フライに食らわされたダメージが後を引くハン。インターバル時も後頭部を冷やしている。
しかし殺気は消えていない。
短期決戦を狙ってゴングと同時にタックル、アキレス腱固めでエスケープを奪う。またもやなかなか手を放さない。負傷させてのレフェリー・ストップ勝ちを狙っているとしか思えないしつこさ。
立ち上がったカステルはかなり足を気にしている。
しかしその後カステルが膝の裏に蹴りを入れ、ダウンを奪うと、ハンはもうフラフラの状態。タックルを狙うが、逃げられてしまう。膝蹴りを食らいふっとぶが、ハンはダウンであることを否定。スリップが宣言される。
だが、その後もさらに掌底を食らっては吹っ飛び、ミドルを受けては吹っ飛ぶ。
飛ばされて転倒したのか。ダメージを受けて倒れたのか。その境は必ずしも明瞭なものではない。しかしここまで連続してしまえば、もはやダウンを取らざるを得ない。
優勝候補、ロシアA。まさかの敗退。
リングス団体戦は、いきなり波乱のスタートを切った。
翻ってみればオランダの戦略勝ちということになるだろう。
エースは大将で、次に強いのが中堅で・・・という漫然とした戦略ではなく、ポイント・ゲッターを定め、それで先手を取る。ミーシャを倒し、ハンにダメージを負わせたフライの殊勲も、ナイマンが先鋒をつとめてミーシャにダメージを残していなければ、生まれてはこなかった奇跡である。
IFは禁句ではあろうが、敢えていうなら、これが3対3のシングル戦だったら、おそらく、2−1か3−0でロシアAの勝利は動かないところだった。あるいはロシア側が先鋒にミーシャをもって来ていたら、展開は全く逆になっていたかもしれない。
勝ち抜きであるが故の妙。試合出場順が隠されているが故の意外性。
次からは、各選手の能力だけではなく、その組み合わせの戦略を、各チームとも、徹底研究してくるだろう。
ポイント・ゲッターを先鋒に置くことが常に正解であるとは限らない。もし、エースを先鋒に据えることを見抜かれ、そのエースがたまたま苦手にしているタイプの選手をぶつけられたとしたら・・・。考えようによってはリスクは非常に大きい。
博打に出るか。守りに入るか。
そして、そんな戦略をも吹っ飛ばす土壇場のがんばりが見られるのかどうか。
リングスは新しい喜びを発明した。
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