シドニーオリンピック フリースタイル 見所解説

54kg級58kg級63kg級69kg級76kg級85kg級97kg級130kg級

54kg級

国名 選手名
KOR ムン・ミュンソク
UZB アッサム・アシロフ
UKR オレクサンドル・ザハルク
BUL イヴァン・ゾノフ
MGL ズンバヤン・トゥメンデンベレル
RUS レオニド・ススノフ
KAZ マウレン・マミロフ
IRI ケルマニ=ベフナン・タエビ
KGZ ヌルディン・ドンバエフ
BLR ゲルマン・コントエフ
JPN 田南部力
AZE ナミグ・アブドゥラエフ
GER ワシーリー・ゼイヘル
USA サミュエル・ヘンソン
MDA ヴィタリク・ライラエン
GRE アミラン・カルタノフ
PRK ジン・ジュドン
NZL マーチン・リドル
CUB ガルシア・ウィルフレッド
EGY アリ・アブゥ・タレフ

 混戦の中、優勝候補をあげるとすればまず、昨年の世界王者、キムを国内予選で下してきたムン(韓国)。もともと48kg級の選手だったが、96年より階級制度が変更され、最軽量級は54kg級となったため、しばらく新しい体重に馴染めなかったようだがシドニー五輪を前にして力を付けてきた可能性が高い。

 そして、間違いなく台風の目になるのは97年からアジアを制し続け、98年の世界選手権で2位(99年世界選手権は不参加)のジン(北朝鮮)。北朝鮮は滅多に国際大会に出場しないため資料が乏しいが、腰の重さと攻守ともに隙がないため世界中が注目している選手。

 田南部力(警視庁)が上位争い絡む可能性はかなり高い。昨年の世界選手権ではススノフ(ロシア)、ソウル五輪48kg級銀メダル、ベテランのゾノフ(ブルガリア)に苦杯をなめさせられているが、昨年から意識して攻撃パターンを多彩にするなど進境著しい。また、7月のヤリギン国際で2位と好成績を収めたことも自信に繋がっており、1年ぶりの世界トップとの力比べに向けて楽しみな要素が多い。

田南部力(ライバルは誰ですか?の質問に答えて)「メンバーみんな知ってるから。代わったところだとイランくらいでしょ。でも、イランも(ヤリギン国際で)試合をやってるし。あと韓国も代わってるか。でも、いつもやってるし。前は6−6で、そこから飛行機投げがかかって点数離れて11−6くらいだったかな。パワーは強いけど、減量バテがあるし、やりやすい。飛行機投げがかかる時点でやりやすい。飛行機投げがかからないとポイントを競るからやりづらい。
 アタックの種類もだいぶ増えてきました。練習でいろいろやって、実際に使えるのは1個か2個くらいしかないけど、まあ、それだけあれば。一試合に1個か2個、違う種類のアタックが出せれば凄いでしょ。カウンターやってくる相手とガンガン攻めてくる相手とでアタックを分けたいと思って練習してます。ガンガン前に出てくる選手はちょっと横からの動きをするとか、分けて考えてやってます。試合で使ってないから分からないけど、スパーリングでやってる限りは技がかかるからやってみる価値はある。
 キューバ(ウィルフレッド)とは昨日(9月4日)ケンカしたからね。(9月1日から7日まで、キューバチームが全日本合宿に合流していた)なんでかわからないけど。(笑)ガーンガーンガーン!て。おれ、ココ(右の頬と口の脇のみみず腫れを指す)殴られて、オレ、あいつのココ(左目の上を指して)をパックリ肘で割って。コーチが必死になって止めに入ったけどね。グレコの連中とか横で違う練習してたのにみーんな見てたもん。
 右手のケガ(7月に痛めた右手指の腱の負傷)の治りは順調。無理はしてないし、力が入るようになってきた。減量は全然平気。減量がきつかったらオレの場合は勝てないと思ったから。不安は作りたくない。最終チェックの段階だから、今から焦っても仕方ないと意識してやってる。
 地元(北海道)から親戚とか身内を含めて60人くらいがシドニーに応援に来る。だんだん取材がたくさんになってきたけど気にならない。全部和田さんにまかせてるから。オレは後ろからそーっとね。(笑)
 北朝鮮(ジン)と当たったらやばいと思って。それはたぶんコーチも思ってるから。(笑)どうやってポイント取るか想像つかないでしょ。シミュレーションみたいなの頭でやるんだけど、どうやってもポイントとれないもん。何で取っていいんだろうな。簡単にこの間アジア選手権優勝してたけどさ、世界2位(アシロフ、ウズベキスタン)を簡単に破ってたからね。力が落ちてる、て言うけど、世界2位を簡単に破ってるんだから。全然分かんない。どうしようかな。それだけかな。それに当たったら、たぶん運がなかったと言うことで。いい勝負はできるかもしれないけど、何でポイント取っていいか分かんないんだよ。タックルで本当にとれるのかなあ。仲いいから『1点くらい頼むよ』て言おうかな。(笑)こっちが守れば延長まで行く自信あるけど、延長になってもしょうがないじゃん。負けたら。
 報道は和田さんにまかせてますから、よろしく。(笑)」

9月5日 山梨学院大での合宿にて




58kg級

国名 選手名
TUR ハルン・ドガン
IRI アリ・レザ・ダビエル
UZB ダミル・ザハルチノフ
ARM マルチン・ベルベリヤン
MDA ククイク・オクタビアン
RUS ムラド・ラマザノフ
USA テリー・ブランズ
SVK アンドレイ・ファサネク
MGL プレヴバタル・オユンビレク
AZE アリフ・アブドゥラエフ
UKR エヴゲニー・ブスロヴィチ
KAZ アビル・イブラジモフ
GER オットマル・クフネル
BLR アレクサンドル・グゾフ
GRE クヴィスタ・ポリクロニディス
GEO ダヴィド・ポゴシアン
PRK リ・ヨンサム
AUS コリー・オブライエン
CAN グイヴィ・シサウリ
GBI エンバロ・タラタ

 昨年の世界王者、一昨年の世界2位ドガン(トルコ)が優勝候補筆頭。特別に目立つテクニックを持っているわけではないが、力強さが圧倒的。それを追うのが昨年の世界2位、一昨年世界1位のダビエル(イラン)。58kg級としては背が高く、体が大きい。

 ドガンとダビエルの直接対決は98年の世界選手権から熾烈になる。イラン・テヘランでの世界選手権決勝でダビエルはドガンを警告差で下して世界王者につく。翌99年、トルコ・アンカラでの世界選手権決勝ではドガンがダビエルに判定勝ち。それぞれのホームタウンで一勝ずつあげたのちの五輪対決となる。

 そして、今年7月のヤリギン国際でドガンと決勝を闘い、試合終了8秒前までリードしていたオユンビレク(モンゴル)も目を離せない。ヤリギン国際決勝でドガンと対戦したオユンビレクは3−1で2ポイントリードしていたが、6分の試合終了8秒前に3−3に追いつかれて延長戦へ。さらにポイントを重ねられ敗れている。五輪で雪辱なるか。

 台風の目になるのは(北朝鮮)。国際大会での対戦成績がほとんどないため、対策を立てづらい。しかし、アジアの最終予選では圧倒的な差でシドニー五輪枠を獲得、アジア選手権の決勝でもザハルチノフ(ウズベキスタン)に3−0の完勝と失点に繋がる穴がない。前述の三選手との対戦が楽しみ。

 また、アメリカからは国内代表決定戦を勝ち抜いてきたテリー・ブランズが出場する。テリー・ブランズは32歳。1993、95年に世界王者についている。双子の兄弟、トムはアトランタ五輪金。


63kg級

国名 選手名
UKR エルブラス・テデエフ
KOR ヤン・ヤスン
UZB ラミル・イスラモフ
USA ケリー・コラット
BUL セラフィム・バルザコフ
IRI ムハマド・タライ
PRK ソン・ヨユン
KGZ マクサト・ボブルベコフ
MDA ルスラン・ボジステアヌ
AZE シャミル・アファンジエフ
BLR ニコライ・サヴィン
GER シェイベ・ユーゲン
GEO オタル・トゥシシヴィリ
RUS ムラド・ウマハノフ
SVK ステファン・フェルニヤク
ARM アルシャク・ハイラペチヤン
JPN 宮田和幸
AUS ムサ・イルハン
CUB カルロス・J・オーティス
EGY フサム・アフメド

 優勝争いに間違いなく食い込んでくるのはテデエフ(ウクライナ)。ついで上位の常連はコラット(アメリカ)。二名とも攻め続けるレスリング。対照的なのがイスラモフ(ウクライナ)で、こちらはひたすらカウンター狙い。敢えて名前を挙げるとするとこの上位になるかと思われるが、混戦になることはほぼ間違いなし。

 宮田和幸(クリナップ)が上位争い絡む可能性は、五分五分と言ったところか。不安材料はまず経験不足。そのため、減量疲れも加わり、五輪直前になって宮田自身も不安を隠せない様子。しかし逆に、宮田自身があまり研究されていないため、攻めのレスリングの威力が増すと考えることができる。五輪は、通常の世界選手権などに比べて試合数が少なく設定されている。攻めのレスリングが身上の宮田ならば、上位に食い込む可能性はある。

宮田和幸(ライバルは誰ですか?の質問に答えて)「10人くらい勝てなさそう。テデエフは見てダメだと思った。凄い攻めるでしょ。アゼルバイジャン(アファンジエフ)も。こいつに勝ったヤツには自分勝ったけど。ケリー(=コラット・アメリカ)もダメ。キューバ(オーティス)も大したことないかと思ってたら、和田さんと延長戦までやってる。
 北朝鮮には勝てる。モルドヴァにも勝ってる。凄いセコい試合するからイスラモフは大したこと無い。
 体重は、今日の練習前であと6・5キロ。減量は順調に落ちてる。
 心理学の先生に「今、伸び盛りでしょ。勢いがあって若いんだから、それを止めないために、もっとガンガン練習した方がいい」て言われた。勢いだけで来てるから。(苦笑)それが止まったら全部終わりそうな気がする。」

9月7日 山梨学院大での合宿にて




69kg級

国名 選手名
CAN ダニール・イガリ
USA リンカーン・マクレビー
TUR ユクセル・サンリ
GEO エムザル・ベジネイシヴィリ
ARM アライク・ゲボルキアン
GRE N・ロイジディス
CUB ヨスマニ・サンチェス
KGZ アルマズ・アクサロフ
RUS アルセン・グイチノフ
IRI ハジジ・タヴァコリアン
BLR セルゲイ・デムトチェンコ
UKR ザザ・ザジロフ
KAZ ルスラン・ヴェリイェフ
POL マリウス・ダブロウスキ
MDA イオン・ディアコヌ
BUL ピター・カサボフ
JPN 和田貴広
AUS キャメロン・ジョンストン
COL エディソン・フルタド・レルマ
NGR イボ・アジティ

 完全な混戦状態。98年世界3位、99年世界2位のマクレビー(アメリカ)、95年68kg級世界1位、97、98年世界1位のゲボルキアン(アルメニア)、アトランタ五輪銅のザジロフ(ウクライナ)、五輪二次予選2位のタヴァコリアン(イラン)あたりが上位に食い込んでくると思われるが確実とは言えない。2年前であればゲボルキアンが頭一つ抜け出していると言うところだが、近年、衰えを隠せない。いずれにしろ、安定して上位にいると断言できる選手がいないため、どのような金メダル争いになるかわからない、というのが正直なところ。

 ロシアからは、五輪予選にはまったくエントリーしなかったグイチノフが出場する。7月のヤリギン国際でゲボルキアンをバタエフ(ロシア)が下しているにもかかわらず、敢えてシニアの国際大会経験がほとんどない若手を投入してくる。97年のジュニア世界選手権で70kg級王者となっているグイチノフがどこまで通用するか。ロシアの層の厚さ、底力が垣間見えそうだ。

和田貴広(ライバルは誰ですか?の質問に答えて)「エントリー表は見てないです。誰が来ても一緒なんで。いろいろ考えても一緒なんで。
 キューバの選手とやってみて、思ったより筋力が強い、て感じじゃなかったですね。そんなに重い、て感じじゃなかったですね。ただ、1分くらいのをやっただけなので、全力は出してないですよ。感じが掴めるくらいで。膝の調子もよかったし、やってもいいかなと思って。ある程度大丈夫ですけど、飛行機投げだとか、ひざが曲がるような技はやめておこうかな、と思って控えていました。ブリッジやっても、そんなに流れるような感じじゃないので。テーピングして出ることになると思うんですけど。
 4年前(アトランタ五輪)のことはもう気にならないですね。4年前よりは、はっきりいって、この階級でランクが上、というわけじゃないし。絶対的な実力がある、ていう感じじゃないんで。当たってくだけろ、て感じで楽ですね。2コロのつもりで行くんで。
 練習やっても、そのまま実力が出せなかった、ということが今まで結構あったから。もっと気持ちを楽に持って、それができれば自分の実力を出せると思うんですけど。
 もう考えないです、先のことは。考えてもしょうがないです。いくらどう考えても一緒なので。本番になったら本番になるから。自分の実力出せればいいです。やることやって、練習は練習で、そのときになって集中すればいいかな、と思うので。そのときになって、いまさら試合の何日も前から緊張する、ていう感じでもないし。実力出せればいいですよ。ただ試合するだけです。オリンピック2度目だというのもあるし。あんまり緊張してないですよ。マットに上がったらどこにも逃げられないし、闘うだけなんで。自分の試合ができればいいです。そういう意味では、リラックスしてるからできるかもしれないですね。
 『追いつめられてる方が実力出せるんじゃないか』てまわりに言われて、膝のケガ(6月末から7月上旬の全日本合宿で靱帯を損傷)をして少しへこんでましたけど、まわりのそんなアドバイスで少し楽な気持ちですね。ある程度練習もできるようになってきたので」

9月7日 山梨学院大での合宿にて




76kg級

国名 選手名
RUS ブバイサ・サイティエフ
GER アレクサンダー・レイポルド
TUR アデム・ベレケト
USA ブランドン・スレイ
AZE エルシャド・アラフヴェルディエフ
KOR ムン・ユジャ
BUL プラメン・パスカレフ
UKR アリク・ムザイエフ
UZB ルスラン・キンチャゴフ
POL マルシン・ユレキ
KAZ ゲンナジィ・ラリイェフ
HUN アルパド・リッター
MKD ナシル・ガジハノフ
SVK ケルタンチ・ラディオン
IRI ドロストカル・ペジュマン
GEO グラム・ムシェドリチェ
MGL トゥメン=ウルジ・ムンフバヤル
AUS レイノルド・オゾライン
CUB ヨスマニ・ロメロ
RSA ドゥ・トゥイト・ジャニー

 昨年、同階級を制した弟が一階級アップしてシドニー五輪に出場するため76kg級にエントリーしてきたブバイサ・サイティエフ(ロシア)が優勝候補筆頭。90%くらいの確率と見てよい。

 ブバイサ・サイティエフは1975年3月11日生まれの25歳。1995年の世界選手権でシニアの国際大会デビューをし、優勝。翌年のアトランタ五輪では21歳で金メダル。以来、まったくの無敗。76kg級という階級は非常に層が厚く、連勝が難しい階級なのだが、そこで6年間無敗というのは驚異的な記録といえる。チェチェン人であるため、ロシア代表として五輪に出場することに難色を示していたと言われるが、今回は85kg級の弟・アダムとともに兄弟で出場となった。アトランタでの74kg級に続いて二大会連続金メダル獲得に繋がるか?

 そのサイティエフに迫るかもしれないのは、ベテランの97年世界2位、98年世界3位、99年世界2位のレイポルド(ドイツ)31歳のレイポルドはジュニア時代から世界のトップクラスで、五輪はバルセロナ、アトランタに続き三回目。世界選手権で王座についたことはあるものの、五輪のメダルにはまだ縁がない。サイティエフが台頭して以来、何度も苦杯をなめさせられているが今度こそ五輪のメダルに届くだろうか?


85kg級

国名 選手名
CUB ヨエル・ロメロ
RUS アダム・サイティエフ
USA チャールズ・バートン
TUR アリ・オーゼン
JPN 川合達夫
UZB マハルベク・ハダルツェフ
KAZ マゴメド・クルグリエフ
KOR ヤン・ヒュンモ
UKR ダヴィド・ビチナシヴィリ
HUN ガボル・カプヴァリ
MKD マゴメド・イブラギモフ
CIV アカ・アケセ・ヴィンセント
LAT イゴル・サムソノクス
ROM ニコラエ・ジータ
SUI グレゴリー・マルチネッティ
BLR ベイブラト・ムサエフ
IRI アミール・ハデム
AUS イゴール・プラポウルシコフ
CAN ジュスティン・アブドゥ
SEN アリオン・ディオフ

 昨年の76kg級世界王者、今年のヨーロッパ選手権85kg級1位、7月のヤリギン国際優勝のアダム・サイティエフ(ロシア)が優勝候補の筆頭。階級アップして1年未満のため、通常ならば身体の小ささや筋力の違いが問題になるところだが、ヨーロッパ選手権での試合の内容は「難なく勝利した」とのこと。

 次点はウズベキスタン代表として出場のハダルツェフ(ウズベキスタン)。ソウル、バルセロナ両五輪で金、アトランタで銀のハダルツェフも今年37歳。体力の衰えはある程度あるものの、今年のヤリギン国際決勝で、アダム・サイティエフ相手に3−3、パッシブの差で敗れるという拮抗した力を見せた。サイティエフの牙城を崩せることができるとしたら、ハダルツェフであろう。

川合達夫(ライバルは誰ですか?の質問に答えて)「このなかでですね、一番女の子に人気があるのはですね、一番たくさんファンレターがもらえるのはですね、僕ですね。ハデムのお兄ちゃん(アミール・ハデム)がお金持ちで人気があるかもしれませんが、やっぱり僕ですね。」

9月5日 山梨学院大での合宿にて




97kg級

国名 選手名
RUS サジド・ムルタサリエフ
IRI アリ・レザ・ヘイダリ
POL マルク・ガルムェウィッツ
GRE A・ザントホポイルス
TUR アフメト・ドキュ
GEO エルダー・クルタニッツェ
CUB ウィルフレド・モラレス
AZE ダヴド・マハマドフ
GER サベジェウ・アラワト
UKR ヴァジム・タソエフ
USA メルヴィン・ダグラス
BLR アレクサンドル・シェマロフ
SVK マザク・ミラン
SUI シェレル・ロルフ
LTU リカルダス・パウリウコニス
NED ジョージ・トルチナワ
KAZ イスラム・バイラムコフ
AUS ガブリエル・シェルダ
CAN ディーン・シュメイシェル
NGR カデル・ビクトル
 96年アトランタ五輪にはウクライナ代表として100kg級に出場。98年以降はロシア代表として国際大会に出場し、99年世界王者のムルタサリエフ(ロシア)とヘイダリ(イラン)の優勝争いに鳴るかと思われる。ヘイダリは98年まで85kg級の選手であり、98年には世界王者についている。階級アップして間がないため、若干、体が小さいのが不利か?


130kg級

国名 選手名
USA ケリー・マッコイ
RUS ダヴィド・ムソウルベス
IRI アッバス・ジャディディ
AZE ラジャブ・アシャバリエフ
TUR アイディム・ポラチ
GER ジエレ・スヴェン
KGZ アレクサンドル・コヴァレフスキー
UKR メラビ・ヴァリエフ
BLR アレクセイ・メドベジェフ
CHN チェン・キンカン
GEO アレクシイ・モベダゼ
MGL ドルゴルスレン・スミヤバザル
BUL クラシミル・コトチェフ
HUN ズソルト・ゴンボス
GRE トパリディス・エフスタチオス
SVK ピーター・ペチャ
UZB アルチュール・タイマゾフ
AUS ムスタク・アブドゥラ
CUB アレクシス・ロドリゲス
EGY フサム・アブデル・ワハブ

 昨年の世界王者であり、FILA(国際レスリング連盟)の年間最優秀賞を獲得したステファン・ニール(アメリカ)がアメリカ国内での五輪代表選手決定戦に敗れ、シドニー五輪に出場しないという昨年のランキングが通用しない状態。

 ニールを破ってシドニー五輪出場のマッコイ(アメリカ)、ジャディディ(イラン)も有力だが、二人とも130kg級としては小柄で、通常体重が130kgに満たないため、力不足の感は否めない。アトランタ五輪銀のメドヴェジェフ(ベラルーシ)も202cmという長身を生かした強みがあるが、安定感がない。

 注目選手としてはタイマゾフ(ウズベキスタン)。シニアの国際大会記録は今年の五輪二次予選第五戦エジプト大会優勝とアジア選手権優勝の二つのみ。おそらく130kgには充たない体ながらもスピードとテクニックが同階級では群を抜いている。7月のヤリギン国際大会では予選リーグで昨年世界2位のシュミリン(ロシア)を下し、そのまま連勝を続け優勝。98年ワールドユースゲームにはロシアから出場しているため、ロシアがシドニー五輪代表としてタイマゾフを獲得する動きを見せ、FILA(国際レスリング連盟)からウズベキスタン代表で五輪出場するように注意をするという騒動もあった。

 重量級の選手はそのままプロの試合に出てくることも多い。試合結果を「青田買い」のつもりで試合結果を見るのも面白い。