(レポ&写真) [K-1 WGP] 6.14 パリ:バンナ復帰戦。地域予選は白熱の内容に
K-1 "K-1 WORLD GP 2003 in Paris ヨーロッパ・ロシア地域予選大会" 2003年6月14日(土) フランス・パリ:パレ・オムニスポール・ドュ・パリ・ベルシー 観衆・11,200人(超満員)
レポート:井原芳徳 写真:岸まき子 (第6〜8試合の写真はございません。ご了承下さい) 【→大会前のカード紹介記事】 [→掲示板・K-1ヘビー級戦線スレッド] 【特別ルール】 昨年パリ大会同様、フランス・スポーツ省の意向で、膝蹴り、蹴り足をつかんでの攻撃などが反則となる。
第9試合 スーパーファイト 3分5R ○ジェロム・レ・バンナ(フランス/ボーアボエル&トサジム) ×ヴィタリ・オフラメンコ(べラルーシ/チヌックジム) 2R 0'42" KO (右ストレート)
左腕骨折の回復具合の心配されたバンナだが、コンビネーションから左のパンチを難無く当ててみせる。1Rは軽い打ち合いが続いたが、2Rゴングと同時にバンナは突進。パンチの連打でオフラメンコをコーナーに追い詰め、開始10秒、左ローと左ボディブローの連続攻撃でダウンを奪う。さらにボディの連打でオフラメンコを棒立ちにし、最後は右のストレート。オフラメンコはなんとか10カウントぎりぎりで立ち上がるが、ファイティングポーズを取らないと見た島田レフェリーは両手を振り試合終了を宣告した。 地元ファンの喝采を受けたバンナは、コーナーによじ登り自らの復活を喜ぶ。しかしあっけない決着のせいもあり、しばらくすると一部の観客からブーイングが飛ぶ。完全復活と言い切るには、まだ早い試合内容だった。
そしてメインイベントのイグナショフ vs. アビディの決勝戦終了後、リングに出場選手が全員集合した際にアクシデントが発生する。バンナはリングに入ると、優勝したイグナショフに時おり耳打ちをし、パンチのジェスチャーも交えながら何か会話をする。そしてバンナがイグナショフから離れると、アビディが歩みより、指を向けながら何かを喋る。するとアビディはバンナに突進し、パンチとキックを繰り出す。幸いバンナが背後によけたため命中せず、周囲の人間が二人を取り押さえたため大きな騒ぎとはならなかったが、冷静なバンナに対し、アビディはしばらく熱がおさまらない様子だった。 二人は同じフランス人だが、以前から雑誌のインタビュー上で互いを批判するなど、険悪な状態が続いていた。互いをライバルとして意識し、アスリートとして成長するのは大いに結構だ。しかし試合以外に因縁を持ち込むのはいただけない。かといってこの出来事を2人のリング上の対決にすぐ結びつけるのも安易な発想だろう。スポーツとしてのK-1の価値観が守られ、自然な形で二人がリング上で相まみえることを願いたい。
第6試合 スーパーファイト 3分5R ○アーネスト・ホースト(オランダ/ボスジム) ×マーティン・ホルム(スウェーデン/ヴァレンテュナ・ボクシング・キャンプ) 判定3-0
1Rこそホルムの左ハイで右目尻を切られてしまったホーストだが、2Rから前に出てホルムのハイを封じ、着実にパンチとローを当てるようになる。右ローをもらい続けたホルムは左ハイを出せなくなり防戦一方。決定打がなかったものの、ホーストが巧さと手数で上回り貫禄勝ちをおさめた。だが後半静かな展開が続いたため、勝ち名乗りを受けるホーストに客席からブーイングが飛んだ。
■ K-1ワールドグランプリ ヨーロッパ・ロシア地域予選トーナメント
第10試合 トーナメント決勝戦 3分3R ○アレクセイ・イグナショフ(ベラルーシ/チヌックジム) ×シリル・アビディ(フランス/チャレンジ・ボクシング・マルセイユ) 3R 0'20" TKO (タオル投入:左肩の亜脱臼と左足のダメージによる) ※イグナショフがトーナメント制覇。GP開幕戦(10.11大阪ドーム)出場権獲得
ここまで両者2試合戦い、ダメージとスタミナロスはかなりあったようで、アビディは時おり左肩を気にし、イグナショフは息苦しそうな様子。だが互いに一歩も引かずパンチとキックで攻め、さすが決勝進出者同士と思わせる好ファイトを繰り広げる。 消耗戦となったが、2R後半からイグナショフが底力を発揮。右ローをアビディの左足に集中し、次第にペースをつかむ。そして3R開始10秒、イグナショフの右ローでアビディが背中を向けたところでアビディのセコンドがタオルを投入。あっけない幕切れにブーイングが飛んだが、トーナメントの激しさを考えればこのタオル投入はやむを得ないだろう。 ともあれ、アビディはケンカファイターからアスリートへ、イグナショフはムエタイスタイルからK-1スタイルへ、揃って脱皮が見られたことは特筆に値する。東京ドームのファイナルで再び相まみえる日が来るのも、そう遠くはないかもしれない。
第8試合 トーナメント準決勝 第2試合 3分3R ○シリル・アビディ(フランス/チャレンジ・ボクシング・マルセイユ) ×ハリッド・“デイ・ファウスト”(ドイツ/ゴールデングローリー) 2R 1'32" KO (2ノックダウン:パンチ連打)
小柄なハリッドが潜り込んでのパンチの連打で先制するが、アビディは落ち着いて形勢を取り戻す。2R開始10秒、右ハイがハリッドのこめかみにクリーンヒットしアビディがダウン先取。この後パンチで仕留めにかかってしまい、打ち合いでハリッドの左ストレートをもらい、一進一退の攻防にもつれ込む。しかし最後は右ミドルを効かせてからの左右のパンチ連打でハリッドから2度目のダウンを奪うことに成功。アビディが激戦を制した。
第7試合 トーナメント準決勝 第1試合 3分3R ○アレクセイ・イグナショフ(ベラルーシ/チヌックジム) ×アレクサンダー・ウスティノフ(ロシア/シブタイ/ロシア予選優勝) 判定2-1
イグナショフが距離を取りながら左右のストレートとハイキックを放ち、ウスティノフの突進ファイトを封じる。ウスティノフは1回戦で切った左眉尻から再び出血。決定打こそもらわなかったものの、勝ちに徹したイグナショフを前にいい所を出せなかった。
第5試合 トーナメント1回戦 第4試合 3分3R ×ペレ・リード(イギリス/セント・トーマスジム) ○ハリッド・“ディ・ファウスト”(ドイツ/ゴールデングローリー) 判定0-3
3月さいたま大会のセフォー戦でK-1デビューを果たした元ボクサーのリード。時おり回し蹴りやカカト落としを見せるものの、ジャブが空を切るばかりで積極性に欠いたファイトに映り、観客からブーイングをもらう。対するハリッドは決定打に欠くものの、左右のパンチの連打で前に出て、手数で上回り勝利。
第4試合 トーナメント1回戦 第3試合 3分3R ○シリル・アビディ(フランス/チャレンジ・ボクシング・マルセイユ) ×アジス・カトゥー(ベルギー/センタージム) 判定3-0
カトゥーは「Boom Boom(ブーンブーン)」のニックネームどおり、素早く強烈な左右のパンチをブンブン振り回し、アビディを苦しめる。だがアビディは以前のようにカッとせず、ボクサースタイルのカトゥーに対し冷静に右ローを効かせ続ける。3Rこそカトゥーの後ろ回し蹴りをもらい、危ない場面があったものの、終盤はアビディの着実なローでカトゥーが後ずさり。アビディがアスリートとしての成長ぶりを発揮し、準決勝に駒を進めた。
第3試合 トーナメント1回戦 第2試合 3分3R ×グレゴリー・トニー(フランス/イヴリー・キックボクシングジム/フランス予選優勝) ○アレクサンダー・ウスティノフ(ロシア/シブタイ/ロシア予選優勝) 2R 2'40" KO (2ノックダウン:右ロー)
ロシア予選からわずか半月でのトーナメント出場のウスティノフだったが、強行スケジュールの影響を感じさせないパワフルなファイトを披露。198cm、120kgの体格から繰り出される強烈な左右のストレートで、序盤からトニーを苦しめる。1R後半にはパンチの打ち合いで左眉尻を細く切られるが、構わず突進し、2Rには右ローの連打でトニーからダウンを奪う。トニーの右ハイからのパンチの連打がクリーンヒットするが、ウスティノフは一瞬ひるんだだけですぐ反撃。右ローを着実に効かせ、最後も強烈な右ローを命中させ、トニーをマットに沈めた。
第2試合 トーナメント1回戦 第1試合 3分3R ○アレクセイ・イグナショフ(ベラルーシ/チヌックジム) ×パヴェル・マイヤー(チェコ/ハヌマンジムプラハ/イタリア予選優勝) 3R 2'20" KO (左ハイキック)
イグナショフは当初の組合せではトニーと当たる予定だったが、直前にマイヤーに変わった。イグナショフは去年のパリ大会のブレギー戦で既にパリ特別ルールを経験し、右ハイキックでKO勝ちしているが、今回は一層パンチスタイルにシフトしたファイトを繰り広げる。1Rにダウンを奪った左フックは、マイヤーの目に入るような当り方だったが、スピードと伸びは抜群。まだこのスタイルでの距離感に慣れないせいか、2R序盤こそマイヤーの右ハイにぐらついてしまったものの、その後鋭いパンチで反撃。3Rは蹴りを多用し始め、前蹴りでマイヤーを2度突き放した後、渾身の左ハイをマイヤーの側頭部にクリーンヒット。マイヤーは立ち上がる事ができず、イグナショフが準決勝に駒を進めた。
第1試合 リザーブファイト 3分3R ×ラニ・ベルバーチ(フランス/ボーアボエル&トサジム) ○マーク・デ・ウィット(ベルギー/チーム・ブシドー) 判定0-3
豪快にパンチを振り回すベルバーチの周りを、ウィットが回りながら着実にローを効かし続け、文句無しの判定勝ち。
Last Update : 06/18
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