両者は身長で13cm(ベルナルド193cm、サダウ180cm)、体重で約20kg(ベルナルド 112kg、サダウ92.6kg)の差がある。試合前のレフェリーチェックの段階で両者が対
峙したときに、その体格差に会場から溜息が漏れたほどだ。
だが単に体格差という話なら、その後の角田vsベイル、長井vsノルキア戦の方が甚だしい。しかし「日本人への試練」というテーマを持った今大会で、K-1ファイター
の中でも優勝候補に挙げられるトップクラスのベルナルドが、本来クルーザー級のサダウと試合を行うことに首を傾げる部分が無いと言えば嘘になる。K-1本戦を12月に
控えたベルナルドにダメージが残るような過酷な対戦カードがこの時期組めるはずはない、そのことは観客も百も承知の筈だ。としてみればこの試合、新規に始まったK-
1 Japanシリーズの御披露目的な色彩を帯びてくるのは明らか。ベルナルドにしてみれば調整試合といったところか。
空手出身の選手はデカイ相手と対戦するための戦略なり戦法なりを空手の試合を通 じて体験している場合が多いが、ムエタイは体重制でそういった技術は未発達であり
、彼らはたとえ体格差があっても空手の軽量選手が使うような、ステップワークで出入りを激しくして相手を攪乱しつつ隙を突くような戦い方はしない。サダウもいつも
通りの戦法で、正面からムエタイ流のミドルをガンガン蹴っていく。その破壊力そのものは決してあなどれるものでは無いのだが、いかんせん真っ正面からのぶつかり合
いに20kgの差は大き過ぎる。
ベルナルドの方はK-1 BUSHIDOの時同様、蹴りに対する課題を頭に置いて闘っていた。ロー、ハイ、膝といった技を試し、サダウの左ミドルを単にブロックするのでな
く回し崩すような捌きを見せたあたりは、K-1本戦で対戦するF・フィリョを意識して のトレーニングの成果だったのかもしれない。
試合はK-1 BUSHIDOの時同様、ベルナルドの吹き飛ばすような豪快なアッパー一発 で決まってしまった。リング・ロープに縺れるように倒れたサダウの目の焦点は間違
いなくすっ飛んでしまっていたから、すかさずセコンドはタオルを投げ込んだ。いつ もながらあのパンチの破壊力には圧倒されざるを得ない。
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