(レポ&写真) [TITANS] 4.28 代々木:武田黒星。石井&菊地、交流戦完勝
TITANS事務局 "TITANS(タイタンズ)3rd" 2006年4月28日(金) 東京・代々木競技場第2体育館 認定・新日本キックボクシング協会
レポート&写真:井原芳徳 【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】
第10試合 肘無し 70kg契約 3分3R ×武田幸三(治政館) ○ジョームタップ・クランセーンマハーサラーカム(タイ/ラジャダムナンSライト級1位・前王者) 判定0-3 (少28-29/山中28-29/富沢28-29) ※2R右フックで武田に1ダウン
1Rは両者ともローを打ち合う程度の比較的静かな攻防。2Rになるとローを打ちつつも、距離が縮まりパンチが何度も交錯するように。すると中盤、ジョームタップが右フックとテンカオでラッシュを仕掛けると、後退した武田のアゴに右のロングフックをヒット。左のフックを振っていた武田はその勢いも重なり前のめりでダウンしてしまう。 ダメージはさほど大きくない武田は、ジョームタップのラッシュをブロックすると、右ストレートをきっかけにパンチとローを当て反撃。結局最後までペースを維持したものの、ダウンを奪い返すことはできず復帰戦を白星で飾ることができなかった。
なお、新日本キックは今大会より団体外部に審判を委託するようになった。1月の後楽園大会の内田ノボル vs. リュウ、4月9日の市原大会の蘇我英樹 vs. 深津飛成の両タイトルマッチでの混乱を受けての措置。J-NETWORKが去年から審判団を委託しているJKBレフェリー協会からも、少白竜氏、山中敦雄氏が派遣された。
◆武田「ダウンをもらったパンチは見えてた。前だったら見えてなくて、あのまま起きられなかったと思う。負けは負けだけど、目のアレ(眼筋麻痺で12月に手術した左目の状態)は合格点。ジョームタップは強かった。ローは今まででやった選手で一番重かった。もうちょっと行けばよかった。悔しい。 K-1にも上がりたいけど、TITANSをもっと盛り上げたい。K-1はヘビーと70kgしかないけど、TITANSは他の階級の試合もある。(新日本の後輩の石井宏樹と菊地剛介が交流戦で勝利したことについて)うれしかった。見てる人が喜ぶのはハートに届く試合。今日お客さんが盛り上がったのもあの2試合だった」
第9試合 63kg契約 3分5R ○石井宏樹(藤本ジム/新日本キック・日本ライト級王者) ×西山誠人(アクティブJ/WFCA世界&J-NETWORKライト級王者) 4R 終了時 TKO (ドクターストップ:左まぶたのカット)
1Rから両者ともスピードのあるストレート、フック、ミドル、ロー等を手数多く出し、国内ライト級トップクラスの試合らしい白熱した攻防を繰り広げる。だが一瞬の動きの的確さ等で数割上回るのが石井。西山がちょっと前に出ようとすると左ジャブを的確に当て、なかなか入り込ませない。 3Rには接近戦で両者とも肘とフックを当てるスリリングな攻防に。蹴りも駆使し、石井は左ミドル、西山は右ハイを当てる。ラウンド終了時にはバッティングとなり、コーナーに戻る西山の背中を石井が睨みつける一幕も。クールなイメージの石井にしては珍しい光景だったが、この熱さがその後の攻めにうまく作用したように思える。
4R、石井は左主体のパンチの連打と肘で一気に攻勢。西山は後退する場面が増え、左目尻をカット。ポイントを許すことに。4R終了後、ドクターチェックが入ると、傷が目の上の筋肉にまで達していることがわかりドクターストップ。石井が団体の威信を賭けた大一番を制した。
◆石井「プレッシャーが大きかったけど、そのプレッシャーも楽しめた。菊地が(TURBΦに)勝って、気合いが入った。僕も続かなきゃ、って。(今後は?)もう一度タイのラジャダムナンのベルトに挑戦したい。」
◆西山「楽しかったけど肘をもらったのが悔しい。石井選手はスピードというよりテクニックがあって当てさせてくれなかった。白鳥(SHINOBU)戦の時の方が力の差を感じたけど、今日は行けそうな場面で行くことができなかった。いくら技術があっても試合で使えるとは限らない。もっと気持ちを鍛えないといけないのかな…」
第8試合 新日本キック・日本ヘビー級タイトルマッチ 3分5R △内田ノボル(ビクトリー/王者) △リュウ(韓国/市原/1位) 判定1-0 (少29-29/石川50-49/富沢49-49) ※内田が2度目の防衛 ※4R首投げの反則でリュウに減点1
3度目の対決で手の内をお互い知り尽くしているせいか、単発の攻防が続く。4Rには内田がさば折りでリュウを倒すと、怒ったリュウも首投げを繰り返すようになり減点1。結局この減点が響きリュウはまたも王座を逃した。
第7試合 肘無し ヘビー級 3分3R △ガオグライ・ゲーンノラシン(タイ/伊原道場/K-1アジアGP 2004優勝) △天田ヒロミ(コシ・トラスト/K-1ジャパンGP 2004優勝) 判定0-0 (山中30-30/富沢30-30/少30-30)
天田の所属名のコシ・トラストとは、東京に本社のある不動産会社。天田は一時は練習をやめ、この会社で普通の社員になっていたが、会社のバックアップを得て、練習を再開するようになり、今回の復帰戦に臨んだ。 試合はいつものガオグライ戦同じく、ガオグライがリングを回って相手のパンチをかわし続ける展開。だがこの日は天田がガオグライのハイを見切り、何度もパンチの連打でコーナーに追いつめる。クリーンヒットこそ無くドローに終わったものの、天田はローもうまく使っており、今後の再起に期待が持てる試合内容だった。
第6試合 73kg契約 3分3R ○松本哉朗(藤本ジム/新日本キック・日本ミドル級王者) ×ファブリジオ・ベルガミーニ(イタリア/チームMサンディエゴUSA/イタリア・ミドル級王者) 判定3-0 (山中30-28/椎名29-28/宮沢30-29)
1R、ベルガミーニが回転の早い攻撃で手数で勝るが、攻撃が的確なのは松本の方。1Rから当てていたローが2R中盤から如実に効き始め、ベルガミーニは嫌がるように。3Rには松本はパンチと肘も絡めたラッシュでベルガミーニを圧倒。変わらぬ実力者ぶりを証明した。
第5試合 58kg契約 3分5R ○菊地剛介(伊原道場/新日本キック・日本フェザー級1位・前王者) ×TURBΦ(FUTURE_TRIBE ver. OJ/元NKBフェザー級王者) 判定3-0 (富沢50-47/石川50-46/椎名50-48) ※5R左フックでTURBΦに1ダウン
ローの打ち合いから始まったが、鋭さと的確さでは菊地が上。TURBΦもパンチを返すものの、菊地はうまく下がって距離を取り当てさせない。4RにはTURBΦがガードを下げて挑発するようになるが、菊地は応じず黙々とローを効かせ、手数でも勝る。 地道なローが功を奏したのは最終ラウンド。後が無いTURBΦはより積極性を増し、右ストレートを当てることに成功。一発逆転のチャンスかとも思われたが、直後の左フックの相打ちでダウンしたのはTURBΦの方だった。フック自体のダメージはさほど大きくなかったが、ローのダメージの蓄積で足のふんばりが弱っていたせいで倒れやすかったのだろう。TURBΦは立ち上がるも、菊地の執拗な左ローを時間一杯まで耐えるのがやっとといった状態だった。 フェザー級キックボクシング国内トップクラス同士の戦いは、5R制の醍醐味が存分に活きる展開に。最近主流の3R+延長Rというシステムなら、必ずしもこういう結果になったとはいえないだろう。過去に各団体の王者クラスと豊富な試合経験のあるTURBΦに勝ったことで、菊地の強さが改めてはっきりとした。今回はホームリングのTITANSだったが、今後はアウェーでの戦いも見てみたい気がする。
第4試合 70kg契約 3分3R ×ジョン・ウェイン・パー(オーストラリア/WKBA世界スーパーウェルター級王者) ○オームシン・シットクヴォンイム(タイ/伊原道場/タイ国プロムエタイ協会ウェルター級王者) 判定0-2 (石川28-30/少30-30/宮沢29-30)
第1回TITANSの再戦。前回はウェインが大差で判定勝ちしている。第4試合に置いておくにはもったいない好カードは、一見の観客もうならすハイレベルなファイトに。 オームシンが1R終盤、クロスの右フックをうまく当てウェインをぐらつかせる。2Rには右ハイ、右肘も的確に当て攻勢。ウェインも肘で応戦するが何度も空を切る。3Rにはようやくウェインも右フックを当てる等巻き返すが、オームシンは最終ラウンドをムエタイの選手らしくうまく逃げ切り勝利。宿敵へのリベンジに成功した。
第3試合 肘無し 70kg契約 3分3R ○後藤龍治(伊原道場/IMFスーパーウェルター級王者) ×ルイス・バイオ(メキシコ/チームMサンディエゴUSA/ITBOメキシコ・ミドル級王者) 判定3-0 (富沢30-28/少30-28/山中30-28) ※3Rパンチ連打でバイオに1ダウン
上下にスピードのある攻撃を出して来るバイオに対し、後藤は冷静にフックとローを当てると次第にペースを握るように。3Rにはコーナーに詰めてのパンチ連打でスタンディングダウンを奪い、文句無しの判定勝利をおさめた。
第2試合 肘無し 70kg契約 3分3R ×新田明臣(バンゲリングベイ) ○アリ・グンヤー(トルコ/アルフィットジム/WFCA世界ミドル級王者) 判定0-2 (富沢29-30/石川29-29/山中28-30)
グンヤーがいきなり回転蹴りを放ったのをきっかけに、左ボディ、右ロー等で手数多く攻め先制。スロースターターの新田は3Rにようやくローとハイを当て反撃したが、ポイントを十分取り返せなかった。
第1試合 肘無し ヘビー級 3分3R ×エリック・バーンズ(アメリカ/伊原道場) ○ギョクハン・ギュルジュ(トルコ/ヘクター・プロモーション/トルコ・ヘビー級王者) 1R 1'45" KO (3ダウン:パンチ連打)
急遽出場したバーンズはガードが甘く、ギョルジュの開始早々の左ストレートであっさりとダウン。以降はサンドバッグ状態で攻め込まれ完敗した。
オープニングファイト第2試合 ウェルター級 3分2R ×金狼正巳(尚武会/新日本キック・日本ウェルター級9位) ○白虎(レンジャー品川ジム/元NKBウェルター級王者) 判定0-3 (富沢18-19/石川18-19/少18-20) ※2Rパンチ連打で金狼に1ダウン
パンチ主体の攻防。2R序盤は金狼(きんの)が優勢だったが、中盤から白虎が反撃。パンチの連打でスタンディングダウンを奪い勝利した。金狼はもっとローを打てば白虎の足を止められたはずだ。パンチ勝負なら白虎が一枚上手だった。
オープニングファイト第1試合 ヘビー級 3分2R ×マイク山森(アメリカ/伊原道場) ○柴田春樹(ビクトリー) 判定0-2 (少19-20/山中19-20/富沢20-20)
Last Update : 05/01 11:19
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