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(レポ&写真) [PRIDE武士道] 8.26 名古屋:三崎&郷野4強に。五味快勝

DSE "PRIDE武士道 - 其の十二 - PRIDEウェルター級グランプリ2006 2nd ROUND"
2006年8月26日(土) 愛知・名古屋市総合体育館レインボーホール

  レポート&写真:井原芳徳  【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】


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第12試合 ライト級 1R10分・2R5分
○五味隆典(日本/久我山ラスカルジム/PRIDEライト級王者/72.8kg)
×デビッド・バロン(フランス/フレンチ・コネクション/修斗ミドル級(76kg)欧州王者/72.8kg)
1R 7'10" チョークスリーパーホールド


 「4月も試合をやったけど印象が無い。8ヶ月ぶりの試合って感じだった」。新しいジムのTシャツを着てインタビュースペースに現れた五味は、晴れやかな笑顔を浮かべる。五味がようやくファイターとしての魂を取り戻したことを感じた瞬間だった。

 五味は序盤からボクシングで主導権。バロンのパンチも危なげなくかわす。最近の試合にしては珍しく終始サウスポーを維持。「手堅く腰を落としていった」と振り返り、チャンスの場面でも深追いはしない。

 その慎重姿勢は寝技でも同じ。サイドポジション止まりでサブミッション狙いの深追いはせず、アリ猪木状態になると立ち技勝負をバロンに求める。
 バロンにほとんどチャンスを与えないまま、試合はラウンド後半へ。3度目の寝技の攻防で、バロンのアームロックを防いでバックを取りチョークで一本を奪う。まずは一勝。五味が完全復活に向け一つの形を残した。

 この日は大胆にもセコンドを新ジムの初心者主体のメンバーに一新。不安は当然あっただろう。だが五味は「生徒に練習通りのものを見せられた」とうれしそうに話し、不安さえも新たな船出の原動力に変えているようにも感じられた。五味にはなぜか、裸一貫での再スタートがよく似合う。

 11月5日・横浜アリーナ大会での防衛戦についても「大丈夫ですよ。今回もジムがオープンしてから4週間で乗り切れたから、2ヵ月後はもっと環境が整うと思う」と前向き。一夜明け会見ではアウレリオを挑戦者に指名しており、今後の発表が待たれる。

第11試合 ウェルター級GP準々決勝 1R10分・2R5分
×ダン・ヘンダーソン(アメリカ/チーム・クエスト/PRIDEウェルター級王者/82.9kg)
○三崎和雄(日本/GRABAKA/82.9kg)
判定0-3 (ヒューム=三崎/大橋=三崎/三宅=三崎)


 ヘンダーソンの粘り腰にテイクダウンを阻まれた三崎は、パンチで真っ向勝負。右の強打を浴びる場面があったものの、「最近は冷静に相手を見切れるようになった」といい、呑まれることなく「マイブーム」だという右アッパーを返す。さらに前足を狙い着実にローキック。トレーナーと練ってきたという「勝つための作戦」が功を奏しているようだ。

 ヘンダーソンは「準備万端だったのに何故か動きが鈍かった。1Rからずっと突っ立っているだけのような感じだった」と振り返る。インターバル直後の2R序盤を除き、1R終盤からの試合後半戦は疲労を隠せない。

 一方の三崎は最後までペースが落ちない。3週間のニューヨーク修行の成果もあるのだろうか。ビッグヒットは無いものの、2R後半はほとんどヘンダーソンに攻めさせなかった。ヘンダーソンはジャッジが読み上げられた時は首をかしげていたが、インタビューでは「どっちに転んでもおかしくない内容だった。ジャッジに判断を委ねてしまった時点で自分の責任だ」と負けを認めざるを得なかった。

 五味に続き王者がノンタイトル戦で敗北。武士道系のタイトル戦線がより混沌としてきた。ヘンダーソンは防衛戦について「相手は誰でもいい。大みそかにGPの王者相手にベルトを賭けてもいい」と話す一方、次のようにも話した。「それよりも、僕が自分自身を取り戻すことのほうが大事だ」

◆三崎のマイクアピール「日本人は強いんです。為せば成る。越えられない壁はありません。決勝は郷野さんと。横アリで日本人が活躍する瞬間を、見に来いや!(最後は高田本部長のモノマネで)」

第10試合 ウェルター級GP準々決勝 1R10分・2R5分
○郷野聡寛(日本/GRABAKA/82.8kg)
×ゲガール・ムサシ(オランダ/レッドデビル・インターナショナル&ジュロージン・ジム/82.5kg)
2R 4'17" 腕ひしぎ十字固め

 今回も手の込んだ「DJ GOZMA」の入場パフォーマンスで会場を沸かせた郷野だが、序盤パンチを浴び劣勢となるのも前回のロンバード戦と同じ。ブロックして凌いだものの、得意のボクシングではなく、ムサシが苦手な寝技で相手の光を消す試合運びに。バックやマウントを奪い主導権。終盤には腕十字でチャンスも。

 2Rも序盤にパンチを浴び劣勢。試合後は「打たれるんじゃなく、打たせてた」と豪語した郷野だが、立ち技ではなかなかペースをつかめず再び寝技へ。いいポジションを取るものの決め手に欠き、判定負けの恐れも出てきた。

 しかし残り1分のコールの後、バックマウントから腕十字。最後のチャンスを見事ものにし、文句無しの準決勝進出を果たした。

 この後の試合では同門の三崎も勝利し、郷野は肩車で三崎を祝った。「トップチーム系とGRABAKAがベスト4に残った。俺たちが世界最高峰の仲間だと証明できてうれしい」と、GOZMA姿でインタビュースペースに現れた郷野は誇らしげに語った。ただし入場パフォーマンスについては「正直、ネタ切れ。決勝トーナメントは試合も入場も厳しくなる」と悩んでいた。

第9試合 ウェルター級GP準々決勝 1R10分・2R5分
×長南 亮(日本/チームM.A.D/DEEPミドル級(82kg)王者/82.8kg)
○パウロ・フィリオ(ブラジル/ブラジリアン・トップチーム/82.9kg)
1R 2'30" 腕ひしぎ十字固め


 フィリオがタックルで長南を倒すと、あっさりとサイドへ。機会をうかがいマウントを取ると、長南がブリッジしたタイミングで腕十字を極めた。長南は全くいいところ無しの完敗だった。

第8試合 ウェルター級GP準々決勝 1R10分・2R5分
○デニス・カーン(韓国/アメリカン・トップチーム/82.8kg)
×アマール・スロエフ(アルメニア/レッドデビル/82.3kg)
1R 4'04" チョークスリーパーホールド


 カーンがローとミドル、スロエフがパンチ。スタンドの攻防がしばらく続いたが、カーンがスロエフの蹴り足をつかんで右ストレートを当てつつスロエフを倒すと、優位なグラウンドで速攻。サイド、バックと優位なポジションを次々と取り、最後はチョークできっちり一本を取った。

第7試合 無差別級 1R10分・2R5分
○美濃輪育久(日本/フリー/89.0kg)
×バタービーン(アメリカ/チーム・バタービーン/175.0kg)
1R 4'25" 腕ひしぎ十字固め


 “新型”美濃輪は新入場テーマと新しい黒のスパッツで入場。開始早々、ビーンの頭に届くドロップキックで観客を沸かせる。次のドロップキックは失敗し下になるが、すり抜けてサイドを取ると、じっくりと機会を伺い腕十字を極め完勝した。

第6試合 ライト級 1R10分・2R5分
○桜井“マッハ”速人(日本/マッハ道場/修斗ミドル級(76kg)世界6位/72.9kg)
×ルシアノ・アゼベド(ブラジル/ヘノヴァサオン・ファイト・チーム/72.9kg)
1R 6'35" TKO (ドクターストップ:右飛び膝蹴りによる左頬の裂傷)


 アゼベドのしつこいタックルで下になったマッハは、両足をロックして防戦一方。膠着ブレイクでグリーンカードをもらってしまう。5年前の夏のアンデウソン戦の再現かとも思われる怪しい雲行きに。その後マッハはタックルを切り続け、飛び膝でアゼベドの頬を切り裂き、ドクターストップ勝ちをおさめたものの、「不甲斐ない試合をした」と反省のマイクだった。

第5試合 ライト級 1R10分・2R5分
○石田光洋(日本/T-BLOOD/修斗ウェルター級(70kg)環太平洋王者・世界1位/72.9kg)
×クリスチャーノ・マルセロ(ブラジル/シュート・ボクセ・アカデミー/72.7kg)
判定3-0 (都鳥=石田/小林=石田/三宅=石田)


 石田がタックルでたびたび上になるが、マルセロの下からの仕掛けも執拗で、なかなか得意のパウンドをまとめられない。2Rにはパウンドを腕十字で捕まえられ、レフェリーはキャッチサイン。あわやという場面も。とはいえほとんどの時間、上になり続けたのは石田。このことが評価されたようで判定勝ちをおさめたが、試合直後の石田はガックリとうなだれる。五味の王座挑戦候補筆頭と目されていた石田に黄信号が灯った。

第4試合 ライト級 1R10分・2R5分
○川尻達也(日本/T-BLOOD/修斗ウェルター級(70kg)世界王者/72.9kg)
×クリス・ブレナン(アメリカ/ネクストジェネレーション・ファイティングアカデミー/72.7kg)
1R 0'29" KO (左膝蹴り)


 間合いの後、川尻が右フックをヒット。さらにパンチの連打で前に出て首相撲につかまえると左膝蹴り。肋骨あたりにもらったブレナンはダウンし、川尻が上からパンチを連打したところでレフェリーがストップした。秒殺勝利の川尻はマイクで完全復活を宣言した。

第3試合 ライト級 1R10分・2R5分
×帯谷信弘(日本/木口道場チームラスカル/DEEPライト級(70kg)王者/72.9kg)
○ギルバート・メレンデス(アメリカ/ジェイク・シールズ・ファイティングチーム/修斗ウェルター級(70kg)世界5位/72.9kg)
判定0-3 (小林=メレンデス/ヒューム=メレンデス/足立=メレンデス)


 メレンデスの右フックで帯谷はたびたびダウンするが、動きを止めずタックルで立ち上がりスタンドで真っ向勝負を繰り広げる。帯谷もパンチを当てるが、メレンデスの勢いを止めることはできず。2Rにはバックマウントを取られる場面もあり、苦いPRIDEデビュー戦となった。先輩・五味は「いい勉強になったと思う。経験を積めばリベンジできる」とエールを送った。

第2試合 ライト級 1R10分・2R5分
○青木真也(日本/パラエストラ東京/修斗ミドル級(76kg)世界王者/72.7kg)
×ジェイソン・ブラック(アメリカ/ミレティッチ・マーシャルアーツセンター/72.4kg)
1R 1'58" 三角絞め


 PRIDEデビュー戦の青木が素早い極めで持ち味を発揮した。序盤から引き込むと、足を昇らせて三角絞め。腕も極めつつ鉄槌を目に落とす。弘中戦を思い出させるエグい攻めでもブラックはタップしなかったが、青木が三角だけに集中して締め上げるとブラックはタップした。マイクを持つと「修斗第8代世界ミドル級王者の青木真也です。修斗もPRIDEも皆さんの応援がある限り、まだまだ頑張ります」と叫んだ。

第1試合 1R10分・2R5分
○日沖 発(日本/ALIVE/TKOフェザー級(約66kg)王者・修斗ライト級(65kg)世界10位/64.9kg)
×ジェフ・カラン(アメリカ/チーム・カラン/修斗ライト級(65kg)世界9位/64.7kg)
判定3-0 (三宅=日沖/小林=日沖/ヒューム=日沖)


 リーチで勝る日沖が右ローを効かせ、カランをぐらつかせる。カランも右フックで応戦し、踏みつけを捕まえての足関でチャンスを作るが、ダメージ差で日沖に軍配が上がった。


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■ 武士道挑戦試合

第2試合 5分2R
△阿部裕幸(日本/AACC/69.9kg)
△松下直揮(日本/MB3z/69.9kg)
時間切れ


 スタンド主体の展開で、互いにパンチを当てるが、最後まで決め手に欠ける。ヒット数では若干松下が上だったが、時間切れのため、規定によりドローとなった。

第1試合 ライト級 5分2R
×池本誠知(日本/フリー/72.9kg)
○中村大介(日本/U-FILE CAMP.com/71.3kg)
1R 3'12" 腕ひしぎ十字固め


 池本がマウントをシザースで返す等、持ち味を発揮するが、アームロックで引き込んだ直後、中村の腕十字につかまる。これは脱出するが、再び腕十字につかまり、一本負けを喫した。

Last Update : 08/28 12:02

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