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Report

k-1アルゼ K-1 WORLD GP 2001 in 大阪
- K-1 WORLD GP 2001 決勝予選トーナメント開幕戦 -

2001年4月29日(日) 大阪城ホール

「バンナ、全試合1RKOで余裕の決勝トーナメント進出。セフォー無念の負傷リタイア」

 観衆:12,000人(満員:主催者発表)

第1試合 一回戦 3分3R 

ジェロム・レ・バンナ
(フランス/ボーアボエル&トサジム/190cm,120.5kg)
1R 2'15"

KO(左フック)

パヴェル・マイヤー
(チェコ/ハヌマンジムプラハ/201cm,110.2kg)
×

 プラハ予選を制したマイヤーは2mを越す長身に弁髪が印象的な選手。だがバンナの前に立つと線の細さが際立つ。バンナは序盤は様子を伺うかのようにあえて攻め込まず。だがニラみ付けてプレッシャーをかけるだけでマイヤーは腰が引けた様子で後ずさりする。相手を見切ったバンナは左ストレートをヒット。さらに肘打ちスレスレのパンチで相手をひるませる。ロープ際に追い詰められたマイヤーは両腕をガードしたまま静止し戦意喪失のような状態。あとはバンナが左ミドルと左フックを叩き込みKO勝ち。危なげなく一回戦を突破した。

第2試合 一回戦 3分3R 

エベンゼール・フォンテス・ブラガ
(ブラジル/アカデミア・ボクセタイ/190cm,100.9kg)
2R 1'20"

KO(右フック)

グレート草津
(日本/チームアンディ/181cm,95.5kg)
×

 PRIDEなどの総合格闘技で名を馳せるブラガだが、所属ジムが示すとおり元はムエタイの選手。桜庭らを苦しめた首相撲で空手家・草津を巧みにコントロールし、膝蹴りを的確に次々ヒットさせる。草津も苦しい展開ながらカウンターの右や師匠・アンディ譲りのバックハンドブローで反撃を試みる。だが2Rになるとついにブラガの膝蹴りに草津がダウン。接近戦で左アッパーをヒットさせ反撃するが、飛び込んだところに右フックを喰らってしまう。ダメージの溜まっていた草津はそのままダウン。2ダウンで初戦敗退となってしまった。
 草津は試合後言葉少なに「正直、怖かった。相手に対し怖いと思ったのは初めてのこと。雰囲気に飲まれてしまった」と語り、インタビューの後半には涙をこぼしながら「ジャパングランプリに向け練習しなおします」と再起を誓った。

第3試合 一回戦 3分3R 

レイ・セフォー
(ニュージーランド/アメリカンプレゼントボクシングジム/180cm,106.0kg)
1R 2'20"

KO(右フック)

アダム・ワット
(オーストラリア/ショアボクシングジム/192cm,94.0kg)
×

 第3試合には昨年準優勝のレイ・セフォーがエントリー。婚約も果たし、3月大会でも豪快なKO勝ちを見せ、今公私ともに最も波に乗るK-1ファイターの一人だ。対するは草創期のK-1の常連だったアダム・ワット。最近はボクシングで活躍しており、昨年10月にはメジャータイトルのWBO世界ジュニア・ヘビー級タイトルマッチに挑んだが王者ジョニー・ネルソンに5RTKO負けを喫している。同じくボクシング戦の経験を持ちパンチ力に定評のあるセフォーとの、オセアニアンボクシング対決に好勝負の予感がする。
 パンチ中心の試合が予想されたが、かつて正道会館に所属していたワットは前蹴り、ロー中心に攻める。セフォーは腰を黒いサポーターのようなもので固めており時々手を押さえ苦しそうな表情を見せる。だがセフォーは飛び込んでカウンターの左を命中させると、パンチの連打でワットを追い詰め、とどめの左アッパーで最初のダウンを奪う。ワットはなんとか10カウントまでに立ち上がったものの足下が定まらない状態で、最後はセフォーが得意の右フックを命中させ2ダウンKO勝ち。セフォーが順当に準決勝に駒を進めた。...かのように思えたが、やはり腰の状態は深刻だったようで、試合中に悪化させ控室で動けない状態となってしまいドクターストップがかかった。よって規定によりワットが準決勝進出。

第4試合 一回戦 3分3R 
×
ヤン・”ザ・ジャイアント”・ノルキヤ
(南アフリカ/スティーブジム/211cm,144.5kg)
延長1R判定0-3

9-10,9-10,9-10

ピーター・グラハム
(オーストラリア/レッドファーン・ジム/193cm,111.7kg)

 グラハムはオレンジに染めた前髪、背中に南十字星のタトゥーという出で立ち。エミネムの曲をバックに妙に力の抜けたダンスで入場する姿にひ弱な印象を受ける。ノルキヤの巨体のプレッシャーに苦しむ場面も見られたが、随所にインロ−を叩き込み、巨象を少しずつ苦しめる。さらには胴回し回転蹴り、かかと落とし、バックハンドブローといった派手な技を奇麗に見せ、当初の印象を覆す。延長にもつれ込んだが、ダメージの蓄積したノルキヤをグラハムがサイドに回り込んでのローで巧みに攻め、判定勝ちをおさめた。(※本戦判定1-1(29-30,30-29,30-30))



第5試合 準決勝 3分3R 
ジェロム・レ・バンナ
(フランス/ボーアボエル&トサジム/190cm,120.5kg)
1R 1'03"

KO(右フック)
エベンゼール・フォンテス・ブラガ
(ブラジル/アカデミア・ボクセタイ/190cm,100.9kg)
×

 バンナのパンチ連打にブラガもパンチで応戦しようとするがパワーの差は歴然。バンナが右でフェイントを見せ左ストレート1発を叩き込み開始40秒ほどでいきなりダウンを奪う。ブラガはなんとか立ち上がったが、バンナが同じく右のフェイントからの左ストレートと右フックの連打を命中させると、千鳥足のブラガはコーナーにもたれかかるように倒れ込んだ。バンナがまたも圧勝で決勝進出を決めた。

第6試合 準決勝 3分3R 
アダム・ワット
(オーストラリア/ショアボクシングジム/192cm,94.0kg)
2R 1'29"

KO(左フック)
ピーター・グラハム
(オーストラリア/レッドファーン・ジム/193cm,111.7kg)
×

 一回戦ノックアウト負けのワット、4R闘ったグラハムの対戦となったが、両者疲労をを感じさせない動きを見せる。ワットがかつてのK-1参戦時代を彷彿させるバックハンドブローを見せれば、一回戦でその技を見せたグラハムも負けじとばかりお返し。だがワットがパンチのコンビネーションで徐々に攻勢に。2Rに左フックで二連続ダウンを奪い、ラッキーな決勝進出を決めた。

第7試合 K-1 JMAXスーパーファイト 3分5R 69kg契約 
小比類巻貴之
(日本/チームドラゴン/177cm,69kg)
3R 0'24"

KO(左上段膝蹴り)
サミール・ベルバーチ
(フランス/サドック・アリ・ジム/180cm,69kg)
×

 1R開始早々左ストレートで小比類巻ダウン。その後もベルバーチが左パンチの連打とハイキックでラッシュをかける。2Rになると小比類巻が首相撲での膝蹴りの連打で徐々にベルバーチを苦しめる。3Rにはついに膝蹴りの連打でダウンを奪う。ベルバーチは大の字に倒れ込んだまま立ち上がれず。逆転勝ちをおさめた小比類巻は涙を流しながら観客に大手を広げよろこんでいた。

小比類巻の試合後コメント「ダウンの後のことはよく覚えていない。(膝蹴りを出したことも)よく覚えていない。体が勝手に動いた」



第8試合 決勝 3分3R 
ジェロム・レ・バンナ
(フランス/ボーアボエル&トサジム/190cm,120.5kg)
1R 0'52"

KO(右フック)
アダム・ワット
(オーストラリア/ショアボクシングジム/192cm,94.0kg)
×

※バンナは12月GP決勝トーナメント出場権獲得。

 両者の体重差は26kg差。クルーザー級のワット、スーパーヘビー級のバンナのパワーの差は拭えず、バンナがワットをコーナーに追い詰めパンチ連打で1ダウン。さらにガードをぶち壊すようなパンチ連打でノックアウト。バンナが合計試合時間わずか4分10秒で12月のGP決勝トーナメント出場権を獲得した。閉会式でマイクを持ったバンナは「この勝利を天国で見ていてくれているアンディ・フグに捧げます。ドウモアリガトウ!」と話した。生前のアンディとは大阪の正道会館で練習したこともあり、昨日には京都のアンディの墓地に墓参りをしていたという。そのことが今回のマイクアピールにつながったようだ。

アダム・ワットの試合後コメント「セフォーの代わりに出ることになったが、自分も足を痛めていたので試合をすべきか迷った。(大阪の正道会館時代のトレーナーの)湊谷コーチに相談して出ることにした。自分の体格だとK-1では不利。今後はウェイトを増やしてK-1で頑張るか、それともこのままの体格でボクシングを続けるか、まだ迷っている。大阪正道では3年間内弟子をしていた。その頃の仲間の佐竹、金、後川が今はK-1のリングにいないことは寂しい。生き残りの自分が正道のスピリットを見せたい」

 なお惜しくも負傷リタイアとなったセフォーに関しては、K-1プロデューサーの石井和義・正道会館館長が閉会式のリング上で「敗者復活トーナメントに出場させたい」とコメント。月曜の一夜明け記者会見で正式な発表が行われる模様だ。またワットの敗者復活トーナメント出場権について石井館長は、「セフォーにKO負けしており、出すかどうかは検討課題としたい」と話した。


<フレッシュマンファイト結果>

第1試合 K-1ルール 62kg契約 3分3R
△北川雄一(正道会館)
△森本達也(日進会館)
3R 判定1-1 (30-30,29-30,30-29) 

第2試合 K-1ルール 67kg契約 3分3R
○加藤マサアキ(フリー)
×林 誠(日進会館)
3R 判定3-0 (30-28,30-29,30-29)

<欠場選手の欠場理由(主催者発表)>

1.シリル・アビディ選手(フランス)
以前より顎の状況が良くない為、3/17横浜大会終了後マルセイユ大学地方医療センターで診察を行った結果、 組織検査を必要とする右下顎骨腫瘍が認められました。5月3日に全身麻酔による医療措置を行う為、 来日が中止となり欠場が決定いたしました。

2.ジェレル・ヴァネチアン選手(オランダ)
トーナメントで骨折した右拳の怪我が完治せずドクターストップとなり、欠場が決定いたしました。

3.ユルゲン・クルト選手(スウェーデン)
ボクサーとのスパーリング中にパンチを受け2本の肋骨を骨折、ドクターストップとなり欠場が決定いたしました。



レポート:井原芳徳

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