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(レポ&写真) [パンクラス] 11.30 横文:鈴木みのる、ライガーに圧勝

パンクラス "Sammy Presents PANCRASE 2002 SPIRIT TOUR"
2002年11月30日(土) 神奈川・横浜文化体育館  観衆:5,900人(超満員札止め) 

 レポート&写真:井原芳徳  【→大会前のカード紹介記事】 [→掲示板・パンクラススレッド]

メインイベント 無差別級 5分3R
○鈴木みのる(パンクラスism)
×獣神サンダー・ライガー(新日本プロレス)
1R 1'48" チョークスリーパー

 ライガーの入場テーマ曲が鳴り響くと、超満員の横文は大歓声に包まれる。ライガーはプロレス用の派手なマントではなく、Tシャツ1枚を着ただけで入場。セコンドには元リングスの成瀬昌由もつく。
 大方の予想どおりではあったが、総合格闘技のキャリア差が明確に出る試合内容に。低い姿勢で鈴木の出方を伺うライガーは、開始30秒過ぎ、プロレスでも多様する浴びせ蹴りで奇襲するも自爆。鈴木は冷静にかわしライガーにおおいかぶさると、あっさりとマウントポジションを取りパンチを連打。試合後鈴木は「ライガーさんは殴られながらニコニコ笑ってた」といい、鈴木も殴りながら笑顔を見せ「今日は本当に楽しくなっちゃった。本気で殴り合えて最高」な気分だったという。さらに鈴木はバックマウント、腕十字と攻める。ライガーも凌いだものの、最後は背後からのチョークでタップを奪い完勝した。

 勝った鈴木を、パンクラスの若手が肩車で抱え上げ喜びを分かち合う。しばらくしてライガーも立ち上がり、両者はゲンコツと抱擁で健闘を讃え合った。マイクを持った鈴木が「ライガーさん、(大会前の会見でも話していた『刀』が)ちょっとだけ錆びついてましたね。でも、あんた最高だよ!」と話すと、ライガーも「もう1回やろう。でもすぐにというわけにはいかん。2年くらい余裕をくれ。次はブチのめす」と返答。ライガーは既にパンクラスへの継続参戦を希望しており、総合の経験を積んでからの再戦に期待したい。
 さらに鈴木は、リングサイドでこの試合を見守っていた新日本プロレス時代の同期・佐々木健介を「いいかげんやるのかやらねえのか、はっきりしろよ」と挑発。リングインした佐々木は「燃えてきた。次は俺の番。あのときの青春を俺とお前で取り戻そう」と返答し、鈴木と握手。鈴木は尾崎允実・パンクラス社長に、来年9月のパンクラス10周年記念興行での対戦を直訴した。

 大会後、尾崎社長は新日本プロレスとの交流促進と、信頼関係の維持を表明した。今後パンクラスの選手が新日本マットに逆上陸する可能性が高い。鈴木 vs. 佐々木については、佐々木が同日付けで新日本を退団したため、「ここで結論を出すことはできません」と静観する構えを示した。

◆鈴木「やっている最中は夢みたいでした。やっぱり本当に獣神サンダー・ライガーですよ。あと、僕の知っている尊敬する先輩の山田(恵一)さんですよ。すごく気分のいい、最高のプロレスをした気がします。
 セミの美濃輪 vs. 佐々木とか、その前の菊田の試合とか、それもパンクラスならば、僕がやったのもパンクラス。もっと極端に言うと、僕の生き方そのものが“パンクラスism”だと思っています。まだまだ現役で頑張ります。今日の試合で『まだまだ行けるなぁ』ってちょっと自信持っちゃいましたね。12月、ディファで國奥がタイトルマッチをやるのでそっちも応援してください!」


セミファイナル ライトヘビー級 5分3R
×佐々木有生(パンクラスGRABAKA/3位)
○美濃輪育久(パンクラスism/6位)
判定0-2 (29-30,29-30,30-30)

 美濃輪は9月のDEEPの田村潔司戦と同じ入場テーマとコスチュームで入場。好勝負の期待が膨らんだが、試合は意外なほど静かな展開に。
 1R、美濃輪がタックルで佐々木を倒すが、佐々木は素早くバックに周りスリーパーを狙う。美濃輪は体を回転させてガードポジションに戻しピンチを脱する。
 美濃輪はスタンドでも佐々木の得意のミドルを抱えてテイクダウンを奪い、上になっても佐々木の三角狙いを防ぐなど、基礎技術の高さを見せつける。だが、持ち前の“無謀”ファイトは不発。ファンからの「馬鹿力だ!」といった声援に答えられる場面はほとんどなく、美濃輪らしさが感じられたのは最後の浴びせ蹴りぐらいだった。
 結局、テイクダウンし上になる場面の多かった美濃輪が僅差の判定勝ち。その先の攻め手には欠き、梅木レフェリーはドロー裁定、佐々木も判定に不満顔だった。
 試合後、美濃輪は「今年は勝ちがなかったんで勝ちにこだわった。ファンの人に勝つことでお礼をしたかった」と発言。自身の目的達成と佐々木への返討ちには成功したが、果たして、この試合内容がファンの欲求に答えうるものだっただろうか? 結果と内容という両立の難しい二つのニーズの狭間で、美濃輪の苦闘がしばらく続きそうだ。


第6試合 ライトヘビー級 5分3R
○菊田早苗(パンクラスGRABAKA/王者)
×エドワルド・パンプロナ(ブラジル/ハイアン・グレイシー柔術)
判定3-0 (30-28,30-27,30-26)

 8月のUFO LEGENDでのミノタウロ戦でのKO負けから3ヶ月ぶりにリングに戻って来た菊田。元ブラジルムエタイ王者のパンプロナの打撃を警戒してか、毎ラウンド開始早々から相手に組付きグラウンドに持ち込む展開に。そしてアブダビを制したポジショニングで何度もマウントポジションを奪う。だがハイアンの元で柔術を学んだパンプロナのディフェンスも上手く、菊田のアームロックや肩固めを何度も凌ぐ。菊田はパンチではなくあくまで関節技にこだわり続け、結局仕留めきれずに試合終了。
 マイクを持った菊田は開口一番「しょっぱい試合ですみません」とファンに謝罪。続いて近藤有己にライトヘビー級王座への挑戦を呼び掛けた。近藤とのタイトル戦は本来今回の横文大会で計画されていたカードだったが、近藤の怪我の回復が思わしくなく延期となっていた。近藤は12月21日のディファ有明大会での復帰戦が決定。菊田は来年の早い時期での対戦を希望している。


第5試合 ライトヘビー級 5分3R
×渋谷修身(パンクラスism/4位)
○ヒカルド・アルメイダ(米国/ヘンゾ・グレイシー柔術アカデミー)
1R 3'25" チョークスリーパー

 パンクラス随一の組技テクニックを誇るはずの渋谷をアルメイダが子供扱い。パンチのフェイントからのタックルであっさりテイクダウンに成功すると、インサイドガードから一気にパスガード。さらにバックを取り執拗にスリーパーを狙い続ける。渋谷もマウントに戻すなど必死のディフェンスを試みるが、アルメイダの技術は何枚も上手。最後はチョークでタップを奪った。
 26歳になったばかりのアルメイダは、2年前のPRIDEの小路戦と比べるとさらに技術進歩を遂げた感がある。試合後アルメイダは菊田や美濃輪との対戦を希望。来年のライトヘビー級戦線の台風の目となることは間違いなさそうだ。


第4試合 ウェルター級 5分3R
○伊藤崇文(パンクラスism/1位)
×和田拓也(SKアブソリュート/前修斗ミドル級8位)
判定3-0 (29-28,29-27,30-29)
※1R和田にローブローによりイエローカード(減点1)

 修斗をミドル級8位で引退した和田がパンクラスに初参戦。セコンドにはSKアブソリュートの練習仲間の郷野聡寛と竹内出が付き、かつての先輩の秋本じんから激励賞が届く。
 試合は両者の意地のぶつかり合う横文大会随一の好勝負に。序盤、伊藤のタックルをがぶった和田が素早くバックに周り込むが、伊藤は前方に倒して脱出。緊迫感のあふれる攻防に早くも満員の観衆が湧く。だがこの後、コーナーでの差し合いで和田の膝が伊藤の急所に当たってしまう。伊藤のダメージは少なかったが、和田は減点1を宣告される。結局1Rはスタンドでの打撃戦のまま終了。
 2Rも打撃戦からスタート。和田は伊藤のタックルに合わせ右ミドルをクリーンヒットさせるなど、着実に有効打を当て、伊藤を苦しめる。伊藤は鼻血を出し右目の下を腫らす。後半タックルでテイクダウンに成功するが、息を整えるのに精一杯という様子。
 3Rの前半は和田がテイクダウンに成功し上に。だが後半、伊藤がパンチで反撃。さらに和田の膝蹴りを抱えてテイクダウンに成功し、必死の形相でパンチを落とす。
 結局、和田の減点に救われる形で伊藤が辛勝。9月のDEEPで敗れた三島★ド根性ノ助へのリベンジに向け小さな一歩を踏み出した。一方の和田は敗れはしたものの、パンクラス参戦で一皮剥けた感がある。パンクラスの1位の選手を苦しめたことは大きな自信につながるだろう。


第3試合 ミドル級 5分2R
○三崎和雄(パンクラスGRABAKA/4位)
×小島正也(和術慧舟會千葉支部)
1R 4'40" 腕ひしぎ十字固め

 三崎がハーフガードの体勢を取りこう着状態が続いたが、スタンドに戻っての残り1分、小島をコーナーに追い詰めたところで放った膝蹴りがクリーンヒット。マットに崩れた小島に腕十字を速攻で極め快勝した。

第2試合 フェザー級 5分2R
○砂辺光久(HYBRID WRESTLING武∞限)
×渡邊将広(フリー)
2R 1'17" フロントチョーク(レフェリーストップ)

 1Rは渡邊がマウントポジションを取り攻勢を続けたが、2R、砂辺が渡邊を立ったままフロントチョークにつかまえ、そのままグラウンドに引き込んで絞め落とした。

第1試合 ミドル級 5分2R
×中台 宣(パンクラスism)
○岡見勇信(和術慧舟會東京本部)
判定0-3 (19-20,19-20,18-20)

 岡見が中台に後ろから組付き、テイクダウンを狙う展開が何度も繰り返される。岡見はスタンドの打ち合いでも優位に試合を進め判定勝ち。

パンクラスゲート ライト級 5分2R
△熊澤伸哉(HYBRID WRESTLING武∞限)
△富山浩宇(P'sLAB横浜)
時間切れ

Last Update : 12/02

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