(レポ&写真) [DEEP] 5.5 後楽園:ドスJr、技術の進化見せるも反則負け
DEEP事務局 "DEEP 9th IMPACT in KORAKUEN HALL" 2003年5月5日(月・祝) 東京・後楽園ホール
レポート:井原芳徳 写真:井田英登 [→掲示板・DEEPスレッド] 【→大会前のカード紹介記事】(選手前日コメント集もあり)
<ルチャ・リブレVT最強軍団vs日本人選手選抜 5対5対抗戦>
第9試合 契約体重なし 5分3R ×ドス・カラスJr(メキシコ/AAA) ○伊藤博之(フリー) 1R 3'21" 反則
ドスJrが開始早々からパンチで突進しタックルでテイクダウンに成功。腰を上げてパンチを落とし、さらにはパスガード、バックマウントからのパンチと、総合格闘技のセオリー通りの動きを見せ、マルコ・ファスの元での修行の成果を存分に発揮する。そして立ち上がったドスJrは、猪木アリ状態でから伊藤の顔めがけてジャンピングフットスタンプ。さらに伊藤の顔面を何度も踏み付ける。だがこの時ドスJrは塩崎レフェリーの再三の注意にも関わらずロープをつかみ続けていた。一旦ブレイクがかかるが、伊藤はダメージが大きく試合続行不可能となってしまう。そして審判団と佐伯繁・DEEP事務局代表の協議の結果、ドスJrの失格、伊藤の反則勝ちという裁定が取られた。 意識を取り戻した伊藤がマイクを持ち「絶対もう1回やります」とアピールすると、佐伯代表も「必ず再戦させます」と宣言。バックステージで代表はグッタリした様子で「ルールを見直さないと危険ですね。再戦するとすれば9月かな? ホント必ず何か起きますね。まあ、これがDEEPですわ」と語りながら苦笑いを浮かべていた。ドスJrはノーコメントのまま会場を後にしたが、翌日代表がギャラを渡したら機嫌を取り戻したとのこと。
◆伊藤「1Rは耐えて2Rに勝負するつもりでした。レスリングが強い相手なので、わざと下になりました。組んだ時点で相手の力量がわかりました。ジムでは高阪さんとかもっと強い人たちとやってるんで、問題なかったです。あのまま行っていれば自分が勝ってたと思います。(踏み付けについて)足関を取ろうとしたけど、その後は…。(代表は『9月再戦』と言っているが?)明日にでもやってやりますよ。次やる時は2度と総合をやりたくないと思わせてやります」
第8試合 契約体重なし 5分2R ×ブラソ・デ・プラタ(メキシコ/CMLL) ○矢野卓見(烏合会) 2R 0'24" ヒールホールド
“ポルキー”ことプラタは本場メキシコのルチャの試合の時と同じ、セクシーダンスで入場。試合は巨漢のプラタのスタミナを奪う作戦か?矢野はプラタの周りを走り回り、鬼ごっこのような展開が続く。だが矢野はスープレックスやコーナーへのボディプレスでプラタにつかまるうちに、鼻から出血。苦しい展開となるが、思惑どおりプラタの動きが緩慢になる。それでもプラタのプレッシャーは強烈で、矢野は苦しみながらも1Rを逃げ切る。そして2R、パンチで突進して上におおいかぶさったプラタの足元に潜り込み、ヒールホールドを極め辛勝した。
第7試合 契約体重なし 5分2R △ベンガドール・ボリクア(メキシコ/CMLL) △ジャイアント落合(怪獣王国) 判定0-0 ※2Rボリクアに金的によるイエローカード1
ボリクアはグレコローマンレスリングで2度オリンピックに出場し、4度の世界王者に輝いた強豪。落合をコーナーに押し込んでは攻め手を封じ、スタンドでの組技の巧さを発揮する。だがその先の攻撃がなく、試合は同じ展開の繰り返し。落合も2R最初の飛び膝以外ほどんど見せ場がなかった。
第6試合 92kg契約 5分2R ×エレクトロ・ショック(メキシコ/AAA) ○佐藤光留(パンクラスism) 2R 0'57" ヒールホールド
開始早々、美濃輪ばりの豪快な投げでエレクトロを倒した佐藤は、すぐに予告通りの足関節技に移行。逃げる技術のないエレクトロは度々極められるも耐え、シューズを履いた足で佐藤の顔を蹴り続ける。2周り大きい体ということもあり、蹴りの威力は絶大。それでも佐藤は足を放さず、試合は根性勝負に突入していく。結局1Rは耐え続けたエレクトロだったが、2Rに同じような展開となり、最後はヒールホールドでギブアップ。靭帯損傷のおそれのあるエレクトロは大会終了後、担架で病院に運ばれた。佐伯代表の話によると「これじゃルチャの試合ができない」と泣いていたといい、佐藤の思惑通りの展開に終った。だが佐藤もインタビュー中「今も頭がガンガンいっている」と話しており、ダメージは大きかった様子。互いに選手生命をすり減らす結末となったが、そこまでして戦い続けたことがせめて今後の2人にとって実りとなることを祈りたい。
第5試合 契約体重なし 5分2R ×カト・クン・リーJr(メキシコ/フリー) ○大久保一樹(U-FILE CAMP.com) 1R 3'28" 腕ひしぎ十字固め
意外に回転の早いカトJr.のパンチをもらい押され気味の大久保だったが、客席の師匠・田村潔司の声が聞こえてから冷静になれたといい、ラウンド中盤に脇を差してテイクダウンに成功。寝技のほとんどできないカトJr.からあっさりマウントポジションを奪い、最後は01年8月2nd IMPACTの父との試合と同じ腕十字で一本。「ルチャハンターとして返討ちにします」という予告通りの勝利だった。
第4試合 83kg契約 5分3R ○石川英司(パンクラスGRABAKA) ×桜井隆多(R GYM) 2R 4'22" TKO (レフェリーストップ:マウントパンチ)
パンクラス対修斗の対抗戦とも位置付けられたこの試合は、両者の意地と根性がぶつかり合い、佐伯代表が「DEEP史上で一番壮絶な試合」と評するほどの好勝負となった。 先に桜井がテイクダウンを奪うが、石川は下から蹴り上げ脱出。今度は逆にタックルで豪快に倒し上になる。パンチで攻め続け、ラウンド終盤にはマウントを奪取。終了間際には桜井がリバーサルに成功する。 1Rは一進一退となったが、2Rは石川優位の展開に。足をかけてテイクダウンを奪うと、上からのパンチ、立ち上がっての顔面蹴りで桜井を痛めつける。桜井も下から三角を狙い、蹴り上げで石川の顔面を大きく腫らす。石川は苦しみながらも一瞬の隙を突きパスガードに成功。最後はマウントパンチを連打しレフェリーストップ勝ちをおさめた。 石川は戦前に桜井が「GRABAKAは凄いけど石川はたいしたことない」と語っていたことに腹を立てていたといい、「僕もGRABAKAの一員です!」とマイクアピール。バックステージでも「ホントにいい先輩を持てて良かった。GRABAKAじゃなきゃここまで強くなれなかった。GRABAKAというチームを愛している」と熱く語り続けていた。
第3試合 90kg契約 5分2R ○藤沼弘秀(荒武者総合格闘術) ×真霜拳號(KAIENTAI-DOJO) 1R 2'09" TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
映画「仁義なき戦い」のテーマに乗り、着流し姿で入場の藤沼。脱ぐと体の大量の入れ墨で威圧感をアピールする。試合も威圧感たっぷりで、パンチで前進して真霜をコーナーにつめ、あっさりとタックルでテイクダウンに成功。ハーフガードからパンチを連打し続け、レフェリーストップ勝ちをおさめた。考えてみればプロデビューのきっかけとなった昨年12月7th IMPACTのフューチャーキングトーナメントも全て同じような試合展開。底知れぬ強さとキャラクターで、今後いっそう注目を浴びそうだ。
第2試合 69kg契約 5分2R ○深見智之(CMA京都成蹊館) ×カツオ(RODEO STYLE) 1R 3'25" 腕ひしぎ十字固め
藤沼同様昨年12月7th IMPACTのフューチャーキングトーナメントを制した深見が、開始早々テイクダウンに成功。カツオの下からの腕十字を簡単に外すと、パスガード、マウントと華麗な動きを見せ、最後はパンチを効かせてからの腕十字で見事一本。「緊張していた」というが、上々の試合内容だった。
第1試合 契約体重なし 5分2R ×クラフターM(フリー) ○越後 隆(U-FILE CAMP.com) 2R 0'13" TKO (レフェリーストップ:右ストレート)
クラフターMはマスクの下の素顔も黒くペイントしており正体は謎。だがテイクダウンしてからのパスガードの動きはブラジリアン柔術を相当練習していることを伺わせ、1Rはマウントからの腕十字、バックからのスリーパー、下からの三角と一方的に攻め立てる。 だが2R開始早々、越後のカウンターパンチがクリーンヒット。コーナーに倒れ込んだクラフターMはさらにパンチの連打を浴び、逆転レフェリーストップ負けとなってしまった。クラフターMはマスクを脱いで正体を明かすわけでもなく、とぼとぼと退場。「いったい何だったんだ?」というムードで後楽園ホールが包まれた。
<フューチャーファイト>
第3試合 65kg契約 5分2R ○小見川和隆(マッハ修斗道場) ×菅野敦司(G-イタクラ) 1R 1'30" 腕ひしぎ十字固め
第2試合 契約体重なし 5分2R ○大塚裕一(T.A.M.A.) ×木村悦也(D-CLUB) 2R 4'33" 腕ひしぎ十字固め
第1試合 契約体重なし 5分2R △TOSHI ENDO(フィットネスIWAKI) △色増幸作(チームヨーコ) 時間切れ
Last Update : 05/11
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