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Report

BATTLE GENESIS Vol.6 9月5日 後楽園ホール

大会総評

「中軽量級版KOKの誕生」

山名尚志


 WFの流れを受け、「プロ興行の中心はなんといってもヘビー級」という前田日明の方針の下に進んで来たリングス。かつて、後楽園実験リーグに、平や正道会館の後川が参戦したことがあるのを例外として、基本そのリングに登場するのは80kgを上回る選手ばかりであった。
 だが、その歴史も変わろうとしているのかもしれない。
 今回のBATTLE GENESISの目玉は、WEFとの提携によるワン・デイ・トーナメント。クラスは70kg級。WEFではライト級、一般の分類で言えばウェルターに当たるクラスである。4名参加で行われるこのトーナメントの優勝者には、WEFライト級でのマッチメイクがプレゼントされる。

 リングス以外の総合格闘技、特に修斗をご覧になっている方、あるいは、K−1とキックボクシングの双方をご覧になったことのある方にはよくおわかりの通り、格闘技において、ヘビーとそれ以下の階級には、スタイル面で、相当の差がある。何というか、見ている側からして言えば、魅力の原点というものが違うのだ。
 ヘビー級。その最大の魅力は、やはり、神に与えられたその肉体であり、であるからこその圧倒的な迫力ということになろう。対して、中軽量級には、そうした目に見えるギフトはない。しかし、肉体のサイズが普通であるからこそ、逆に目に見えて来ることがある。
 平凡な肉体から繰り出される技の切れ。鋭角的なスピード。
 そして、その技とスピードを身体に刻みつけていくためのストイシズム。
 ヘビー級の格闘技がその豪快さに圧倒されるものだとするならば、軽量級のそれは、ストイックな肉体同士のギリギリの凌ぎ合いに戦慄するものだと言えるだろう。

 HBのデファクト・スタンダードに限りなく近づいたKOKルール。
 このルールを持ってすれば、日本に広がりつつある総合格闘技の選手をリングスに取り込んでいくことに、かつてのような、障害はない。そして、日本人ということでいうならば、70kg級、60kg級といった中軽量クラスこそが、本来、メインの階級となる。フェザー、ライト、ウェルター、ミドル。キックでも、ボクシングでも、中心となる階級はこのあたりだ。
 前田代表は、「リングス本体にない中軽量級の拡充を目指す」という方針を新たに打ち出した。この背景には、当然、上記のような現状認識があるのだろう。
 中軽量級KOK。
 我々は、これから、リングス・スタイルの新しい魅力を発見していくことができそうだ。期待したい。■■■

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レポート:山名尚志  

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