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(レポ&写真) [PRIDE-GP] 11.9 東京ドーム:ノゲイラ、ミルコから一本

ドリームステージエンターテインメント "PRIDE GRANDPRIX 2003 決勝戦"
2003年11月9日(日) 東京・東京ドーム

  写真:井原芳徳  【→大会前のカード紹介記事】 [→掲示板スレッド]



PRIDEヘビー級暫定王者決定戦

第7試合 PRIDEヘビー級暫定王者決定戦 1R10分・2R&3R5分
×ミルコ・クロコップ(クロアチア/クロコップ・スクワッド)
○アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ(ブラジル/ブラジリアン・トップチーム)
2R 1'45" 腕ひしぎ十字固め
※ノゲイラがヘビー級暫定王者に


 ミルコを止めることができるのは誰だ? 2003年のMMA界の大命題となったこのテーマに、果たして今夜結果がおとずれるのか? 怪我により欠場となった皇帝・ヒョードルに変わって、ノゲイラが立ち向かう。
 両者入場の後、ヘビー級王者ヒョードルからミルコ、ノゲイラに花束贈呈。マイクを取って「コンバンワ。残念ながら今日は怪我が原因でミルコと試合ができませんが、今日の勝者とこのリングで必ず戦います。ドウモアリガト」と挨拶。高田本部長が暫定タイトルマッチ宣言を読み上げ、ブラジル、クロアチア両国の国歌がドームに響き渡る。ノゲイラは明らかに緊張している様子。乱れて無造作になった髪、頬も少しこけたように見える。対するミルコは自信に満ち足りたような落ち着いた表情。現れは違えど、両者とも自分なりの激しいトレーニングを積んだ結果が今、リングで試される。

 スタンドでの距離の見あいからスタート。ミルコを中心にノゲイラが細かいステップで軽く1,2を繰り出し、プレッシャーをかけつつ周ってみせる。タイミングを見計らって早速ノゲイラが胴タックルを敢行し、必勝パターンの引き込みで下のポジションを確保。上から必死に拳を落とすミルコに対して"This is jiu-jitsu!"と全身で叫ばんばかりに下から徹底的にコントロール。ミルコの右腕を捉え、三角を狙うがこれは不発。と、すぐさま左腕を取り、決してミルコを自由にさせない。
 2分経過、一度中腰になったミルコだったがまたもやノゲイラの蜘蛛の巣に捕らえられる。下からパンチを入れるノゲイラ。パンチを落としたいミルコだが、下からぴたりと身体を密着されて打撃を入れる距離を作る事ができない。下からパンチを入れながら左、今度は右とミルコの腕を捕まえて関節技を虎視眈々と狙うノゲイラ。しかし残り4分経過、一瞬生じた距離をきっかけにミルコは蜘蛛の巣から脱出、スタンドでのリスタートとなる。

 これまでのフラストレーションを爆発させるかのごとくミルコの猛反撃が幕を開ける。左ハイ、左ミドル、左のストレートパンチ連打。ノゲイラの顔面には赤が滲む。パンチをかわす要領でグラウンドに寝て、ミルコを誘うノゲイラだがミルコは応じない。スタンドでのリスタート、ノゲイラのタックルを万全の対策でばっさばっさと切り捨てるミルコ。お返しに怒涛の左フルコース。ミドル、ハイ、ストレート、コンビネーションパンチ。しかし鼻から鮮血をしたたらせながらも鬼気迫る表情で立ち向かうノゲイラ。組み付いては切られ、スタンドでの再開…。
 このムーブが3回ほど繰り返されたであろうか。残り2分過ぎ、強烈な左ミドルがノゲイラのどてっ腹にめり込む。いよいよミルコの独壇場だ。左ミドルをどてっ腹にもう一発、さらに左ストレート。いつKOをくらってもおかしくない戦況。そんな中でも一歩も恐れずに前へ前へと出て行くノゲイラ。ゴング30秒前、左ミドル、ストレート、さらに首筋を直撃する強烈なハイを喰らい、マットに崩れるノゲイラ。殺人ロボと化したミルコはパンチを叩き込んでトドメを刺しにかかるが、非情にも1R終了のゴングが鳴る。

 インターバル中。余裕の笑顔すら見せるミルコ。ヒョードルも笑顔で二人を見守る。ノゲイラは打撃のダメージも大きく、消耗が激しいのか苦しそうに肩で息。
 2Rゴング早々、積極的に打って出るノゲイラ。そしてすかさずタックル〜テイクダウンに成功。上になると瞬時にパスを決めてマウントに。パンチを落とすがミルコも腹筋をフル稼働で密着。しかしグラウンドはノゲイラの主戦場。体重をコントロールし、パンチを落とす落とす落とす。そして、ミルコがリバーサルを試みバランスを失った瞬間を見逃さなかった。電光石火で右腕をキャッチし、ミルコの身体を引っ張り上げながら一気にひじを伸ばしにかかる。両足を肩〜首に絡めつけミルコをマットにひれ伏させると右腕は完全に伸びきり、2R1分45秒、ついにミルコがPRIDEのリングに“まいった”をする瞬間が訪れた。

 リングサイドのヒョードルは最後まで“無邪気”とも言える程の純朴そうな笑顔を称えていた。自分の敗北が信じられない…、といった表情でノゲイラの表彰セレモニーを最後まで見届け、コメントも無く会場を後にしたミルコ。コーナーポストに昇り歓喜のポーズをとり、神に感謝の祈りを捧げるノゲイラ。ベルトを巡る3人の男たちの物語はまだまだ続く。(古谷わか)

◆ ノゲイラ「今日は難しい試合でした。ミルコは危険で素早い動きを予想通りしてきましたが、対策を練ってきたので勝つことができました。今日、暫定王者のベルトをかけてミルコと戦うことが出来たことを光栄に思います。ミルコはストライカー、私はグラップラー。今日の戦いでグラップラーが強いということを証明できました。ミルコはK-1の選手、私はPRIDEの代表。PRIDEの素晴らしい選手たちは最強ということも証明できました。
(1R終わった時点での感想は?)自分のリズムをうまくつかめずグラウンドに持ち込むことができませんでした。ミルコはストライカーなのでグラウンド状態から逃げるのは当然ですが、10分間スタンドに逃げられても、グラウンドの1分で倒す自信がありました。今日は私がミルコより完璧だと証明できたと思います。
(フィニッシュの腕十字はミルコがバランスを崩したのを利用したのか?)はい。落ち着いて相手の動きを観察し合わせていたので
(ハイキックの対策は?)ハイ、ミドルを防ぐトレーニングは8月以前から、10月11月もキックの対策を綿密に行ってきました。
(ミルコの連勝を止めたことについては?)ミルコは本当に誰かが止めなければならないと思っていたが、自分がストップさせることができたので嬉しい。これも神様のおかげです。
(ヒョードル戦については?)もちろん次回ヒョードルと戦って、このベルトは私のものだと証明します。前回の試合の時は調子も運も悪かった。試合数が多く腰の状態も酷く、調整不足だった。でも、負けてから得たものが多かったのでもっともっと強くなれたのです。次回勝つことにはなんの問題もないと思っています」



PRIDE ミドル級GP

第3試合 PRIDE GPミドル級準決勝 1R10分・2R5分
×吉田秀彦(日本/吉田道場)
○ヴァンダレイ・シウバ(ブラジル/シュートボクセ・アカデミー)
判定0-3


 トーナメント準決勝は静かな立ち上がり。開始から一分ほどにらみあいが続くが、パンチで前に出るシウバに吉田が組み付き、タックルでテイクダウン。危険地帯を離れて得意分野に持ち込んだことで、会場から大歓声があがる。
 上から攻めたい吉田だが、柔術茶帯のシウバは足を利かせてパスガードを許さない。逆に下から吉田の顔面を殴り、さらに三角絞めを仕掛ける。試合後に吉田が「シウバのスタミナを消費させるために、どこまで我慢するかを考えていた」と語ったとおり、吉田は20秒ほど動かず、三角絞めに耐える。動き出してパスガードに成功した吉田だが、シウバは反転して足に絡み付き、吉田を倒して上を取る。
 下になった吉田はシウバの手を抱えてパンチを打たせない。ガードを嫌ったシウバが立ち上がり、猪木アリ状態になったところでブレイク。
 スタンドに戻りシウバがパンチで前に出ると、吉田は組み付いてシウバを内股で投げ飛ばす。袈裟固め風のヘッドロックを仕掛けるがシウバは逃れ、吉田が立ち上がって再び猪木アリ状態になったところで1R終了。

 2R開始直後、グラウンドに持ち込みたい吉田はタックルを仕掛けるが、シウバは切って吉田の顔面にヒザを叩き込む。さらに右ストレートで追いうちをかけると、吉田も左フックで応戦し、コーナー際でパンチの打ち合いへ。だがパンチの正確さと回転で勝るシウバが吉田を追い詰め、口から出血した吉田のマウスピースが赤く染まる。
 打撃戦は不利と見たか、再びタックルに行く吉田だが、シウバは切って首相撲からヒザを当てていく。さらに「吉田の胴着の着用は自分に有利になる」と公言していたとおり、シウバは吉田の袖を掴んで左ハイをくり出し、非凡な戦闘センスを見せ付ける。身体の自由を奪われた吉田はスウェーでかわすことが出来ず、シウバのコンビネーションをまともにもらってしまう。たまらず引き込んだ吉田が最後、スイープでポジションを入れ換えたところで試合終了のゴング。
 両者1Rずつを支配し判定は割れるかに思われたが、与えたダメージが重視されてか全てのジャッジがシウバを支持。シウバが日本人を連破し、トーナメント決勝に駒を進めた。(石動 龍)

◆吉田「(シウバの印象は?)強いです。負けました。すみません。(判定について?)たくさん殴られたので…もう1Rあれば。まあ何を言っても言い訳になるので素直に負けを認めます。
(極められそうな場面があったが?)研究されていたでしょうから上手く入れなかったです。相手が出てくるのを待っているとあの展開になってしまいますね。もし今度やる機会があったら先手必勝で行きたいです。(攻撃は効いたか?)試合中は痛みは感じなかったです。特に効いた攻撃は無かったですけど、一発一発がズシンと重かったです。田村選手のは鋭いという感じだったんですけど。(シウバの三角絞めについて)ああいう事態は想定していなかったですね。極まりは浅かったので、どこまで我慢するか考えてました。三角は結構スタミナを消費するので。あれで相手が疲れてるときに前に出るべきでしたね。
 今日は道場の子供達も試合で、お互いに2位、…あっ、俺は3位か(笑)僕は負けてしまったんで、道場の子供たちに顔向けできないですね。」

◆大会後の榊原社長の吉田評「素晴らしいハートを見せてくれた。僕はモニターで見ていたが、吉田選手が勝ったと思った。3Rフルラウンドでもう一回、ヴァンダレイとやってもいいんじゃないか」

第2試合 PRIDE GPミドル級準決勝 1R10分・2R5分
○クイントン・“ランペイジ”・ジャクソン(米国/チーム・オオヤマ)
×チャック・リデル(米国/ピット・ファイトチーム)
2R 3'10" TKO (タオル投入:グラウンドパンチ)


 UFCとの団体の威信をかけた一戦。ルチャのマスクを付けて入場のジャクソン。1R、ジャクソンはタックルを狙いながらパンチでも攻勢をかける。ガードもジャクソンの方が高く、ボクシング技術でもリデルを上回る。ワンツーをもらいリデルぐらつくが、組み付きコーナーへ押込む。ジャクソン更に右ストレート。右フックがリデルのアゴ、更に膝、右フックでたたみかける。コーナーを背にしたリデル、タックルのジャクソンをフロントチョークは浅く、ジャクソンはボディスラムを狙うが浮かばず。ジャクソンの左フック、連打からテイクダウンはリデルがロープを掴んで、ドントムーブに。サイドポジションを取ったジャクソン、膝を脇腹に1発。立ってからのジャブでリデルは右膝を崩してしまいダメージが溜っている様子を露呈。アリスター戦のような逆転は難しいか。セコンドもジャクソンのボクシング技術は予想外。

 2R、ジャクソン、ワンツーからタックル、リデルはフロントチョーク共に不完全。両者疲労からかパンチを大きく外しあう。しかしジャクソンの右アッパーから連打、テイクダウンする。片足ガードから重いパンチ、膝がリデルの抵抗力を奪っていく。じわじわマウントに移行しながらパンチを連打するジャクソン、リデルはぐったりして防ぎきれなくなる。たまらずセコンドがタオル投入でTKOとなった。(荷福 晶)

◆リデル「思っていた程上手くできなかったが、今となってはどうしようもないでしょ?(ジャクソンのパンチは効いていた?)そうでもなかったが、彼はスタンドでタフだった。私もパンチのコンビネーションを出したかったが、それができませんでした。ターニングポイントはまだビデオで見直さないと分からない。ただケージに慣れているのでリングはやりにくかったかな。今のところPRIDEの予定はないが、ぜひ戻ってきてシウバやランペイジともやりたいです。」

第8試合 PRIDE GPミドル級決勝戦 1R10分・2R5分
○ヴァンダレイ・シウバ(ブラジル/シュートボクセ・アカデミー)
×クイントン・“ランペイジ”・ジャクソン(米国/チーム・オオヤマ)
1R 6'28" TKO (レフェリーストップ:膝蹴り)
※シウバがミドル級GP優勝


 開始直後、打撃戦を避けたジャクソンのタックルをシウバがフロントスリーパーに捕まえる。シウバを持ち上げた状態でジャクソンの動きが鈍くなり、ジャクソンが失神するかとも思われたが、ジャクソンはシウバをゆっくりとマットに落とし、なんとか逃れる。
 攻守が逆転し、上になったジャクソンがシウバの顔面に強烈なパンチを連打。シウバの仕掛けた腕十字も持ち前のパワーで逃れ、ハーフガードからヒザとパンチの雨を降らす。
 今度はシウバの動きが鈍り、王者に危機が訪れるが、シウバがガードに戻したところで島田レフェリーがブレイク。ジャクソンが抗議する中、シウバに膠着誘発によるイエローカードが提示され、スタンドから戦いが再開される。

 スタンドに戻るとシウバは水を得た魚のように爆発的な攻撃力を発揮。タックルに来たジャクソンを首相撲に捕らえ、「戦慄のヒザ小僧」の異名どおりにヒザ・ヒザ・ヒザの連打、計15発を顔面に叩き込む。レフェリーが割って入ると同時にジャクソンは崩れ落ち、シウバのグランプリ制覇が決定した。
 決勝は一つのブレイクが試合展開を変えた。ブレイクが無ければ両者の立場が逆転していた可能性も否定できない。もちろんシウバの優勝自体に異論は無いが、現行のブレイク基準は一考の余地ありだろう。(石動)

◆ シウバ「(まず吉田戦を振り返って)吉田はタフで強いのでびっくりした。素晴らしい武士だった。パンチも強くパワフルだった。戦うことができて光栄だ。テイクダウンを取られたが、彼は柔道出身者なので投げに優れていて当然。自分もその後にテイクダウンで取り返したから、イーブンだと思っている。試合開始直後、先に仕掛けなかったのは、吉田の出方を見ていたから。あの段階ではどんな動きもミスに繋がりかねないので、様子を見てスタンドでのKOを狙っていた。
(決勝のジャクソンの印象は?)以前から戦いたいと思っていた。リングの上で乱闘をしたこともあったし、気に入らない存在だったので、KOできてよかった。今はもうジャクソンのことは考えたくない。ブラジルに帰って、次のことを考えたい。
(イエローカードを出されたが?)自分でも理解できなかった。まぁ、自分はスタンドでリスタートするのが有利だったので…。
(2冠王になったが次の対戦相手は?)自分は自ら相手を選ぶことはしないので。新しいチャレンジを、PRIDEが選んだ相手と戦いたい。そのためにブラジルに帰って練習を積みます。
(ヘビー級のGPについては?)それは私ではなく、コーチが決めることなので、ブラジルに帰ってからじっくりと話し合いたいと思う」

(ジャクソンはノーコメント)

第4試合 PRIDE GPミドル級リザーブマッチ 1R10分・2R5分
○ダン・ヘンダーソン(米国/チーム・クエスト)
×ムリーロ・ブスタマンチ(ブラジル/ブラジリアン・トップチーム)
1R 0'53" KO (グラウンドパンチ)


 BTTの看板を背負って、負傷欠場のヒカルド・アローナの代打として開幕戦に緊急出撃、調整不足とは思えない好ファイトと判定負け後の男泣きがあまりに印象的だったブスタマンチ。片や、ミドル級GPの優勝候補とされながらも左膝の手術により開幕戦のチケットを手に入れ損ねたヘンダーソン。リザーブマッチとしてはあまりに豪華すぎる一戦となった。
 スタンドでの見合いから開始。ヘンダーソンが右のローキック、パンチと打撃を小気味良く仕掛けていく。寝技で優位に持って行きたいブスタマンチはヘンダーソンの打撃をかい潜りつつタックルのタイミングを見計らっている様子。隙を見せたくないヘンダーソンは積極的に膝、右ミドルを放っていく。ここでたまらずブスタマンチは低めの胴タックルを敢行するが、その瞬間バッティング。この段階でのブスタマンチのダメージは定かではないが、さらにガブり気味にブスタマンチを引き寄せたヘンダーソンの左膝が、ブスタマンチの顔面にクリーンヒット。バランスを失い尻餅をついたブスタマンチを、ヘンダーソンはすかさず捕まえ、パンチを振り落とす。非情なまでの拳ラッシュに、ブスタマンチは体勢を立て直す事も出来ず、ここでレフェリーが試合をストップ。GP不参戦のきっかけとなった左膝が勝利を呼び込むという皮肉な結果となり、「ミドル級戦線にダンヘンあり」を印象付けるに充分な秒殺劇となった。(古谷)

◆ ダンヘン「もっとタフな試合になると予想していた。15分、フルで戦い抜いて最後は判定になるくらいに。ブスタマンチはテイクダウンを狙ってくるだろうと予想していたので、自分はできるだけスタンドで勝負しようと思っていた。最終的な決め手はパンチのラッシュ。きっかけはブスタマンチがタックルに来たところに自分の左膝がヒットした瞬間だと思う。
(次に戦いたい相手は?)特に具体的に誰ということは考えていない。かねてから桜庭とも戦ってみたいと希望しているが、お互いの契約の状況がわからないので。できれば、GPのチャンピオンと、ミドル級のチャンピオンベルトをかけて戦いたいと思っている。
(リザーブマッチだったが?)準決勝を終えた時点で各選手とも怪我も無く、自分の出場の可能性はないと思っていたので、ワンマッチとして戦った。
(膝の手術後の調子は?)100%ではないけれど良好。今日、この左膝で勝利をつかめたので良かったと思っているよ。」

◆ ブスタマンチ「試合は自体は良かったと思っている。ただ途中で何が起こったかわからなくなってしまって…。ビデオで再確認してみないと。ヘンダーソンはタフで良いファイターだ。前回(開幕戦)は調整期間が無かったのに良い試合ができたが、今回は調整期間が充分あったにもかかわらず良い試合ができなかった。運もなかったと思う。ヘンダーソンとはぜひ再戦したい。そのときは自分の強さを出し切ることができるように。(今後のミドル級戦線については?)まずは自分の今日のミスを確認して…。1〜2ヶ月休んでこれからのことについて考えたい。ミドル級チャンピオンは私の夢。まったくあきらめていません。」



その他のワンマッチ

第6試合 ミドル級 1R10分・2R&3R5分
○桜庭和志(日本/高田道場)
×ケビン・ランデルマン(米国/ハンマーハウス)
3R 2'36" 腕ひしぎ十字固め


 桜庭は今回で20回目のプライド。ドンキーコングのゲーム音で入場曲が始まり、スーパーマリオに扮して登場、会場を笑いで包んだ。現UFCライトヘビ−級王者のランディ・クートゥアが試合前の両者に花束を贈呈。ダン・ヘンダーソンと同じチームクエスト所属のクートゥアが、今後のPRIDE参戦を臭わせた。
 1R、ランデルマンは今までにない慎重な試合運びを見せる。ランデルマンが組み付きバックを取ってコーナーに押し付ける。バックからパンチ数発を入れるがすぐ離れる。片足タックルからテイクダウンは桜庭一旦こらえるが、サイドバック気味にテイクダウンされる。桜庭後ろを取られながらも腕決めを狙うが、ランデルマンも力でこらえる。
 ブレイク後ランデルマンの右ローで桜庭よろめく。ランデルマン組んでテイクダウン、桜庭下から三角狙いで膠着、サイドは取らせない、パンチは左ハンマー1発しか入れられず。

 2R、桜庭飛び込むが左フックのカウンターが入りダウンもすぐ立ち上がる。ランデルマン右ローで桜庭再びバランス崩すが、ランデルマンも自らのフェイントで滑りそうになる。桜庭の左ハイはキャッチされ軸足を蹴られてテイクダウンされる。半身気味から桜庭の三角、ガードポジション移行で共にダメージまで到らず。

 3R、ランデルマン、パンチからロープへ押込み、バックからテイクダウンする。桜庭も既に右腕を取っているがランデルマンは前転して決めさせない。桜庭さらにランデルマンの右腕をねじりながら腕十字に延ばしていく。ランデルマンはうつ伏せで十字を決められ、たまらずタップした。桜庭はPRIDE.23以来約1年振りの勝利。(荷福)

◆桜庭「嬉しかったです。タックルを何回か狙ったけど、動きが早くていまいち取れなくて、『取れないかな』と思いました。威圧感もあってちょっと怖かったです。三角、十字、アームロックも取ろうとしたんですが普通の人とは違う力の強さで、どうしようかなと思いました。(作戦は?)とりあえずマリオになろうかと思って。(TシャツのWaterの意味は?)僕はご飯の時に水がないと食べられないので。(ミドル級GPの感想は?)シウバ強いなと。(吉田×シウバは?)いい試合でよかったです。(大晦日は?)実家に帰って、孫を見せたい。お年玉ももらいに。」

◆ランデルマン「気分は悪くない。いいです。いい試合を見せられファンにとってはよかったと思う。自分には不満ですが。このラウンドはマリオの勝ちです。桜庭は抜くのが上手かったです。彼は水を得た魚のように素早く、動きがいい。本当にいい選手だ。自分ももっと練習して彼のようにグレートファイターになりたい。上腕の筋肉を試合中に痛めてしまい、最後の十字はしびれていて返す力がなかった。」

第5試合 1R10分・2R&3R5分
○ヒース・ヒーリング(米国/ゴールデン・グローリー)
×山本宜久(日本/高田道場)
3R 2'29" チョークスリーパー


 スタンドではパンチとキックの応酬となり、グラウンドでは何度も攻守が入れ替わるも、両者決め手に欠く。動きが多いわりに山場がなく、観客は「膠着ムード」で静まり返ってしまう。山本は2Rまで何度かバックマウントを取るなど健闘。だが3R、タックルに失敗し四点ポジションとなり、ヒーリングの膝の連打を浴びると失速。マウントパンチに苦しみ、最後は背後からのスリーパーで撃沈した。(井原)

◆ヒーリング「(ミルコ戦以来の試合だったが?)特に何が変わったという訳ではないけれど、7ヶ月間も試合間隔が空いてしまったので、トレーニングをしたりして自分のリズムを取り戻すのが大変だった。試合がなかった間はナーバスだった。今日は久しぶりに日本のファンの前で良い試合をしなくては、と少しプレッシャーを感じていた。実際試合をしてみて自分のリズムが戻っておらず、ベストな試合とは言えない内容となってしまった。もっとエキサイティングな、まさに『テキサスの暴れ馬』的な試合を見せることができなかった。
(ミルコ戦で受けたアバラのダメージは?)あれはミルコ戦の前、トレーニングの段階から壊していたので。それを押して試合をしたのでよけい悪くなってしまっただけ。今は問題ない。
(今後は?)ベルトが遠ざかったとは思いたくない。まだ25歳なので年に1度とは言わずに定期的に試合をしたい。ヘビー級のGPにも1年以内にぜひ出場したいと思う。今回、最初に藤田選手、それからボビッシュ選手、そして2週間前に山本選手、と対戦相手が難航したけれど、自分は誰と戦いたい、というよりも、コンスタントに試合をしたいと思っている。
(山本の印象は?)とてもタフ。僕がキックやパンチや膝で攻撃しても倒れなかったしね。でも、ロープにすぐつかまるよね(笑)(※山本はロープをつかんでイエローカードをもらった)
(アメリカでのPRIDE開催、またUFCについては?)今回は7ヶ月ぶりの試合ということと、自分にとってはアンラッキーな東京ドームでの試合ということで(※2回負けている)、今日の試合のこと以外は考えられなかったけれど、もしアメリカでPRIDEが開催されるならぜひ参加したいです。」

◆山本「見てのとおりです。1・2Rは取ったと思いましたが、3Rに取られてしまいました。(背水の覚悟で臨んだが今後は?)今後の事はまだ自分の中で整理がついていないので。(敗因は?)トップの外人と肌合わせてみて、グラウンドコントロールとかは驚きはなかったんですけど、もう一歩のとこだったんで。まだ終わったばかりでわかりません。」

第1試合 1R10分・2R&3R5分
○ゲーリー・グッドリッジ(トリニダード・トバゴ/フリー)
×ダン・ボビッシュ(米国/バート・ベイル・シュートファイティング)
1R 0'18" KO (スタンドパンチ)


 開始すぐのパンチの打ち合いで、グッドリッジのパンチがボビッシュの右目に直撃。ボビッシュはマットに膝をつき、グッドリッジが背後からさらに攻撃を仕掛けようとしたところで、豊永レフェリーが試合をストップ。あまりにあっけない決着だった。(井原)

◆ グッドリッジ「あまりに速く終わってしまったので試合をしたという感覚がない。試合が決まったのが急だったのでコンディションがあまりよくなく、短い時間で確実に勝ちに行きたかった。相手は指が目に入ったと言っているようだが、拳が入ったのだと思う。ボビッシュは大きな赤ちゃんみたい。おしりペンペンしようと思ったら先に泣き出しちゃったからね(笑)」

◆ボビッシュ「グッドリッジ選手の親指が入った様で、目がひどい状態です。目の裏側の筋肉が痛んでいて、眼球が動かせず視界も二重三重ぼやけています。これまでの試合経験の中で最も酷いダメージです。今後はWJプロレス、PRIDE両方のリングで試合をしていきたい。グッドリッジとは今度は目潰し無しでぜひ再戦をしたいと思います。」

Last Update : 11/10

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