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五輪資格獲得大会(フリースタイル3)

東京・青少年総合センター2000年2月26-27日


 2月26、27日に東京・青少年総合センターで開かれていたフリースタイルの五輪資格獲得大会(通称「グランプリ大会」)第三戦、東京戦が終了した。

 日本はすでに五輪出場権を獲得している85kg級をのぞく7階級にエントリー。そのうち4階級で決勝トーナメントへ進出した。

 第一戦、第二戦で総合ランキング3位につけている54kg級田南部力(警視庁)は準決勝でNurdin Donbaev(キルギスタン)と延長戦にまでもつれこみ、テクニカルポイントはともに2点で同点のまま終了、コーション(警告)差で勝利。決勝戦ではNamik Abdullaev(アゼルバイジャン)のタックルを試合終了間際、トゥーホールドで返して2ポイントを獲得、国際大会で初めての優勝を果たした。その結果、第一戦から三戦までの合計ポイントが49で7位の国と11点差をつけての総合ランキング3位となり、五輪出場権はほぼ手中にしたといえる。念願の表彰台の一番上は「思っていたより高」く、今は周りが言うほど五輪資格を確実に手に入れた実感はない。自分では「三割程度」の認識しかないため、3月のエジプト大会が終わり確実に手にするまで気を抜けない様子だった。

 63kg級宮田和幸(クリナップ)は決勝トーナメント一回戦、2−2で5分過ぎに片足タックルから後ろをとられ3−2と逆転されるものの、そこからジャーマンでNasir Lal(カナダ)をひっくり返し3ポイントを獲得。二回戦では2−1で1ポイントリードはとるが3ポイントのノルマを達成できず延長戦にもつれ込み、Serguei Smal(ベラルーシ)の片足タックルをトゥーホールドで返して2ポイントを得、決勝戦へ進んだ。決勝戦ではDavid Pogosiana(グルジア)の力強さの前に宮田は自分のペースへ持ち込むことができず破れ、2位で終了。今後は力負けしない形でのスタミナを付けていきたいと課題を述べていた。

 76kg級小幡邦彦(山梨学院大)は決勝トーナメント一回戦でグランプリ大会総合ランキング3位のポーランド選手を判定で破り、4位以内を確保。続く二回戦で破れたため、3位決定戦への出場となった。イラン特有の1ポイント差を争うしつこいレスリングのために延長戦にもつれ込むも諦めず、試合は2−2の同ポイントで終了。コーションもつかなかったため審判団競技に持ち込まれたが、終始アグレッシブな態度を見せ続けた小幡の勝利と判定された。

 同じく決勝トーナメントへ進出した69kg級和田貴広(和歌山県教育庁)は一回戦でグランプリ大会総合ランキング1位のZaur Bataev(RUS)と対戦、無失点では終わらなかったものの、相手のペースのまま試合を運ばれて5位に終わった。

 国別順位は1位がドイツ、2位が日本、3位がベラルーシとなった。

 3月11,12日にメキシコで予定されている五輪資格獲得大会第四戦には、第三戦までの結果から、58、97、130の三階級で派遣を取りやめる。ただし、今回の五輪資格獲得のポイント積算方法は、出場した大会のうち、高得点を得た三大会の合計によって算出されるため、参加選手数の激減が予想されるメキシコへは、派遣階級の中からでも一部参加が見送られる可能性が高い。最終戦となる第五戦、エジプト大会(3月25,26日)は地理的にヨーロッパに近くなるため、参加選手数の増加も見込まれる。総合ランキングで現在3位に位置している54kg級以外は、高得点を得なければ五輪参加資格の獲得が難しいため、最終戦へ向けての調整に参加四階級(54、63、69、76kg級)とも絞られるだろう。

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▼ フリースタイル
階級 出場者 出場選手数 予選リーグ 決勝トーナメント 順位 獲得P
1R 2R 3R 一回戦 二回戦 順位決定戦
54kg級 田南部力
(警視庁)
16

○TF 10−0
Chen Jui-Hsien(TPE)

○TF 13−2
David Legrand(FRA)
BYE

○ 9:00 2-2
Caution差で勝利
Nurdin Donbaev(KGZ)
○ 1−3
Namik Abdullaev(AZE)
1 16
58kg級 関川博紀
(新潟県体協)
15

BYE

× 7−3
Juug Jin-Hyuk(KOR)

○ 4−7
Arif Karnitski(BLR)
      9 7
63kg級 宮田和幸
(クリナップ)
19

○ 6−1
Surigalatu(CHN)

○7:07 3−1
Ruslan Bodisteanu(MDA)

○ 3-5
Nasir Lal(CAN)
 ○ 4-1
Serguei Smal(BLR)
× 8:47 0−3
David Pogosiana(GEO)
2 18
69kg級 和田貴広
(和歌山県教育庁)
19

○ 1−5
Chang-Jun Um (KOR)

BYE

○TF 2:13 12−0
Bennie Labuschagne(RSA)

× 6−2
Zaur Bataev(RUS) 

    5 15
76kg級 小幡邦彦
(山梨学院大)
22 ○F 2:58 0−10
Mactar Sene(SEN)
○ 5−4
Thomas Coppola(GBR)
  ○ 4−2
Marcin Jurecki(POL)
× 2−8
Radion Kertanti(SVK) 
○ 9:00 2−2
(審判団競技により)
Janshidi Masou(IRI)
3 20
97kg級 小菅裕司
(自衛隊)
17

×TF 5:59 0−11
Dominic Black(USA)

BYE

×F 4:44 1−7
Rolf Scherrer(SUI)

      17 1
130kg級 小幡弘之
(警視庁)
14 × 2−5
Efstathios Topalidis(GRE)
× 0−3
Tomasz Szewczyk(POL)

× 2−8
Gantogtokh Baiurmurkh(MGL)

      12 3
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