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(直前情報) [全日本キック] 9.6 後楽園:小林聡の“人生を左右する試合”金曜に迫る

全日本キック "GOLDEN TRIGGER" 2002年9月6日(金) 東京・後楽園ホール

▼ (9/4 up) メインイベントでルンピニースタジアム・Jライト級王者のサムゴー・ギャットモンテープと対戦する小林聡の特訓が8月中旬、所属の藤原道場(東京都荒川区)で公開された。
 道場は冷房が切られ、気温は30度を軽く越えている。ビルの5階で窓が開いているため風が吹き抜けるが、激しい練習では気休めにすらならない。小林は最初のシャドーボクシングの段階から「アアーグァー!」というほとんど文字化不可能な雄叫びを上げ、肉体を酷使する。ミットを打ち始めるとさらにボルテージは上がり、竹刀を持った師匠の藤原敏男会長からも「気合いもスピードもない!」「何を自分に甘えてるんだ、こんなんじゃ勝てねえぞ!」と檄が飛ぶ。ここでは世界チャンピオンの地位も名誉も存在しない。まるで「小林聡」という人間的な自我すらも抹殺され、ただ小林の形をした動物的な生身の肉体だけがひたすら暴れ回っているかのようだ。

 特に圧巻だったのは、ロープを腰に巻き弟弟子の前田尚紀(小林と同じく9月6日大会に出場)に後ろから引っ張らせ、5メートル近くを5往復するという下半身強化のトレーニングだ。小林には“野良犬”という異名があるが、その光景は飼い主に散歩に連れられている狂犬が、鎖を引きちぎらんばかりに猛突進する様を思い浮かばせる。
 休みもほどほどに、次はリングに移動してのスパーリング。ここでも小林は藤原会長から「意気地なし!何がチャンピオンだ!バカ!」と罵声を浴びながら力を振り絞る。現役王者の小林の攻撃を全身で受け止める藤原会長のタフさも圧巻だ。数ラウンドが終った途端、小林は死んだようにマットに倒れ込み、弟弟子たちから水をかけられる。

 公開された練習だけでも1時間強だが、こんな練習を小林は毎日のように続けているという。抜け殻のようになった小林の第一声は「今の練習で言おうとしてたこと全部吹き飛んじゃった」。続けて小林は言う。「練習をやればやるほど不安になるんですよ。3月のナムサックノーイ戦でチャンスを逃してるんで、やっぱ不安ですよね」。今度の相手のサムゴーは、ナムサックノーイ、そして昨年9月7日に小林がKO勝ちしたラジャダムナン現役王者テーパリットを上回るベテランの強豪だ。「ナムサックノーイとやった映像を見ました。ミドルが恐いですね。肘と膝がポイントになると思う」「でも向こうは全部持ってる。百戦錬磨だから小細工なんて通用しないだろうし」「今回ばっかりは強気の言葉が出て来ない。やられてる自分のイメージしか湧いて来ないんですよ…」。
 藤原会長の口から発せられる言葉も「今の時点では勝ちは難しいだろうね。ミット蹴ってても隙だらけなんだよ。たくさん練習したからっていいもんじゃない」と辛口だ。そして「一番恐いのが甘えが出ること。本人の中で意識改革がないと」と忠告する。
 この公開練習から約20日。小林の心と体の中に変化は訪れたのか?「人生を左右するような試合になると思う」と小林自ら語る闘いのゴングが、9月6日金曜の夜、ついに打ち鳴らされる。(井原芳徳)

小林聡の試合以外も注目!

▼ (8/12 up) メインイベントでは7月にWPKC世界タイトル2度目の防衛に成功した野良犬・小林聡が、ムエタイ現役王者と3度目の激突。対するサムゴーはルンピニ−スタジアムが誇るベテラン王者だ。今回もし小林が勝利を掴めば、昨年9月7日、ラジャダムナン現役王者テーパリットにKO勝ちに続く2大スタジアム制覇の快挙となる。
 セミファイナルにはモンゴリアン・花戸忍が登場。前回の全日本移籍初戦では砂田将祈に完勝し2位にランクインした。今度は全日本王者の林亜欧を撃破、世界王者の金沢久幸と引き分けと波に乗るJ-NETWORKの蔵満誠を迎え撃つ。なお、砂田はライト級1位の浜川憲一と対戦する。
 また今回から「全日本フェザー級王座決定トーナメント」がスタート。竹村健二(名古屋J・Kファクトリー/1位)、前田尚紀(藤原/2位)、石川直生(青春塾/4位)、サトルヴァシコバ(勇心館/5位)の4人がエントリーし、今回は前田 vs. 石川、10月11日(金)後楽園で竹村 vs. ヴァシコバ、11月17日(日)後楽園で決勝が行なわれる。
 他にも最近は女子総合格闘技で活躍中のウィンディ智美とジェット・イズミがキックルールで3年ぶり2度目の一騎討ちを果たす。99年9月の対戦は3Rドローに終ったが、総合を経て成長した両者の激戦が期待できる。

全日本キックボクシング連盟 "GOLDEN TRIGGER"
2002年9月6日(金) 東京・後楽園ホール
17:00開場 17:30試合開始

メインイベント 日・タイ国際戦 62.14kg契約 5R
小林 聡(藤原/WKA&WPKC世界ムエタイ・ライト級王者)
サムゴー・ギャットモンテープ(タイ/ルンピニースタジアム・Jライト級王者)

セミファイナル ライト級5R
花戸 忍(高橋道場/全日本ライト級2位)
蔵満 誠(JMTC/J-NETWORKライト級1位)

第10試合 全日本ライト級ランキング戦 5R
浜川憲一(作真会館/1位)
砂田将祈(はまっこムエタイジム/4位)

第9試合 全日本フェザー級王座決定トーナメント準決勝 サドンデスマッチ
前田尚紀(藤原ジム/2位)
石川直生(青春塾/4位)

第8試合 女子バンタム級スペシャルマッチ サドンデスマッチ
ウィンディ智美(作真会館/WPKL世界女子Sバンタム級7位)
ジェット・イズミ(アクティブJ/J-NETWORKレディース1位)

第7試合 フェザー級 3R
山本元気(REX JAPAN)
村山良和(はまっこムエタイ)

第6試合 バンタム級 3R
藤原あらし(S.V.G.)
黒田道鷹(J-NETWORK・アクティブJ)

第5試合 ライト級 3R
上杉武信(藤原)
湟川満正(作真会館)

第4試合 ウェルター級 3R
小松隆也(建武館)
山内裕太郎(作真会館)

第3試合 フェザー級 3R
清水英樹(月心会)
山本真弘(藤原)

第2試合 72kg契約 3R
上林 剛(青春塾)
南本隆之(MA日本・ビクトリー)

第1試合 バンタム級 3R
神後雅文(月心会)
臼井 雅(作真会館)


■料金 (当日料金も同じ。PM4時より後楽園ホール1F当日券窓口にて発売)
RS席 \10,000/S席 \7,000/A席 \5,000/一般立見 \3,500

■発売所:
 チケットぴあ 03−5237−9999
 後楽園ホール 03−5800−9999
 全日本キック  03−3365−1171
 全日本キック公認サイト 

Last Update : 09/04

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