特集記事

全日本チームのトンデモ自衛隊特訓をレポート!
習志野遠足日記
(後半)


 

■ロープ渡り

ロープ渡り
▼二つの塔の間に張ってある10メートルと11メートルの高さの二本のロープを伝っていくというもの。途中で手を放し、命綱でぶら下げられた状態から、腕の力で下側にあるロープにぶら下がっておサルさんのようにするすると反対側の塔へたどり着くというもの。時間が押していることもあり、軽量級、中量級のみの参加。和田選手のみ、CCDカメラをつけてもう一回脱出塔からの飛び出しをやっているため、代わりに重量級だけど85キロ級代表の川合選手が指名される。

▼テレビ用なのだろうが、なぜか塔の上からスイカを落として割れる様子を見せるというデモンストレーション。粉々に砕け散ったスイカを見て、「(あらかじめ)ヒビ入れてあるんだよぉ!」と必死で叫ぶ小柴選手。

▼トップバッターは選手じゃないけど小林考至@金メダル紛失から。「たけし軍団のなべやかんも簡単にやっていた」との言葉を受け、張り切って登場。手を放してから腕の力で下側のロープにぶら下がり、もうゴールに辿り着くと思った矢先、突然手を放してぶらーんと…「足がつったぁ〜」天然ですな>小林さん。すぐさま本職自衛官から「救出!」のかけ声が。それを見ながら、「まるっきりガンバルマンだよなあ。」との声も漏れる。

ロープ渡り
▼脱出塔前では、CCDカメラを装着させられ、困ったなあ、という顔つきの和田選手。飛び終わったところに「どうだった?」と聞けば、「一回飛んじゃえば平気。」あとの80メートル上空での筋トレも、本人曰くまったく平気だったとか。

▼ロープ渡りは54キロ級代表、田南部選手。ジェットコースターの類が大好きだそうで、ひょいひょいと難なくクリア。「さすがレスリング選手だねえ」との声が本職空挺団員から漏れる。

▼それを見ていた130キロ級代表、小幡選手が小菅選手に「あの塔の上の支柱、朝準備してるときに折れたんだってさ。だから俺達やらないんだよ。おまえ、今何キロ?」「102キロですよ」「うそだろぉ」「いえ、102ありますよ。」二人のそばにいた自衛隊の人、「あんた、80メートルのあの塔の上まで行けないよ。」と次の訓練が出来ないと宣告。「エレベーターで登っていって、途中からはしごを上るんだけど、そこ、丸く囲われてるんだよ。たぶん、体が入らないよ。」小幡選手、80メートル鉄塔の上空で「力(ちから、田南部選手の名前)と打ち込みやるかあ。」とデンジャラスな場所で最軽量級と最重量級の極悪な絵図を展開しようかと張り切って見せていたが、実現できないことになる。しかし、がっかりするどころかやはり小幡選手はほくそえむ。

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■80メートル降下塔

▼76キロ級以上は80メートルの吊り上げ、69キロ級以下は83メートル上空、降下塔の張り出し部分での腕立て伏せ。83メートル上空へ登るのは、人数制限&一部体格制限(^-^;があるため、遠足気分の自分は下にいて吊り上げだけ見ることに。

▼体と地面を水平の状態にして降下塔に備え付けられているクレーンで引っ張り上げて80メートル上空へ。一番上まで吊り上げられたところから、パラシュートの模擬訓練ということで、少しずつ降下。地上が近くなるといったんとまり、そこで落下傘を開く動作をして、自分の体を支える位置を変更。すると、今度は体が地面に垂直、つまり、足から地面につく格好になる。

▼吊り上げのトップバッターは小幡選手。自衛隊の人は心配そう。「あの人、何キロあるんだい?」「さっき、本人は127キロだと言ってましたよ。」「127キロか、なら大丈夫だ。」心配そうに見つめる順番待ちの小菅選手と小柴選手。川合選手は…よくわからない。(^-^;

▼小幡選手の大きな体が小さく見えるようになってくると「だめだ、上みてられない。」と小柴選手。小菅選手はだんだん顔色が…

▼小幡選手、吊り上げ器具をどこも故障させずに難なく帰還し、次に吊り上げられる小菅選手がいる前で、「途中で下見ちゃってさあ。そしたらこわくなちゃって。」小菅選手、ヘルメットをかぶりながらすでに緊張。そんなに怖がらなくても大丈夫。器具が壊れないこと、つり上げのロープが切れないことは小幡選手で証明されてるんだから。

余裕?の小柴選手
▼吊り上げられていく小菅選手を見ながら、「あー、だめだ、上向いているだけで恐くなってきた」とは小柴選手。「自衛隊なら似たような訓練するんじゃないんですか?」と問えば「敬礼と行進しかしてないよ。」とのこと。「こんなの付けてるんだけどね。」と襟元をさす。詳しくはわからないのだが、実は小柴選手も小菅選手も、今日訓練を施してくれている教官より、自衛隊の階級的にはずっと上の位にあたるらしい。襟章を見せてもらっても、よくわからないけど。「よくないよぉ。あー、早く帰って子供を風呂に入れたい。」と心からの呟き。(*小柴選手は、5月に初めてのお子さんが生まれたばかりです)

▼小菅選手が降下してきて顔が見えてくると、皆から「小菅、涙目になってるよぉ。」実際、小菅選手の顔からは表情が失せ、目に涙が浮かんでいました。小幡選手と小菅選手は口をそろえて「これ(80メートル)やったら、あっち(跳出塔)なんて全然恐くないよなあ」だそうです。本当かなあ。小菅選手、もう一回跳出塔から飛び出せと言っても、絶対にやらないでしょ。

▼フジテレビのアナウンサーが吊り上げられている間、小柴選手は寒さもあって「このままじゃ、上で漏らしちゃう。」とトイレへ走る。戻ってきてから誰が最後に行くかで一悶着。「おまえがやっぱりトリだろ。」と小幡選手から指名される小柴選手。あと、残っているのは川合選手と小柴選手。「川合、俺が先だ」とこういう時に日体大の先輩であることを利用する小柴選手。(^-^;

▼「川合さん、平気なの?」と問えば「楽しみです。」でも「へいきなんだあ。」ともう一回言うと「こわいです。」あれ?と思って「え、恐いの?」と聞くと「楽しみです。」と珍問答。「どっちなんだよ、ハッキリしろ。」と、高所恐怖のために子育てに支障が出るのではないかと不安がっている小柴選手。

▼小柴選手の吊り上げ。ろくすっぽ下調べしてこないテレビ取材班からも跳出塔の飛び出しとロープ渡りだけで、「面白い」と認識されているため、カメラが並ぶ並ぶ。

▼吊り上げられて上昇している間ずっと「高い高い高い!」と叫び、上空で静止すれば「危ない危ない危ない!」と声を上げる。あんまりよく喋るものだから、「あいつ、本当は恐くないんじゃないの?」と小幡選手に言われる始末。

▼無事帰還して「わかった。根性無いわ、オレ。」と小柴選手。「恐くてさあ、もう顎がガクガクいうんだよ。」と続ける。その割にはずっと叫んでましたけど。高いだの危ないだの。「赤ん坊の気持ちが分かったよ。どっか握ってないと不安で、何も無いのにつかもうとするんだよな。風呂に入れるとそうなるもん。」テレビカメラに向かっては「俺と(ちょうど右にいた小菅選手を指して)小菅が自衛官なんですけど、自衛官二人ともだめです。」とお答え。とりあえず、無事に終了して子供をお風呂に入れられますね。

▼83メートル上空での筋トレ組が先に終了したらしく、徐々に選手がエレベーターを下りてくる。下りてきたところをCCDカメラ装着の憂き目に遭ったのは石嶋選手。石嶋選手だけ、訓練を四つとも受けるというフルコース。他の人たちは二つか三つ止まりなのだが。何で俺が、と今一つ納得の行かない顔をしつつも周りの人に装備を整えられてしまう。「和田ぁ、おまえの役目じゃないかあ。」とまだ下りてこない和田選手へ文句。カメラの装着も終了し、吊り上げられる直前には「たかひろぉ〜!!!」と恨めしそうに叫ぶ。そこへちょうど下りてきた和田選手。CCDカメラをつけられた石嶋選手を見てみたこともないような大笑い。(^-^;

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■終了証

集合写真
▼降下塔の前で整列、敬礼して訓練は終了。取材にどうしてもつかまる和田選手を残して、他の選手たちは控え室のある建物へ。ぞろぞろ歩く最後尾で「マット練習と組み合わせて取材だとよかったのにねえ。」と水を向ければ「そうですね。やらせでもなんでも、マットの様子を取材する格好にして欲しかったな。」ともらす。

▼控え室前で終了証をもらう選手たち。修了証を手にして「ずっととっておきますよ。」という和田選手だが、修了証見せて下さいという取材のひとに「いりますか?」と渡そうとする。言ったそばからそれかい。修了証をもってこちらを向いて下さいとテレビカメラのリクエストに応える和田選手の後ろで、「オレも撮して〜」と石嶋選手ちょろちょろ。

▼空挺団の記念碑の前で再度集合、敬礼して終了。一通り新聞社さんたちが写真を撮って完了。並び順を見て、一体誰が誰やらわからないと言っているどこぞのカメラマンたちに「号令かけていたのが小柴選手で、軽い方から順番に、左から並んでいますよ。」と勝手に世話を焼く。

▼選手の皆さんお疲れさまでした。合宿の途中で、たまにはこんな息抜きもいいんじゃない?でも、高所恐怖症の選手には酷だったかな。

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取材・撮影:横森綾  HTML編集:井原芳徳