(レポ&写真) [柔術] 2.11 有明:レオジーニョ、風邪を引いても早川に圧勝
IF-PROJECT "プロフェッショナル柔術リーグ Ground Impact (GI) 02" 2003年2月11日(火・祝)東京・ディファ有明
レポート&写真:井原芳徳
【→大会前のカード紹介記事】 [→掲示板・組技スレッド]
※3月にJスカイスポーツにてテレビ放映決定
メインイベント 黒帯レーヴィ級 10分一本勝負 ×早川光由(ストライプル) ○レオナルド・ヴィエイラ(ブラジル/アリアンシ) 4'12" 送り襟絞め(ブラボーチョーク)
来日前にひいた風邪を長旅でこじらせ、最悪の体調だったというレオジーニョは、序盤の差し手争いから強引にテイクダウンを狙い、短期決戦に出る。早川が引き込んで寝技に持ち込むと、レオジーニョはいきなり抱え上げ、さらにパスガード、マウントと速攻を仕掛ける。ポイントで既に6-0と差をつけた3分過ぎ、前回中井を仕留めたのと同じ送り襟絞め(通称“ブラボーチョーク”)の体勢に。早川は必死に防御を続けるが、レオジーニョがバックマウント気味の体勢になったところで完全に極まる。両手の自由の効かない体勢で絞められた早川は、足で畳を踏んでタップの意志表示をするしかなかった。 試合後、早川は「想像以上に強かった。一気に駒を二つ進めるような戦略で攻めて来られて、気付いたら絞められてた」とガックリ。レオジーニョは本来は中井戦のように多彩な技で魅せる選手で、今回は病気の影響で強さの面でも技術の面でも本領発揮とはいかなかった。だが逆に勝ちにこだわったことで、身に染み付いている技術の高さや、勝負師としての勘の鋭さといった物が発揮されたともいえよう。
セミファイナル 黒帯ペナ級 10分一本勝負 ×中井祐樹(パレストラ東京) ○アレッシャンドレ・ソッカ(ブラジル/グレイシーバッハ) アドバンテージ0-3
先に引き込んだ中井だが、ソッカにハーフガードの体勢を取られ、パスガード狙いのアドバンテージを2回許す。バックに回ったソッカはさらに絞めを狙い続け、アドバンテージを3点に伸ばす。前に落としたい中井と、バックをキープするソッカ。両者は倒立の体勢のまま、こう着状態を延々と続ける。残り1分近くになり、ようやく倒立の体勢が解け通常のバックの形となるが、大きな進展はなく試合終了。中井は失点こそ無かったものの「面白くない試合をしてしまって申し訳ないです」と反省の弁。ソッカも「もっと動きたかったが、昨日日本に着いて少し疲れが残っていたのと、中井の防御がうまかったせいもあって、思ったようないい試合ができなかった」とコメントした。
第5試合 紫帯プルーマ級 7分一本勝負 ○藤井 恵(ガールファイトAACC) ×佐藤 歩(パレストラ福島) 6'12" 腰絞め
背負い投げのテイクダウンで2点を獲得した藤井は、3分近くパスガードを狙い続けて成功し3点追加。最後は腰絞めで佐藤からタップを奪った。
◆茶帯以下&ペナ級以下トーナメント
第1試合 一回戦 6分一本勝負 ×朝倉孝二(パレストラ池袋/茶帯) ○アギナルド・タバ(INFIGHT/茶帯) 4'46" 送り襟絞め
朝倉が引き込んで3分ほど膠着が続き、両者にマイナスアドバンテージが出される。その後朝倉が攻勢に出てアドバンテージを獲得するが、タバがリバーサル、バックで立て続けに点を重ね、最後は送り襟絞めで見事一本勝ちをおさめた。
第2試合 一回戦 6分一本勝負 ○阿部裕幸(AACC/紫帯) ×梅村 寛(ALIVE小牧/茶帯) ポイント6-2
レスリングベースの阿部が開始早々タックルでテイクダウンし2点を先取。梅村は下からの三角絞め狙いでアドテージを獲得するなど積極的に攻めるが、上の阿部は攻め手に欠き、消極的とみなされ2点を梅村に与えてしまう。だがスタンドでの再開後、またも阿部はタックルで2点奪取し再逆転。終了間際にもリバーサルで2点を獲得した。
第3試合 一回戦 6分一本勝負 ○和道稔之(SSSアカデミー/茶帯) ×林 秀徳(グレイシー・バッハ・シコク/紫帯) 4'52" 送り襟絞め
和道はメインに出場したレオジーニョの元で修行した経験を持つことから「和製レオジーニョ」の異名を取る。元々プロ柔術参戦に消極的だったが、昨年GI umでの中井×レオジーニョを見て、見せるための試合をすることへのためらいが消えた。そんな和道のプロ初戦はまさにその決意を象徴するような内容となる。序盤は静かな展開が続いたが、3分過ぎ、和道はリバーサルで2点獲得すると、パスガードで3点、マウントで4点、バックで4点と怒濤のような攻めを見せ、最後は送り襟絞めで一本。期待以上の内容で準決勝に駒を進めた。
第4試合 一回戦 6分一本勝負 ×片庭勝宣(AXIS柔術アカデミー/紫帯) ○渡辺 孝(パレストラ新潟/茶帯) レフェリー判定
序盤テイクダウンでアドバンテージを得た渡辺は、ハーフガードまで何度もいくものの、片庭に元に戻される。残り30秒、片庭がリバーサルでアドバンテージを獲得し同点に持ち込んだが、レフェリーは上から攻め続けた渡辺を評価した。
第6試合 準決勝 7分一本勝負 ×阿部裕幸(AACC/紫帯) ○アギナルド・タバ(INFIGHT/茶帯) ポイント2-8
阿部は一回戦同じく開始早々タックルでテイクダウンし2点先取。だがすぐにタバはリバースして同点とし、さらに2度のパスガードで計6点を追加。終了間際には背後から襟絞めを狙い、実力の差を見せつけた。
第7試合 準決勝 7分一本勝負 ×渡辺 孝(パレストラ新潟/茶帯) ○和道稔之(SSSアカデミー/茶帯) マイナスアドバンテージ1-0
開始早々、引き込み際の和道を渡辺は腕十字でキャッチ。和道は苦痛の表情を浮かべるが、なんとか耐え続け脱出に成功すると大歓声が起こる。上になった和道はアドバンテージを得て同点に。一度スタンドに戻り和道が引き込み、しばらくそのままガードポジションが続くが、5分過ぎ、またもスタンドに戻ると渡辺がテイクダウンでアドバンテージを獲得。そのままアドバンテージ2-1のまま終了するかに思われたが、渡辺が消極的と判断されアドバンテージを和道に献上しまたも同点に。そのまま試合は終了するが、同点の場合はマイナスアドバンテージのあった選手が負けとなるため、和道の勝ちという裁定になった。
第8試合 決勝 8分一本勝負 ○和道稔之(SSSアカデミー/茶帯) ×アギナルド・タバ(INFIGHT/茶帯) ポイント10-2 ※和道が優勝
和道が序盤からリバーサルとパスガードで計5点を獲得。マウントを狙ったところでタバの脱出を許し、スタンドで再開。和道は引き込むが、タバはパスガードでアドバンテージを得る。そのままスタンドに戻ると、今度は和道がテイクタウンに成功し2点追加。さらにパスガードで3点追加し10-0と大差を付ける。終了間際にタバにリバーサルの2点を許し、さらに襟絞めを狙われるが、和道はなんとか時間いっぱいまで逃げ切った。 主催者の“ハマジーニョ”こと浜島邦明・IF-PROJECT代表から優勝記念の帽子を受け取った和道。照れくさそうに勝利者インタビューに応じ、準決勝の腕十字について聞かれると「完全に極まってました。でも賞金をもらえないのが嫌だったので頑張りました」とコメント。けれんみ無くいってのけたが、自然と観客から笑いが起こるのも人徳のなせる業だろう。日本のブラジリアン柔術界では名の通っていた和道だが、この優勝をきっかけに、試合の面白さとキャラクターの両面で広く格闘技ファンに知れ渡ることになりそうだ。
Last Update : 02/12
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