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Report
shooto 99.12.11「VALE TUDO JAPAN'99」 東京ベイNKホール

メインイベント 76kg契約 VTJルール(8分3R) 
総合格闘技木口道場/ミドル王者
桜井“マッハ”速人
3R 1'31
TKO
ブラジル・アリアンシ柔術
アウドロ・ビクトリアーノ
×
 

メイン vs 第一試合、マッハは勝ったか


 
 マッハが殴り勝った。それもファイナルラウンド1分31秒というギリギリのシーンで。

 3Rまでは、長い猪木アリ状態にイライラを隠せなかったマッハだが、これはビクトリアーノの作戦。「マッハ、何とかして欲しい…」という思いを胸に、観客の大声援が沸く場内。ビクトリアーノの表情には疲労の影が、一方のマッハは余裕の表情。スタンドでマッハが右ローキックを出す。一瞬の隙をついてグラウンドへ飛び込んだマッハが、あっという間にマウントを奪う。そこから、この試合初めてのアドレナリンと共に十数発のマウントパンチラッシュ。出血を伴いながらボコボコにされるビクトリアーノ。まさに普段から「殴り勝ち」したいと言うマッハにふさわしい勝利、さすが無敗の男だ。


 それにしても、実に長い猪木アリ状態だった。これという決め手のないまま突入した2R。グラウンドでの撃ち合いでビクトリアーノの額から出血。その後スタンドを避けて自ら横たわるビクトリアーノ。猪木アリ状態だ。マッハは上からひたすらローで攻めつつ、廻りこんでグラウンドへ飛び込むチャンスを伺うが、ガードが固い。ヒザ十字も狙われている。抜け出せない猪木アリ状態。会場からは「立てよー」の声。マッハ再び4発のロー。スタンドに戻ったと思うと再び下へと寝そべるビクトリアーノ。明らかに作戦だ。しびれを切らした観客からは「レフリー、バイアグラだ、バイアグラ。そいつにバイアグラ飲ませて立たせてくれ!」なんていう野次が飛んでくる始末。マッハも怒っている。


 ふとこの瞬間、プライド8の桜庭 VS ホイラー戦を思い出した。ここでどうにかして攻撃に出なければ、自分の力を出せないまま試合を終えてはいけない。焦ってもいけない…。この場面、桜庭と桜井の感情は恐らく同じだったに違いない。しかし、自他ともに実力の差を見せつけた桜庭に対して、一方のマッハは試合後「相手の作戦に慎重になりすぎ、ファイナルまで自分の力を出せなかったのが悔しい。ヒザ十字を警戒しすぎて、3Rのパンチラッシュまでは自分の力を50%くらいしかだしていない」と硬い表情。ファイナルを飾るという両者の立場は同じにせよ、自身の納得という点においても、観客に対する説得性という点においても開きがでたとの感がある。


 悔しげな表情が気に懸かったマッハであったが、次の瞬間には「今、一番したいことは?」との問いに「(試合中歯が折れたので)歯医者へ行きたい」と場内爆笑をとるなど、いつものマッハに戻っていた。

ルミナの秒殺でいきなりヒ−ト状態になったVTJ’99。今回、そのメインイベントを”禅譲”された形になった桜井にとって、それ以上のインパクトでこの大会をしめくくる事が、階級こそ違え”修斗のエ−ス=ルミナ”という世論をひっくり返すための絶対条件だったはず。はたしてそのテ−マは 満たせたのだろうか? その答えは、試合後の桜井の表情に隠されているように思えてならない。

(藤間敦子)



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カメラ:井田英登

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