[Dynamite!] 8.28 国立:(7) 吉田秀彦×ホイス・グレイシー
Dynamite! 2002年8月28日(水) 国立競技場 [→カード一覧に戻る] [→掲示板・PRIDEスレッド]
『規定外のレフェリーストップにグレイシー一族の怒り爆発』 セミファイナル 道衣着用ルール 10分2R ○吉田秀彦(日本/吉田道場/180cm,102.6kg) ×ホイス・グレイシー(ブラジル/グレイシー柔術アカデミー/185cm,88kg) 1R 7'24" TKO (レフェリーストップ)
序盤からホイスが引き込み、吉田が立ったままホイスの襟をつかんで膠着が続く。だが、ホイスが下から足をつかみ、吉田もマットに倒れ込むとそのまま吉田はヒールホールドを極める。ホイスは苦しそうな表情を見せたが、しばらく耐えて外しスタンドに戻す。
再びホイスが引き込むが、しばらくして吉田は叩き付けハーフガードに。そしてその体勢のまま、ホイスの襟で首を絞める形に入る。吉田の「落ちた落ちた」という声を聞いた野口レフェリーは試合をストップ。通常落ちた場合、腕の力が抜けブラリとしているはずだが、ホイスの腕はまだ余力をのこしているようにも見えた。ホイスはすぐに立ち上がり「落ちていない!」とばかりに猛抗議。吉田はプロ転向後初となるマイクアピールで「たぶんホイスは参ったしてないと言ってると思うんですけど、たぶんまたこれから因縁の対決が続くのじゃないかと思います」と笑顔で語った。
一旦は、それで終幕を見せたはずのこの試合だったが、メインイベント終了後にホイスが再び父のエリオ氏らとリングに上がる。ただし、ホイスは何も話さず、観客のブーイングを浴びながらもセコンドの一人がマイクを持ち、彼等の不満の理由を滔々と語りだすという一幕があった。
「残念ながらレフェリーの取った態度は真に格闘技の精神を現すものではなかった。吉田は完全に極めていない。ルール上、ホイスがタップしない場合に試合を止める権利があるのは父のエリオだけのはずだ」「この試合は無効試合にすべきだ」との抗議に、かつてのホイラーVS桜庭戦の時の執拗なグレイシー側の抗議を思い出したのか、客席からは「とっとと帰れ!」などと罵声が飛ばされる。
続いて、同じリング上でマイクを取った石井プロデューサーは「2週間審議する時間を設けたい。しかし、今日の試合は皆さんの思っている人が勝ちです」と話した。具体的には1週間以内に審議会を開き、その決議の英訳をホイス側に送り、返答を待つという段取りになるようだ。
試合後の会見で「力がなかったし、完璧に入っていたので。あのままいっても多分落ちていると思いますし、落とす自信はありました。というか、僕も落ちたと思ったので」と勝利を確信したコメントを残した吉田。再戦に対しては「別にやってもいいです。納得いかないんだったら、納得いくまでやりたいと思います」と前向きな姿勢を見せた。
一方ホイスは試合後の会見にも姿を見せず、不本意な結果で終わった事へのショックの大きさを覗かせた。代理で会見に現れたエリオは「(契約で)レフェリーストップはなし。試合を止めることができるのは、私たちのセコンド、すなわち私だけだ。レフェリーにその権限はない。吉田は優れた選手で、尊敬できる」との見解を語り、抗議はあくまでルール運用上の問題であることを強調した。
プロ転向第一戦で、ビッグネームであるホイスを圧倒し、吉田はそのポテンシャルの高さを十分すぎるほどアピールした。しかし、実際にルールに関する契約がレフェリーストップを排除したものになっていた場合、グレイシー側の主張も今回に限っては理不尽とも言いがたい事になる。果たして、理不尽か正義の主張か、今後の展開が注目される。
(編集部追記・8/30) ルールの全文を本誌にも掲載しました。グレイシー側の主張通り、レフェリーストップの条項はありません。
Last Update : 08/29
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