5分2R
×菊川夏子(総合格闘技闇愚羅)
○端 貴代(和術慧舟會東京本部)
判定0-3 (端=和田,梅木,磯野)


 第2試合とはいえ、両者ともこの大会をメインを務めても不思議ではないほどの実力者。女子総合の選手層が着実に厚くなっていることを感じさせる。
 1R、菊川が下から腕十字を狙えば、端はスリーパー、腕十字を狙い返し、一進一退の攻防を繰り広げる。だが2Rは端が主導権を握り、終了間際にはマウントからの三角絞めで菊川をあと少しの所まで追い込み、判定勝ちをもぎ取った。

第1試合 -53kg契約 5分2R
×せり(SOD女子格闘技道場)
○筒井千尋(和術慧舟會トイカツ道場)
1R 3'48" 腕ひしぎ十字固め


 筒井は序盤、引き込んでからのスイープを成功させる。この後せりに立たれ、テイクダウンを奪われるも、ガードポジションから足を登らせて腕十字を極め、うれしい一本勝ちを上げた。

キーラ・グレイシーが観戦

 柔術家のキーラ・グレイシーがフジテレビの番組出演のために来日し、クロセクも観戦した。闇愚羅勢のセコンドで来ていた辻結花と大会終了後ツーショット。キーラを日本に招へいしたのはLove Impactを主催する芸能事務所のエキサイティング・トリガーだった。

Last Update : 09/19

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