(レポ&写真) [PRIDE GP 開幕戦] 5.5 大阪:藤田逆転KO勝ち。高阪引退
ドリームステージエンターテインメント "PRIDE無差別級GP開幕戦" 2006年5月5日(金/祝) 大阪・大阪ドーム
レポート:井原芳徳 写真:矢野誠治 【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】
[GP特別ルール] 両者の体重差が20kg未満の場合、体重の軽い選手がグラウンド状態の頭部への蹴りの有無を選択でき、20kg以上差がある場合、この攻撃が全面的に禁止される。第1試合のスペシャルワンマッチでも同じルールが採用された。この攻撃が無かったのは高阪×ハントとノゲイラ×ズールの2試合。
第8試合 無差別級GP一回戦 1R10分・2-3R5分 ○吉田秀彦(吉田道場/104.0kg) ×西島洋介(高田道場/90.0kg) 1R 2'33" レフェリーストップ (三角絞め)
けん制の左ハイを放つ吉田は、左ローを当てた後、組み付いてあっさりとテイクダウン。ハーフの体勢から道衣を使って西島の左腕の動きを封じ、頭にパンチを当てながらじわじわとマウントの形へ。やや乗り過ぎだったが、そのままロープ際で腕十字を狙い三角絞めを極める。西島は為す術がなくなりレフェリーストップ。吉田に完全に持ち味を封じ込められた。
第7試合 無差別級GP一回戦 1R10分・2-3R5分 ○アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ(ブラジル/ブラジリアン・トップチーム/109.0kg) ×ズール(ブラジル/B-TOUGH/185.0kg) 1R 2'17" タップアウト (腕ひしぎ十字固め)
パンチが交錯した後、ノゲイラがタックルでテイクダウン。ズールの腹を枕のようにした後、クルッと回ってサイドポジションを取る。パンチと肘と膝でプレッシャーをかけた後、2分足らずでマウントに。最後はパウンドでズールの両腕を伸ばさせると、あっさりと腕十字を極めた。
第6試合 無差別級GP一回戦 1R10分・2-3R5分 ○ミルコ・クロコップ(クロアチア/チーム・クロコップ/102.0kg) ×美濃輪育久(フリー/89.0kg) 1R 1'10" KO (グラウンドパンチ)
ミルコが左右のジャブを当てた後、美濃輪のタックルを切ってハーフに。すぐさま立ち上がると美濃輪がニールキックで奇襲を仕掛けるが、クリーンヒットを許さずすぐにスタンドに戻す。そして美濃輪をコーナーに追いつめて左アッパー、左膝、左ボディを連打。美濃輪はタックルで防御するが、ミルコは簡単に切って鉄槌。美濃輪が寝転ぶとハーフからパウンドを連打しあっさりとKO勝ちをおさめた。 圧勝のミルコは息を全く乱さず。マイクを持つと「クロコップ・イズ・バック」と宣言した。
第5試合 無差別級GP一回戦 1R10分・2-3R5分 ○藤田和之(フリー/107.0kg) ×ジェームス・トンプソン(イギリス/チーム・トロジャン/126.0kg) 1R 8'25" KO (右フック)
フリーとなった藤田は、師匠だったアントニオ猪木氏のテーマ曲ではなく、ジミ・ヘンドリックスの「紫のけむり」に入場曲を変更。大画面に映った瞬間、雄叫びをあげ大阪のファンを湧かせる。 試合序盤はトンプソンペース。藤田同様レスリング出身のトンプソンは、藤田のタックルを切り続け、リーチを活かしてプレッシャーをかけながら右ローとストレートを当て続ける。藤田はコーナーを背負いパンチの連打と膝を浴び苦痛の表情。タックルも潰され下になり、万事休すかと思われた。 だがトンプソンの攻めの詰めが甘い。攻めきれないまま立ち上がると、ちょうど体力回復ができた藤田は、すぐさまロープに詰め左右のフックをクリーンヒット。トンプソンはフラフラになり、藤田が一気に形勢逆転。パンチを何発も当て続け、最後は右フックでアゴを撃ち抜き逆転KO勝ちをおさめ、大阪ドームはこの日最大の熱気に包まれた。
第4試合 無差別級GP一回戦 1R10分・2-3R5分 ○ジョシュ・バーネット(アメリカ/AMCパンクレイション/パンクラス無差別級王者/111.0kg) ×エメリヤーエンコ・アレキサンダー(ロシア/レッドデビル/116.0kg) 2R 1'57" タップアウト (アームロック)
1R序盤、アレキサンダーが右フックや左アッパーを当て続け主導権。だが途中で右手親指の付け根を脱臼。おそらくジョシュの頭にパンチが当たった際と思われるが、その後は右のガードを下げ左ジャブでプレッシャーをかける程度。鼻血を出しダメージを負うジョシュにとどめを刺す事ができず、次第に息も荒くなる。 逆にジョシュは111kgまで減量した成果を発揮。2Rには左ボディ、右ローを効かすと、組み付いてサバ折りで倒し、あっさりサイドを奪う。さらに四点ポジションからの膝蹴りでアレキサンダーを痛めつけ、最後はサイドポジションからアームロック。アレキサンダーは防御に粘りが無く、極まった瞬間にすぐさまタップした。 マイクを渡されたジョシュは「アメリカのファンよ、俺は戻ってきた。ヒョードル、オマエハモウ、シンデイル」とアピール。テーマ曲の北斗の拳の主題歌を唄いながら意気揚々をリングを後にした。
第3試合 無差別級GP一回戦 1R10分・2-3R5分 ×高阪 剛(チーム・アライアンス/99.4kg) ○マーク・ハント(ニュージーランド/オシアナ・スーパーファイタージム/130.4kg) 2R 4'15" KO (右フック)
1R、スタンドの攻防でハントが右フックを炸裂。高阪はダウンするが、すぐさまハントの足元に絡み付き下になると、リバースしてそのままバックへ。腕十字で逆転のチャンスを得るも、ハントはうまく脱出し、寝技の進化を伺わせる。 その後はスタンドの打撃戦。ハントが左ジャブを軸に、左右のフックを当て高阪を苦しめる。高阪は鼻血を出し何度もひるみながらも雄叫びを上げながらパンチを返す。だが終盤には力なく倒れ、マウントを取られてしまう。 2Rもハントのペース。高阪は右ハイをもらっても倒れず、タックルで逆に倒してサイドを取るが、ハントは回って脱出してしまう。その後は高阪が何度もタックルを試みるがハントはことごとく切り続ける。グラウンド状態の相手への蹴りが認められないため、ハントは離れてスタンド勝負を望む。高阪は精神力で立っているのがやっとの状態。最後は右フックを浴び、膝をついて動きが止まったところでレフェリーが試合を止めた。
「GPで負ければ即引退」と公言していた高阪は、レフェリーストップに納得がいかない様子で首を振っていたが、実はこの時は記憶が無く、何故止められたかわからない状態だったという。とはいえ「自分はしょっちゅう記憶が飛ぶ」とのことで、特別な出来事では無かったようだ。 しばらくして高阪は立ち上がると、主催者に要請されマイクを受け取り「負けた人間が言うことはないけど一言だけ。長い事ありがとうございました」と言い、リングを降りた。退場時には「お疲れさまでした」という声だけでなく「辞めんなよ」という声も飛び交う。必然性もなく約10日前に決まったハント戦が引退試合になってしまうのは、デビュー当時から彼を見てきた人にとってはやるせない結末だろうが、本人の気持ちは揺るがなかった。「負けた試合で完全燃焼はできないけど、自分は試合より勝負がしたくて、勝負はきっちりできた」「試合は今回で終わりですけど、自分は一生格闘家」と共同インタビューで話していた。
第2試合 無差別級GP一回戦 1R10分・2-3R5分 ×アリスター・オーフレイム(オランダ/ゴールデン・グローリー/103.2kg) ○ファブリシオ・ヴェウドゥム(ブラジル/チーム・クロコップ/108.0kg) 2R 3'43" タップアウト (アームロック)
1R、アリスターが打撃のプレッシャーをかけ、コーナーに詰めてテイクダウンを奪い、アリ猪木状態となりスタンドに戻るという展開の繰り返し。 だが2Rはヴェウドゥムが積極的にストレートで前に出るようになり、ようやくテイクダウンに成功。上四方からのチョークのチャンスはアリスターがロープの外に出てしまいブレイクがかかってしまう。ところが直後にアリスターが上になると、柔術世界王者の本領をようやく発揮。クロスガードのままアームロックを仕掛け、見事タップを奪った。
第1試合 スペシャルワンマッチ 1R10分・2-3R5分 ×ギルバート・アイブル(オランダ/ボスジム/104.0kg) ○ローマン・ゼンツォフ(ロシア/レッドデビル/101.0kg) 1R 4'55" KO (左フック)
アイブルが開始早々パンチで突進すると、センツォフは回りながら脇を抱えてテイクダウン。マウントからアームロックと腕十字を仕掛けるも失敗し下になるが、すぐさまリバースしてまたマウントに。再びアームロックを脱出されたが、アイブルがパンチで突進してきたのをかわすと、下がりながら左フックをクリーンヒットさせ、見事KO勝ちをおさめた。 ゼンツォフの一瞬一瞬の動きの切れ味は抜群。GP出場は逃したが、相応どころかそれ以上の実力を十分に示した。ヒョードルが間に合わなければ、代役は同門の彼か?
Last Update : 05/06 11:10
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