男が友人を死で失う時の反応というのはいろいろだ。
感情のままに号泣するものもいれば、毅然とその悲しみに耐えるものも居るだろう。
しかし、死を人の宿命と受け止め、葬式でその友人の失敗や滑稽なエピソードを語りながら、明るく送ってやろうとい男気というものも存在する。

今回アンディ・フグの弔いの席で、一人笑顔を見せていたのが宮本正明だ。
もちろん友人を失って悲しくないわけはない。しかし、宮本はその悲しみに笑顔で立ち向かった唯一の男だった。神の仕掛けたこの理不尽を認めず、いつも通り笑い、いつも通り快活にふるまう。そのことで今この場所にいない友人の死を吹き飛ばせるとでも言うように。

人は誰も自分の死で人が傷つき悲しむことなど望んではいない。
だから、その死にあたっても、明るく送りだしてやる。
残された家族(ファン)を力づけ、明日からの暮しに無事帰っていけるように活力を与える。それが宮本のやろうとしたことである。

やさしい男である。
そして、強い男でもある。
泣くことは誰にでも出来る、落ち込んで暗い人生の淵を覗く事も誰にでもできる。
しかし、友人の死というどん底にあって明るく昨日を語り、明日を見つめる事は誰にでも出来る事ではない。

アンディを語る宮本の言葉は時に荒っぽく、不要な気遣いは全く無い。だが、その口調は限りなく優しさに満ちている。それは真の友情に結ばれた人間だけに許された特権行為である。その宮本が語るアンディ像は、これまでTVや活字で語られてきたヒーロー然とした「鉄人」像とはとは大きく異なった、ひどく人間臭いものだった。時に弱く、時に脆いアンディのその背中を“もっとも身近で見つめてきた”という宮本。

これは、今や手の届かぬ彼方に去ったはずの友人が実は今すぐそばに隠れていて、大声で悪口を言えば飛び出してきて追い掛けてくるのを待ち受けているような、そんな悪ガキそのものの口調で宮本が語ったアンディ・フグ像である。ただいたずらにアンディの死を悲しむのではなく、彼の生身の生活像から皆さんも明日を生きる元気を貰って欲しい。→GO


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