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(レポ) [UFC 44] 9.26 ラスベガス:ティト×クートゥア、ついに明白決着

Zuffa "UFC (Ultimate Fighting Championship) 44 -Undisputed-"
2003年9月26日(金) 米国ネバダ州ラスベガス:マンダレイ・ベイ

  ◆WOWOWで9/29(月)深夜25:40-再放送

  レポート:井原芳徳  【→大会前のカード紹介記事】  [→掲示板・UFCスレッド]


第9試合 UFCライトヘビー級王座統一戦 5分5R
×ティト・オーティス(米国/チーム・パニッシュメント/王者)
○ランディ・クートゥア(米国/チーム・クエスト/暫定王者)
判定0-3 (44-50,44-50,45-50)
※クートゥアが新王者に


 1R、ティトがしつこく片足タックルでテイクダウンを狙うが、クートゥアは倒れず、逆に脇の差し合いからテイクダウンに成功。すぐにバックを取りスリーパーを狙うと、会場が大歓声に包まれる。いわゆる「乗り過ぎ」の不安定な体勢だったためティトに脱出されるが、ラウンド終盤にもテイクダウンに成功する。
 クートゥアの先制から始まったこの試合だったが、以降もその流れは変わらず。2Rもティトを倒すと、金網に押し込んで肘とパンチを落とす必勝パターンに持ち込み、終始攻め続ける。3Rこそ腹固めを返され下になりかけたが、またもクートゥアはひっくり返し上からパンチの雨。4Rもクートゥアがバックを取り、脱出に失敗したティトを潰して馬乗りになってのパンチラッシュ。ティトは両手でブロックしパンチに合わせて体を動かし巧みに防御するが、ジャッジに好印象を残せない。

 4Rまで確実に1ポイントずつ取り続けたクートゥアと、チャンスらしいチャンスの無いまま最終ラウンドまで来てしまったティト。クートゥアは過去のタイトルマッチでは後半に体力が落ち、逆転を許すことがあった。だがクートゥアの立ち振る舞いからは体力の消耗を感じさせず、とても40歳の老兵とは思えない。一方の28歳のティトは既に気力で負けているような状態。その姿にもう「バッドボーイ」の面影はない。
 5Rもクートゥアが片足タックルでテイクダウンに成功。ハーフガードからパンチと肘を落とし続ける。終盤こそ下からティトがクートゥアの足関節を捕まえる体勢となるが、クートゥアは上から圧し、タップのようにティトの尻を叩いてティトをからかう始末。結局その体勢のまま試合終了のブザー。ジャッジスコアが発表されるまでもなく、クートゥアはガッツポーズで勝ち誇り、ティトはセコンドのコリン・オーヤマ氏と抱き合い涙を流した。
 リングアナのブルース・バッファーがスコアを読み上げ、「Undisputed(明白な)UFCライトヘビーウェイト・チャンピオン、ランディ・クートゥア」とアナウンス。Undisputedは今回の大会名だが、ここまで明白に決着が付くとは、どれほどの数の人が予想したであろうか? ティトは素直に負けを認め、クートゥアの腰に自らベルトを巻いた。

 クートゥアはヘビー級に続き、前人未到の2階級制覇を達成。この日はPRIDE陣営の榊原信行DSE社長、高田延彦統轄本部長、クイントン・ジャクソンも来場。テレビ中継向けにはオクタゴンの中でジャクソン、PRIDEミドル級GP参戦中のチャック・リデル、さらには高田本部長までもがインタビューを受けた。高田本部長は「我々はPRIDEです。そして桜庭と藤田をオクタゴンに送り込みます」と宣言。両団体の交流が深まっていることを象徴する光景だったが、逆に今度は新王者・クートゥアがPRIDEのリングに上がり、何らかのアクションを起こしてもおかしくはない。ちなみにUFCライトヘビー級はPRIDEミドル級と同じ93kg以下契約。つまりクートゥアの標的は11月のPRIDEミドル級GP優勝者となる。クートゥアは金網を有効に使ったファイトを得意とするため、リングで戦うPRIDEの選手と単純に強さを比較できない。お互いのホームグラウンドで戦った方が当然有利だろう。だがホーム&アウェーで両団体で1回ずつ戦うなど、フェアな条件が設定されれば、“真”王者決定戦をやる意義がある。PRIDEは来年早々のラスベガス進出が決まっており、これらの話も決して夢物語ではない。


第7試合 UFCヘビー級タイトルマッチ 5分5R
○ティム・シルビア(米国/ミレティッチ・ファイティングシステム/王者)
×ガン・マギー(米国/ルイス&ペデネイラス・バーリトゥード/挑戦者)
1R 1'54" KO (右ストレート)
※シルビアが王座防衛


 シルビアがマギーにパンチでプレッシャーをかけ続ける。2メートルを越える巨漢対決ということもあり、マギーは簡単に金網に追い詰められる。最後はシルビアが左右のストレートを振り、マギーのガードがガラ空きになったところでシルビアの右ストレートが炸裂。ダウンしたマギーにシルビアが覆いかぶさってパンチを連打したところでビッグ・ジョン・マッカーシー・レフェリーが試合をストップした。
 挑戦者にほとんど何もさせず見事防衛を果たしたシルビア。これでデビュー以来15連勝。PRIDE関係者が来場しているのを意識し、マイクを向けられると「PRIDEのほうがUFCより上だと言われているが、PRIDEの選手と戦って、そうでないことを証明したい」とアピールした。サップ級の体格に、優れた技術を持ち合わせたシルビアは、PRIDEヘビー級の強豪達にとっても十分脅威となりうるだろう。


第1試合 ライト級 5分3R
×宇野 薫(日本/和術慧舟會東京本部)
○エルメス・フランカ(米国/アメリカン・トップ・チーム)
2R 2'46" KO (右ストレート)


 前座扱いの試合のため客席の埋まり具合が寂しかったが、リングサイドにはUFC視察に訪れた榊原DSE社長の姿も。
 先にテイクダウンに成功したのはフランカだが、宇野は脱出し、立った状態から寝転んだフランカにパンチを的確に落とし、1Rを優位に進める。
 だが2R序盤、フランカがハイキックの動きから飛びつき三角のような形でグラウンドに引き込み、さらに一瞬バックを取るなど、いきなりペースをつかむ。宇野はスタンドの差し合いの状態になんとか戻したが、フランカに投げの打ち合いを制され、大外刈りのような形で豪快に投げられ頭から転落。フランカは観客の声援に押されるようにアグレッシブに動き、一瞬マウントを取る。宇野はハーフガードで防御し、さらにスタンドに戻すが、パンチの打ち合いとなり、フランカの右ストレートがカウンター気味に宇野のアゴを撃ち抜く。宇野は膝から崩れ落ちるようにマットに倒れ、無念のKO負けを喫してしまった。




第8試合 ヘビー級 5分3R
○アンドレ・オロフスキー(ベラルーシ/フリー)
×ウラジミール・マティシェンコ(ベラルーシ/RAWチーム)
1R 2'14" KO (右アッパー)

 体格の勝るオロフスキーが序盤からマウントを取るなど優位に。だが打撃戦を望みスタンドに戻すと、前蹴りで突進してきたマティシェンコに右ストレート。これはヒットしなかったが、すぐに放った右アッパーがマティシェンコのアゴにクリーンヒットし見事KO勝ちをおさめた。

第6試合 ミドル級 5分3R
×デビッド・ロワゾー[Loiseau](カナダ/TKOマネージメント)
○ホルヘ・リベラ(米国/チーム・エリート)
判定0-3 (28-29,27-29,28-29)

 3R延々と立ち技の続いた試合。1Rはロワゾーがリベラのスキンヘッドを肘で何ヶ所も切り優位だったが、2Rからリベラがパンチで反撃。3Rはロワゾーにほとんど攻め手がなく、リベラが逆転勝ちをおさめた。

第5試合 ライトヘビー級 5分3R
○リッチ・フランクリン(米国/ミレティッチ・ファイティングシステム)
×エドウィン・デューイーズ[Dewees](米国/フリー)
1R 3'35" TKO

第4試合 ウェルター級 5分3R
×デイブ・ストラッサー(米国/ストラッサーズ・フリースタイル・アカデミー)
○カロ・パリジャン[Karo Parisyan](米国)
1R 3'52" アームロック

 ストラッサーはUFC 42でロニー・アラムに勝利し2戦目。プロ修斗で多数試合経験がある。パリシャンはアルメニア人の柔道家。サンボや柔術の動きもミックスしており、華麗なサブミッションを披露。スタンドのアームロックの体勢からそのままストラッサーを投げ、グラウンドでもアームロックの形をキープし、絞り上げてタップを奪った。ウェルター級王者のヒューズにはさすがにまだパワー負けしそうだが、テクニカルなファイターとして今後脚光を浴びそうだ。

第3試合 ライト級 5分3R
○ジョシュ・トンプソン(米国/チーム・シャムロック)
×ジェラルド・ストレベント[Strebendt](米国)
1R 2'45" KO

第2試合 ウェルター級 5分3R
×ジェレミー・ジャクソン(米国)
○ニック・ディアス(米国/シーザー・グレイシー・アカデミー)
3R 2'04" 腕ひしぎ十字固め

Last Update : 09/27

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