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(レポ&写真) [PRIDE] 11.5 横アリ:五味僅差防衛。三崎敗者復活優勝

ドリームステージエンターテインメント "PRIDE武士道 - 其の十三 - PRIDEウェルター級グランプリ2006 決勝戦"
2006年11月5日(日) 神奈川・横浜アリーナ  観衆:10,158人

  レポート:井原芳徳(ライト級&美濃輪戦)、本庄功志(ウェルター級)  写真:井原芳徳
  【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】

(お詫びと訂正 11/9) 石田選手のコメントの中で、「五味×アウレリオのタイトルマッチの感想は?」という質問に「五味選手が勝ったと思いました」と答える箇所がありましたが、正しくは「アウレリオ選手が勝ったと思いました」でした。お詫びして訂正致します。



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第11試合 PRIDEライト級タイトルマッチ 1R10分・2R5分
○五味隆典(日本/久我山ラスカルジム/王者)
×マーカス・アウレリオ(ブラジル/アメリカン・トップチーム/挑戦者)
判定2-1 (足立=五味/三宅=アウレリオ/ヒューム=五味)

※五味が初防衛

 五味は8月のバロン戦同様、手堅い攻めに終始。試合後明かした作戦は「絶対にフックを打たず、ジャブで我慢強く攻める」というもの。サウスポーからオーソドックスに時折スイッチしつつ、右のジャブ、左ボディを放つ。アウレリオは左ジャブと右ロー。手数はどちらも少ないが、的確さではアウレリオの方がやや上か。
 五味のセコンドからは「我慢我慢」「相手そろそろ集中力切れるよ」といった声も。すると残り1分、島田レフェリーは「膠着を誘発する動き」とみなしグリーンカードを両者に提示する。五味はようやく積極的に右ローを打つように。残り5秒、アウレリオが初めてテイクダウンに成功するが、そのまま終了する。

 2Rに入ると、アウレリオの右ローで五味の表情がゆがむように。五味の右腿の内側は赤く腫れ上がる。踏ん張りが効かなくなりつつあったが、五味はその足で右ローを打ち、アウレリオのタックルも切る。倒されながらもアームロックを仕掛ける場面も。結局五味は最後までタックルを切り続け、アリ猪木状態を繰り返し、相手の土俵に踏み込まないまま終了のゴングを聞く。
 実質はドロー。判定で決着をつけるのが難しい試合だった。三宅ジャッジはローのダメージとテイクダウンの数でアウレリオに軍配を上げたとも考えられるが、どちらも効果としてさほど大きくなかった。五味が2Rにフックの連打でロープに詰める場面もあり、どちらかといえば五味に主導権が傾く時間が長かったため、足立&ヒュームジャッジが五味に軍配を上げたと考えられる。

 ベルトを守った五味はマイクを持つと「今日は判定が続いて、KOしたかったけど、勝ちに徹してしまった」と率直に反省の言葉を述べた。この日の武士道は4時にスタートし、判定の試合が続出。五味戦のゴングが鳴ったのは9時頃。榊原代表も「12試合は多すぎた」、高田本部長も「ワーストに入るようなテンポの悪いイベントだった」と運営面を反省したほどで、なおさら観客のKO勝ちの期待の高いシチュエーションだった。
 バックステージで五味が口にした「KO勝ちに頼らない。KOは後からついてくるもの」という言葉は、「判定、ダメだよ。KOじゃなきゃ」というアピールで、PRIDE武士道のエースとしてキャラ付けされた男らしからぬものだった。とはいえ修斗時代の五味は、判定が多い手堅い選手だった。久我山ラスカルジムの主として一匹狼となった今、再び修斗当時のような五味に戻ったというのも、偶然の一致だろうか。
 五味と何かと比較されることの多いK-1 MAXの魔裟斗でさえ、世界大会を制した後、勝ちに徹した安全運転ファイトを繰り広げた時期がある。榊原代表は来年ライト級GPを開催すると明言。五味は魔裟斗のような道を辿るのだろうか?

◆五味「相手が雑誌のインタビューで『奥の手がある』と言っていて、様子を窺いすぎました。(作戦は?)絶対にフックを打たず、ジャブで我慢強く攻める。KO勝ちに頼らず、KOは後からついてくるものと考えました。蹴りが出せたのがよかったですね。(相手のローは?)まあ…、痛かったっすよ(苦笑)。今日はお客さんが満足しなかったのが一番の反省点。大みそかはノンタイトルで思い切った試合ができると思う。誰か燃えるような相手とやりたいですね」

◆アウレリオ「非常に悲しく、残念。また再戦を願う。自分の方がアグレッシブだった。判定に納得していない。(作戦は?)流れに任せて試合をしようと思った。自分の方がテイクダウンが多かったし、五味のローはそれほど効かなかった。自分のローの方が効いていた。(なぜ五味は寝技に付き合わなかった?)それは私のペースになるからだ。前回私がそれで勝ったから、今回はスタンドでいったのだと思う。だた分かったことは、五味が自分をKOするということが100%無理だということ。最後に一言言わせてほしい。五味は偉大な選手で尊敬している。しかし、今日はフェアではない。五味がもう一度再戦してくれると信じている」

◆ ウェルター級GP

第2試合 準決勝 1R10分・2R5分
×三崎和雄(日本/GRABAKA)
○パウロ・フィリオ(ブラジル/ブラジリアン・トップチーム)
1R 9'43" 腕ひしぎ十字固め


 三崎が右ボディ、相手が近づいてきたところをアッパーと打撃で牽制。しかしフィリオは三崎の打撃を掻い潜り、組み付くことに成功。三崎は腰を下げテイクダウンされまいと粘るが、フィリオが投げでテイクダウンに成功すると、そこからは毎試合同様「地獄のグラウンド」がスタート。
 じりじりとマウントを奪ったフィリオは、エビ、TKシザースを使う三崎を難なく対処し、パウンドを落としプレッシャーをかける。普段100kgあると言われているフィリオはやはり重いのか、マウントから抜け出せない三崎。かろうじてハーフまで戻すも、すぐさまマウントになられてしまい、気づいたらコーナー付近まで追いやられる。
 テレビ解説の高阪剛が「コーナー付近で腕十字をやられると、抜け出すのが困難ですよ」と言うと同時に、フィリオがゆっくりと腕十字に移行。腕を伸ばされた三崎は、成す術なくタップ。フィリオが磐石の強さを見せつけ、決勝に駒を進めた。

 だがしかしこの男、とことん運がない。決勝は怪我により棄権することに。1年前の武士道・横アリ大会で行われたミドル級GP出場をかけたワンデイトーナメントでも同じような事があり、勝ち進みながらも怪我に泣いている。現在まで無敗のフィリオだが、敵はファイターではなく、己の体なのではないだろうか。

第3試合 準決勝 1R10分・2R5分
×郷野聡寛(日本/GRABAKA)
○デニス・カーン(韓国/アメリカン・トップチーム)
判定0-3 (小林=カーン/都鳥=カーン/三宅=カーン)


 郷野お決まりの入場曲が流れると、黒い服を身に纏った男が登場。サビが始まると同時に中の人物が露になると会場は大歓声。とうとう本家本元のDJ OZMAが登場する。「俺はGOZMAのマブダチ。俺がデニス・カーンを倒す!…それは無理。4秒も立ってられないです」と得意のトークで会場を暖めると「郷野聡寛!出てこいやぁ!」と力強くシャウト。すると本人と一緒にサンバの衣裳を着たダンサー、郷野Tシャツを着たダンサーが登場し、入場の熱気は最高潮。決勝の舞台らしい、華々しいパフォーマンスを終えた郷野がリング上でラストダンスを踊る。

 試合は序盤から両者慎重。カーンがワンツーを振っていくと、郷野がカウンターを返す。飛びヒザも出すカーンだったが、いつも見る爆発力が無く、相当相手を警戒しているようだ。お互い攻撃がほとんど単発で見合う時間が続くも、郷野が「手を出していない時でも技術比べができた」と話すように、見えない緊張が凄まじい。見合う中でも双方、常人にはわかりえないトップレベルの攻防を繰り広げていたようだ。
 1Rが終わりインターバルに入っても、郷野のパフォーマンスは終わらない。セコンド含めグローブを頭に乗せ、話し合う。これは新庄がやっていたパフォーマンスで、リスペクトする人物だからこそありがたくネタを頂いたようだ。

 2Rに入り、郷野がローを使い試合を動かそうとする。カーンのパンチは頭を振ってかわし、決定打をもらわないところがやはり上手い。カーンも深入りはせず、グラウンドで上になるとコツコツパウンド。「普段俺がやっている戦法を相手にやられてしまった」とカーンに上になられポイントを稼がれたことを悔やんだ郷野だったが、いかんせん手数が少なかったか。
 カーンさえもライツアウトしてしまった郷野だが、“際”の攻めで上回ったのはカーン。判定勝利したカーンは、手を広げ郷野の踊りを真似てみせた。

 準決勝で姿を消した郷野。だが、ライト級の勢いを超えるほどにGPを盛り上げたのは間違いなくこの男。GPに出るまでは“毒舌”を一つのパフォーマンスとしていたが、今はダンスがすっかり板につくキャラになった。
 毒舌は相手をけなし、その意味をファンに理解してもらってこそ形が帯びてくるもの。しかし今年のGPでは、観客が一目でわかるような“魅せる”事に重点を置いた。
 「ハードルを下げることも理解してもらいたい」。郷野は次回以降の入場に若干陰りを見せたが、ファンはすでに彼を高い位置にまで置いているはずだ。
 パフォーマンスをする以上、ハードルを下げることほど悲しい事はない。皆、次の新しい仕掛けを期待している。

◆郷野「(試合の感想は?)今までで一番楽しかったです。カーンと技術比べができたので。カーンは最初の雰囲気でガーッと来ないと思いましたね。始めから技比べするんだなと。ほぼ作戦通りでしたね。でも最後は自分がクラウスレイやアカーシオにやっていた事を相手にやられて負けました。最後相手は手堅く来ていて、ポイント稼がれましたね。試合前三崎が泣きながら『郷野さん、頼むから優勝してくれ』って言われたんですけどダメだった。
(今回の入場でハードルがかなり上がったが?)次はハードルを下げるのをみなさんに了解してもらいたい。GOZMAはもう出し尽くしました。今後はアメリカ行って、ボクシングの練習したり、英語でもできるようになって、男の幅を広げて帰ってきたいですね」
 

第12試合 決勝 1R10分・2R5分
○三崎和雄(日本/GRABAKA)
×デニス・カーン(韓国/アメリカン・トップチーム)
判定2-1 (三宅=三崎/ヒューム=カーン/小林=三崎)

※フィリオが左膝の負傷によりリタイア。規定により三崎が決勝に進出
※三崎が優勝

 ウェルター級の「強さの象徴」と言っていいカーンとフィリオ。この二人の一騎打ちだと誰もが思った決勝戦だったが、リング上にいるのは三崎とカーン。一度はカーン×フィリオだと発表されるも、決勝戦が始まる直前にフィリオが怪我でドクターストップがかかったと島田レフェリーが発表。三崎は「決勝進出の話は五味戦の時に聞いた」とかなり急だったものの、運を味方につけ決勝のリングに。

 三崎の投げを防いだカーンはタックルでテイクダウンに成功。しかし下から三崎が三角絞めを狙うと、カーンがパワーボムで回避しすぐさまサイドに回り顔面にヒザ。だが、三崎がガードポジションに戻しブレイクを誘う。
 ラウンド中盤、三崎が左右のフックで前に出ると、スタミナが切れかけていたか?カーンが下がり苦し紛れにタックル。それを切りがぶった三崎は、ヒザをカーンの頭に何発も叩き込み一気に攻勢出ると、会場はまさかの展開に大いに沸く。立ち上がられてしまったが、三崎の右フックが顔面をかすめると、カーンは尻餅。1R後半から三崎がペースを握り始める。
 2Rに入り、カーンがテイクダウンを奪うもブレイク。スタンドに戻るとプレッシャーをかける三崎は、カーンが嫌々タックルに来たところをがぶり、1R同様頭部にヒザ。なんとか立ち上がったカーンだが、三崎の右ストレートで思わずバランスを崩してしまい印象が悪い。

 残り時間僅かでスタンドの攻防になると、お互い余力を振り絞りパンチを交錯させ、シーソーゲームのまま試合は終了。判定は2-1のスプリットデシジョンにより三崎が「最強未開」のトーナメントを制覇。まさかのこの展開はさすがに誰も予想できなかったはずだ。判定が告げられた瞬間、三崎は顔を手で覆い号泣した。

◆三崎「準決勝が終わった後は、弁当喰って、ジュースガバガバ飲んで、試合モードじゃなかった。(決勝進出の話を聞いたのは?)五味戦の時ですね。負けたのに、複雑な心境です。パウロには申し訳ないけど、運を含め、神様が導いてくれたんだと思う。パウロは思った通りの強い選手でした。もう1回やりたいです。
 1日2試合、命削ってるけど、凄く充実した人生だと思いますね。為せば成ると言い続けたけど、本当にそうだと思った。郷野さんと二人で取ったベルトだと思います。」

◆ その他の試合

第10試合 ライト級 1R10分・2R5分
○青木真也(日本/パラエストラ東京/修斗ミドル級(76kg)世界王者)
×クレイ・フレンチ(アメリカ/ラインハルトMMA)
1R 3'57" 三角絞め


 序盤、青木が引き込んで速攻の三角を極めるが、フレンチは脱出。離れ際のパンチでも青木をヒヤリとさせる。青木が組み付いて倒しにかかる度に、フレンチはロープをつかんでしまうため、青木は戦略を変え再び引き込み。三角を今度はガッチリと極め、タップを奪った。
 試合後はマイクを持ち、当初対戦予定だったギルバート・メレンデスに「大みそか、やろう。メチャクチャ楽しい試合」と呼びかけ、メレンデスも同意した。怪我の回復次第となりそうだが、果たして実現するか?

◆青木「相手を格下だと思っている部分があって、甘く見ていました。パンチをもらってしまって情けないです。調子に乗っている部分がありました。メレンデス戦には今まで以上に締めて練習しなきゃいけないかなと痛感しましたね。自分が目指しているところはあそこ(タイトルマッチのリング)なんで。次メレンデスに勝って決めたいですね。
(試合後のマイクでは、タイトル挑戦の表明かと思ったが?)このレベル相手に2連勝して五味さんと戦えるようなリングじゃないですから。本当に厳しいリングです。
(相手が急遽変わったが?)相手がオーソドックスかサウスポーかもわからない、当日会ってやっと顔がわかったような感じで。修斗のチャンピオンですけど、ちっぽけなもんですよ。短い間で2連戦して、ほんといい経験しました」

第9試合 ライト級 1R10分・2R5分
○石田光洋(日本/T-BLOOD/修斗ウェルター級(70kg)環太平洋王者)
×ダービト・ビエルクヘイデン(スウェーデン/ブラジリアン・トップチーム/修斗ライトヘビー級(83kg)欧州王者)
判定3-0 (ヒューム=石田/都鳥=石田/三宅=石田)


 石田がビエルクヘイデンの打撃をかいくぐってタックルで倒すと、寝技で圧倒。サイド、逆サイド、常に優位なポジションを維持し続ける。アームバーと鉄槌で攻め、最後まで主導権をキープしたが、あと一歩の決め手に欠け内容となってしまった。

◆石田「張り詰めたものが一気に抜けたような感じです。寝技の技術は見せられましたが、インパクトが足りなかったですね。(インパクトとは?)がむしゃらに、シウバ選手のようなKO、一本を狙っていく試合です。
(五味×アウレリオのタイトルマッチの感想は?)どっちが勝ってもおかしくなかったと思います。自分はアウレリオ選手が勝ったと思いましたが、微妙な感じでしたね。(自身もタイトルマッチの対戦候補に挙がっていたが?)まだやる時期じゃないということだと。ちょっと期待している部分はありましたけど。ただ、川尻君においしいところを持っていかせるつもりはないです」

◆ビエルクヘイデン「10kgの減量はきつかったですが、動きやすかったです。ただ試合は今までで一番おもしろくなかった。それは石田が全然攻めてこなかったからです。次回はこれよりマシな試合ができます。(もう一回武士道で?)はい。73kgでやりたいです。でもオファーが来たら83kgでもOKです」 

第8試合 無差別級 1R10分・2R5分
○美濃輪育久(日本/フリー/88kg)
×マイク・バートン(アメリカ/フリー/122kg)
判定3-0 (足立=美濃輪/ヒューム=美濃輪/小林=美濃輪)


 1R、美濃輪が腕十字でチャンスを作るが、バートンは辛うじて防御。総合に対応した動きを見せる。終盤にはスタンドに戻ると左のパンチを美濃輪に連打。KO寸前に追い込まれるが、バートンの体力切れに救われる。
 2Rは中盤こそ激しい打撃の応酬が繰り広げられるも、両者とも消耗が激しく、お見合い状態が長く続く。大味な展開とはいえ、場内は異様な盛り上がりに。終盤のバートンは立ったままほとんど動かず、美濃輪のローを浴び続けるのみ。ダメージ差はほとんど無く、最後の積極性の差で美濃輪の勝利。いつものSRF 8回にも力を込める余裕が無いほどだった。

◆美濃輪「今後のためにいい経験になった試合でした。バートンは10年以上キャリア長いんですけど、41歳ですか?それでここまですごい肉体持てるのかと思いました。
(腕十字を取る場面があったが?)腕十時はバリバリ極まっていたんですけど…。これが超人の域かなと。自分は技術的にまだまだ足りないことがわかりました。今回は目一杯の最先端が出せました。もっと学んで超人になりたいです。まだまだ完成されていません。
(大晦日は誰と戦いたい?)熱くなれる選手とやりたいです。小さい人でも大きい人でもどちらでもいいですね。強い人はいっぱいいるので」

◆バートン「(相手の印象は?)タフだと思いました。自分は2戦目でしたが、判定までいったことは評価できます。(相手の関節技を防いでいたが?)いつもトレーニングの流れの中で練習していますので。極められそうになりましたが、タップせず折れないハートを見せられたと思います。もしまた試合することになったら、自分はプロレスラーとしてではなく、総合格闘家として戦います」

第7試合 1R10分・2R5分
○菊田早苗(日本/GRABAKA/84.9kg)
×ジョン・フランソワ・レノグ(フランス/フリー/83.7kg)
判定3-0 (ヒューム=菊田/小林=菊田/都鳥=菊田)


 菊田がタックルで難なくレノグを転がすと、そのまま簡単に腕十字をキャッチ。早くも試合が終わると思われたが、レノグが予想外のディフェンス技術を見せる。
 相手の腕十字を潰したレノグはすぐさまふみつけ。菊田が足関節、ヒザ十字と攻めてきても、レノグは防ぐ。菊田はこの時「スタミナが尋常じゃないぐらい急激に落ちました」と振り返る。やはり急な減量が影響したようだ。それもあって2Rから一気に失速。序盤にレノグのパンチの連打をもらい、一気に劣勢に立つも組み付いてなんとかグラウンドに。上になった菊田だが、休んでいる時間が長く、極める気が感じられない。結局終始グラウンドで有利なポジションにいた菊田が判定勝利したが、レノグのポテンシャルの高さを見られた試合でもあった。

◆菊田「自分の寝技のペースが掴めなかったです。短い間でしたけど相手すごい研究しているなぁと。途中スタミナが尋常じゃないぐらい急激に落ちました。最後無理やり落としたんで、それが効いたかなと。今後この階級でやるんであれば、ちゃんと準備していないとダメと痛感しました。向こうも前半ものすごい凌いだんで、力がなくなってきちゃって。時間かけてコンディション整えて、今日2人負けちゃいましたけど、GRABAKAで必ず追いかけたいなと思います」

◆レノグ「今日の試合は自分が勝っていたと思います。この体重でもう一回リマッチしたい。(どの部分で勝っていた?)自分の方がパンチがよかった。あと相手より強いハートが見せられたと思います。(試合後菊田とリング上で長い間話していたが?)菊田が『大丈夫?』と話しかけてきました。しかし自分はどこも全く問題ないです。(菊田の寝技を防いだ事で自身になった?)フランスでグラップリングが非常に良いパートナーと練習していたから自分を極めることができなかったんだと思います」

第6試合 1R10分・2R5分
×前田吉朗(日本/パンクラス稲垣組/パンクラス フェザー級(64kg)王者/65.4kg)
○ジョー・ピアソン(アメリカ/ミレティッチ・マーシャルアーツ/修斗ライト級(65kg)米大陸5位/65kg)
1R 0'54" フロントチョークスリーパー


 開始すぐ、ピアソンはパンチを振り回し前進。後ずさりした吉朗は片足タックルで防御しようとするが、ピアソンはすぐさまギロチンでつかまえ引き込む。吉朗は時計回りに動いて防御しようとするが、ピアソンのギロチンは外れず。最後はピアソンがクロスガードで吉朗を捕獲し、そのまま締め上げタップを奪い、見事秒殺勝利をおさめた。
 吉朗は念願の武士道再上陸だったがまたも完敗。単に雰囲気に呑まれているだけなのか?それとも真の実力なのか? 衝撃的な負けだったが、豪華カードの中でかき消されてしまったのが惜しい。

◆ピアソン「(試合が早く終わったが?)びっくりはしていません。いつも自分は速攻で攻めます。今日はいい形でフロントチョークが入りました。(チョークは頭にあった?)自分は打ち合いを狙っていました。(初出場で初勝利だが?)今後も日本が好きなので、PRIDEに出続けたいです」

◆前田「(さっぱりした感じだが?)さっぱりはしてないです。情けない。(気負いがあった?)気負いはないです。硬くなかったと思います。(やはりPRIDEのリングは違う?)他のリングと同じだと思いましたが、立ったら違うかなーと思いました。(敗因は?)(相手の動きに)対応できなかったことです。首は最初引っ掛けられた時に動いておくべきでした」

第5試合 ライト級 1R10分・2R5分
×帯谷信弘(日本/木口道場チームラスカル/DEEPライト級(70kg)王者)
○ルイス・ブスカペ(ブラジル/ブラジリアン・トップチーム)
判定0-3 (小林=ブスカペ/三宅=ブスカペ/足立=ブスカペ)


 国士舘大学レスリング部に出稽古に行っている帯谷だが、ブスカペのしつこいタックルに手を焼く。倒されてからサブミッションを許すことはなく、リバースは何度かするものの、下から足を効かされパウンドは空を切る。立ち上がり際にはガブリの状態でつかまり頭に膝を浴びることも度々。1R終盤からは額を出血する。結局最後までブスカペが主導権を維持し、久々のPRIDEを白星で飾った。

◆ブスカペ「(相手の印象は?)彼は73kgではトップに入るぐらいの選手。力強い選手でした。同じチームのミルトンが負けたから、絶対勝つ気持ちでいました。
(今後は誰と戦いたい?)今日の結果で誰でも勝てると思います。あえて言うなら川尻選手にリベンジしたいです。来年はグランプリに出場して、長年夢だったベルトを狙います」

◆帯谷「弱いな…と思いました。いつも通り、思い切ってやって結果がこれ。次はしっかり勝てる準備をしてきます。打・投・極のバランスが悪いから、トータルな練習に変えていこうかなと2試合やって思いました」

第4試合 ウェルター級 1R10分・2R5分
○ムリーロ・ブスタマンチ(ブラジル/ブラジリアン・トップチーム)
×ユン・ドンシク(韓国/高田道場)
判定3-0 (三宅=ブスタマンチ/足立=ブスタマンチ/ヒューム=ブスタマンチ)


 試合はほぼグラウンドの展開。やはりそこはブスタマンチの方が一枚も二枚も上。何回も下から腕十字をキャッチし、相手のパウンドも決定打一つもらわない。上にいる時間が長いユンだったが攻められず、ブスタマンチが完全にユンの光を消した。

◆ブスタマンチ「今日はできるだけサブミッションで勝とうと思ったので、打撃戦は避けました。相手に何回も技を仕掛けたが、彼も上手かったです。柔術を磨いてきているなと思いました。彼の技術が高く、一本は取れませんでしたがいい試合ができたと思います」

◆ユン「(感想は?)力を発揮できなくて、経験が足りないと思いました。今後どんどん強い選手と試合をして、経験を積んでいきたいです。試合は、状況に応じて打撃、グラウンドをやろうと思っていました。今後は特に打撃の強化を図っていきたいと思います」

第1試合 ウェルター級GPリザーブマッチ 1R10分・2R5分
○ゲガール・ムサシ(オランダ/レッドデビル・インターナショナル / ジュロージン)
×ヘクター・ロンバード(オーストラリア/吉田道場)
判定3-0 (都鳥=ムサシ/足立=ムサシ/三宅=ムサシ)


 グラウンドで長い間ムサシがバックをキープし試合の主導権を握る。ロンバートは「イライラして、スタミナが消耗してしまった」と話し、序盤で勢いを失う。ムサシはスタンドでも長いリーチを活かし、試合を一歩リード。特に身長差もあってか、首相撲でのヒザ蹴りが有効だ。試合後半は両者スタミナが切れた感があったが、ムサシがPRIDEニューエイジ同士の戦いを制した。

◆ムサシ「極められなかったですが勝てて嬉しいです。最初のテイクダウンの時に肩が変な音がしました。医者に肩の筋肉を傷めていると。自分はまだ若いので経験が必要です。ウェルター級はダン、パウロ、カーンの3トップだと言われていますが、まだまだいい選手がたくさんいます。経験を積んで25歳までにはトップに立ちたいです」

◆ロンバート「今日は完全に失敗です。バックのポジションから逃げられず、イライラしてスタミナを消耗してしまいました。(いつもより慎重に見えたが?)スタミナも減っていましたし、計画通りにできませんでした。(トレーニングは吉田道場で?)オーストラリアのジムと吉田道場両方です。常にあらゆるところを進化させなくてはいけません。まだ総合格闘技初めて2年なので、経験積んでスキルアップしていきたいです」

Last Update : 11/09 21:55

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