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(レポ&写真) [PRIDE武士道4] 7.19 名古屋:三島、アウレリロと激闘

ドリームステージエンターテインメント "PRIDE武士道 其の四"
2004年7月19日(月/祝) 愛知・名古屋市総合体育館レインボーホール

 レポート:井原芳徳  写真:井田英登
  【→大会前のカード紹介記事】 【→PRIDEルールの判定条項】 【→掲示板スレッド】

第9試合 日本×BTT大将戦 1R10分/2R5分
×中村和裕(日本/吉田道場)
○アントニオ・ホジェリオ・ノゲイラ(ブラジル/ブラジリアン・トップチーム)
判定1-2


 サウスポーのホジェリオがスタンドで左ストレートやローを当て続け主導権を握る。1R残り1分には左ミドルが膝蹴りの要領で中村の脇腹にのめり込み、ホジェリオは一気に膝とパンチで攻勢に。
 2R、中村は組み付いては突き離されるが、数度トライしてテイクダウンに成功。一旦立ち上がって猪木アリ状態となり、踏み付けのふりをして一回転してパスガードを狙うが、失敗に終る。その後ハーフまで行き、足を抜いてパス成功かと思われたが、勢い余って前に出過ぎてしまいまたも失敗。ブレイクがかかって残り1分。ホジェリオはパンチと膝蹴りで攻勢。中村は組み付いてテイクダウンに成功するが、攻めきれず試合終了。
 中村は左目の下から出血し、両目の下を腫らしている。レスリング出身の小林ジャッジがテイクダウンを重視してか中村にポイントを付けたが、ダメージを考えれば明らかにホジェリオの勝ちだろう。返討ちに成功したホジェリオは、中村の兄貴分の吉田秀彦に対戦をアピールした。

第8試合 日本×BTT中堅戦 1R10分/2R5分
○五味隆典(日本/木口道場レスリング教室)
×ファビオ・メロ(ブラジル/ブラジリアン・トップチーム)
1R 8'07" KO (グラウンドパンチ)


 五味は72.9kg、メロは73kg。だがメロは本来、五味の上がっていた修斗の基準で考えれば一階級下の体格の選手だ。五味がサイドポジションで押さえ込んだ時点で、パワー差がはっきりとする。スタンドでも五味は首相撲でメロをがっちりと捕まえて膝を叩き込むなど優勢。何度かメロが寝転んでの猪木アリ状態が繰り返された後、7分過ぎに試合は一気に動く。パンチの打ち合いを制した五味は、首相撲からの膝蹴りを連打しメロをダウンさせると、サイドポジションから膝とパンチを連打し、豪快KO勝ちを果たした。

 これで五味はジャドソン・コスタ戦、ハウフ・グレイシー戦に続きPRIDE 3連勝。もうそろそろBJ、シャオリン、ハンセン級の強豪との試合が見たいところだ。

第7試合 日本×BTT先鋒戦 1R10分/2R5分
×小路 晃(日本/フリー)
○パウロ・フィリオ(ブラジル/ブラジリアン・トップチーム)
判定1-2


 サウスポーの構えから右ローを放つフィリオに対し、オーソドックスの小路は左ロー。何度かフィリオが寝転がり猪木アリ状態となるが、小路は一切寝技に付き合わない。1R終盤と2R開始前に両者にレッドカードが出されるが、小路はお構いなしに徹底したスタンド勝負を続けると、次第にフィリォの足が流れるように。フィリオはタックルで踏み込めなくなる。
 だが2R終盤、フィリオがコーナーに押し込んだところで、ローブローとなる膝蹴りを放つも、レフェリーは注意せず。小路が苦痛の表情を浮かべると、これがどうやらスタミナ切れに映った模様。ジャッジの難しい試合で、実際はドローが妥当と思われるが、マストシステムのため小路は苦杯を舐めた。

第6試合 1R10分/2R5分
○ミルコ・クロコップ(クロアチア/チーム・クロコップ)
×大山峻護(日本/フリー)
1R 1'00" KO (左アッパー)


 ミルコは序盤から左のハイとローでプレッシャーをかけ、左アッパーと左フックの連打で一気に攻め立てる。一旦は大山は回ってすり抜けたが、ミルコはすぐに追い付くと、大山のガードの隙間を突くように左アッパー2連発。大山はマットに崩れ、ミルコがサッカーボールキックを放とうとしたのと同時にレフェリーが試合をストップした。大山は道衣を着て試合をしたが、その効果を出す前に惨敗した。実力差が大き過ぎるため、「ミルコ復活」と書くのは時期尚早だろう。

第5試合 1R10分/2R5分
○杉浦 貴(日本/プロレスリングNOAH)
×ジャイアント・シルバ(ブラジル/フリー)
1R 2'35" ギブアップ (グラウンドパンチ)


 杉浦は開始早々、パンチを上に振ってからの片足タックルであっさりとテイクダウンに成功。ハーフガードからパンチを落とし、サイドから顔面に膝蹴りを落とす。グラウンド状態での頭部への蹴り有りを認めたのはこのためだ。最後はそのままの体勢でパンチと膝の雨を降らせ、シルバを戦意喪失に追い込んだ。
 試合タイムが小川直也の3分29秒よりも1分以上短かったのは、小川のように関節技に行かずに、ストレートで勝ちを狙いにいったからと言えよう。藤田和之×ボブ・サップといい、巨人と戦う場合は頭を攻めるのが常套手段となりつつある。

 試合後、杉浦がマイクアピールをしようとすると、シルバが入場時に持ち込んだ木の棒を振り回し、杉浦に襲い掛かろうとするハプニングが起こる。杉浦はあわててリング外に逃げると「そういうのはプロレスだけにしてくれ」と話し、観客を笑わせた。さらに「プロレスリング・ノアでプロレスをやっている杉浦です」と律儀なあいさつをした後、前の試合の美濃輪のアピールを真似て「俺もリアルプロレスラーだ!」と叫び、またも観客を笑わせた。
 杉浦は典型的な馬場イズムの継承者。試合前の紹介VTRでも「プロレスと総合格闘技は別物。PRIDEに出るのはキャバクラでモテるため」と語っており、完全に「プロレスはプロレス」と割り切っている。小川も杉浦と似た価値観で、反面、猪木イズムの影響をもろに受けている美濃輪との温度差がわかった点では面白い試合だった。

第4試合 1R10分/2R5分
○美濃輪育久(日本/フリー)
×山本喧一(日本/ウィラサクレック・ムエタイジム)
1R 3'23" KO (マウントパンチ)


 ヤマケンがムエタイ式の腕を高く上げた構えから前蹴りを放つと、美濃輪はそれに合わせてタックルでテイクダウンに成功。ヤマケンがオープンガードになった隙を突き、美濃輪はパスガード。ヤマケンは不用意にバックを許すが、美濃輪はこの体勢に固執せず、そのままマウントポジションに。この勝負どころを逃さなかった美濃輪は、速射砲のようなマウントパンチを連打。ヤマケンの動きが止まったところで、レフェリーが試合をストップした。

 連戦でMMA慣れした美濃輪と、ムエタイに慣れ過ぎてしまったヤマケンの差がはっきり出た試合だった。マイクを持った美濃輪はしばらく考え込んだ後、「お前らプロレス好きか?リアルプロレス知ってるか?俺がリアルプロレスラーだ!」と絶叫し、観客を湧かせた。

第3試合 1R10分/2R5分
○桜井“マッハ”速人(日本/マッハ道場)
×ブラディ・フィンク(アメリカ/チーム・オーヤマ)
1R 4'08" ギロチンチョーク


 無名のフィンクに先にタックルで倒されたマッハだったが、脱出して今度は上に。インサイドガードで攻め手に欠くとブレイクがかかる。フィンクはどういうわけか「膠着を誘発する動き」とみなされレッドカードをもらってしまう。その影響もあってか、積極性を見せんとばかりにフィンクは不用意なパンチラッシュで突進。さらにタックルで組み付くと、マッハは引き込んでのペケーニョばりのギロチンチョーク。両足のロックもガッチリと極まり、フィンクは足をばたつかせてタップの意思表示をするしかなかった。

第2試合 1R10分/2R5分
×ディーン・リスター(アメリカ/ファビアノ・サントス柔術)
○アマール・スロエフ(ロシア/レッドデビルチーム)
判定1-2


 リスターが92.9kgとPRIDEミドル級の-93kgジャストまで増量してきたのに対し、スロエフは86.5kgとやや軽め。だが足腰の強さと立ち技のスキルではスロエフが上。立ち技でプレッシャーをかけるため、リスターは遠い距離からしかタックルに入ることができない。何度リスターが組み付いてもスロエフは倒れることなく、そのまま突き放してしまう。いわゆるミルコスタイルの戦い方なのだが、スロエフの攻めはパンチもローも単発止まり。リスターも打開策が見い出せない。1、2Rに1回ずつ「膠着を誘発する動き」とみなされ、レフェリーからレッドカードが出された。終了のゴングと同時に観客からはブーイングも。高い技術水準での攻防で、緊張感があって筆者は面白かったが、PRIDE向けの試合とはいえなかったようだ。

第1試合 1R10分/2R5分
○三島☆ド根性ノ助(日本/総合格闘技道場コブラ会)
×マーカス・アウレリロ(アメリカ/アメリカン・トップチーム)
判定2-1


 アウレリロが下からの三角絞めと腕十字、三島が右のパウンドで攻める展開が続くが、勝ったのは三島のパウンド。アウレリロは左目を腫らし、ドクターチェックを受ける場面も。グラウンド頭部打撃の無いZSTルールで戦い慣れてしまった影響も無いとは言えないだろう。

 2R開始早々、アウレリロは三島のタックルに力なく倒れる。だが三島も体力の消耗が激しく、2R終盤には鼻血を出す。それでも二人とも力を振り絞り、上下が激しく入れ替わる攻防を繰り広げるも、互いに決め手に欠き、そのまま試合終了。

 ドローに近い内容ながら、マストシステムにより勝ち星を拾った三島はマイクを持つと「負けたら引退するつもりだったけど。もうちょっと現役を続けます」とアピールした。アウレリロは黒星が付いたとはいえ、評価を下げるような試合内容ではなかった。寝技を見る限り、五味戦も面白そうだ。

 どうしても実力差のある選手同士の試合の、派手なKO決着ばかりが目立ってしまうが、この三島 vs. アウレリロは両者の技術水準が高いから試合が決まらなかっただけで、今大会のベストバウトといえる内容だった。

武士道挑戦試合 5分2R
×阿部裕幸(日本/AACC)
○ルイス・ブスカペ(ブラジル/ブラジリアン・トップチーム)
1R 2'52" 肩固め


 本来修斗では阿部より一階級上のブスカペが、開始早々右ストレートで阿部を吹き飛ばすと、タックルで持ち上げテイクダウン。寝技になってもパワーで圧倒し、ハーフ、バックと移行し、最後は肩固めを極め完勝した。ブスカペは確かにいい選手だが、次戦は同体重の選手とのマッチメイクをDSEには望みたい。

武士道挑戦試合 5分2R
△佐々木恭介(日本/U-FILE CAMP.com)
△光岡エイジ(日本/RJW/central)
時間切れ


 光岡が何度もバックやマウントを取るが、佐々木が逃げ続けたため極めきれず時間切れ。



●PRIDEルールの判定条項
判定は3名のジャッジにより、以下の判定基準に基づき行うものとする。
1. KO、ギブアップを狙う姿勢
2. 相手に与えたダメージ
3. 打撃のコンビネーション&グラウンドコントロール
4. テイクダウン&ディフェンス
5. アグレッシブさ
6. ウェイト(10kg以上の体重差があった場合)
この基準の優先順位は上記の順とし、ポイント制ではなくどちらかの選手が有利だったかを示す。勝敗は本戦3ラウンド(※武士道は2R)終了時点で必ず各ジャッジが優劣を判定するマストシステムにて勝敗を決するものとする(ドロー裁定はない)

Last Update : 07/21

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