立命館宇治高校
   

立命館宇治高校
 立命館宇治高等学校は、京都府南部、平等院鳳凰堂で有名な宇治市の東北部に位置している。その名の通り、立命館大学傘下の学校で、レスリング部には現在10 名の 選手と2名のマネージャが毎日の練習に励んでいる。立命館宇治高等学校にある運動 系部活動の中では最強を誇る実績のあるクラブである。
練習時間
● 16:00〜18:00 (標準)
● 校舎4階練習場
最新ニュース
● 5月20日京都総体
  団体で優勝しました!!

   
立命館宇治高校取材レポート

 元々宇治高校という学校が立命館大学とくっつき、立命館宇治高校となった。校舎はその宇治高校の当時のままなので若干古いのだが、移転予定もあるため今後は建て直され、きれいに生まれ変わるだろう。

 ふつうレスリング部の練習場というと、体育館の一部、格技場の一部、あるいは専 用の道場があるのが一般的なのだが、ここは違った。立命館宇治のレスリング道場は なんと普通の校舎の4階にある。  校舎に足を踏み入れると、ちょっと緊張した。何を隠そう、高校の一般校舎に足を 踏み入れるのは実に10年ぶりくらいだったのである。今まで体育会系の高校生と生で 会ったことは何度もあった。ところが、顔グロ茶髪系からバリバリ運動部系まで、バ ラエティに富んだ高校生がゴロゴロしているところに入っていくと、さすがに自分が 場違いな気がして年齢を感じずにはいられなかった...。さみしいものだ。

 4階まで上り詰める。すると、雑然と筋力トレーニングマシンが廊下に置かれ、そ の先に一枚の扉があった。すまからそっと中を覗くと、部員全員が準備運動をしな がらこっちを振り向いた。監督が来たのかと思ったらしい。ところがそこにいたのは 監督ではなく、カメラ機材などを持ったワタクシであった。部員たちはホッとした表 情でお互いの顔を見合わせていたが、数人の部員は、「なんやこのオッサンども は...」とでも言いそうな怪訝な表情をしていたのをワタクシは見逃さなかった。

● WRESTLING CLUB MEMO

 各選手の経歴を見てもらうとわかるのだが、かなりの部員が3歳や4歳といった年齢からレスリングを始めている。父親などの影響が強いらしく、小さい頃からレスリングの世界にどっぷりと浸かっているような子が多いのだ。 そういったジュニア系レスリング選手のサラブレッドを揃えているだけあって、各大 会ではかなりの実績を残している。

 この学校は、先にも記したがレスリングで有名な立命館大学の傘下にある。ここで 活躍すれば、大学へ進学し、たっぷりとレスリングを堪能できる。むろん、レスリン グだけではなく頭脳も必要とされるため、文武両道な精神で自身を高めていくことが できる。そういった評判などもあり、地元京都をはじめ四国や九州からも入学してく るのである。主に、過去にレスリングを経験している部員が多いため、練習はスパー リングを中心にかなり実践的なものが多かった。チビッコレスリング出身者が多く、 習い事などが嫌いだった自分からしたら尊敬に値するような子が多い。ただし部員数 自体はあまり多くない。やはり全国で優勝するトップレベルの選手と初めてレスリン グをやる部員との差がありすぎるのであろうか。マネージャー曰く、「一緒の練習だ ときついのか、敬遠してしまうんですよねー。入ってもやめてしまう子が今年も2人 いたんですよー」。

 部員数が増えない、足りないということは、ほかの選手がいくら強くても、団体戦 にはかなり不利な材料になってしまうので、どこの学校も頭のいたい問題なのである。

● ABOUT THE MANAGER

 監督は鈴木秀知監督。部員の間ではとても厳しいと評判で ある。練習中、初歩的なミスや受け身ばかりをとっていると、すかさず監督の罵声が 道場中に響き渡るのである。
 練習前の準備運動中、部員は全員その辺の高校生のように騒いでいる。バッグに入 れてあった携帯電話がピーヒャララと鳴ってはあわててスイッチを切ったり、「いやぁ 〜ん、あの子かわいいよね〜、きゃぁ〜」(byマネージャー)と、にぎやかにやって るのである。


練習中の鈴木選手(上)と監督(右)

 ところが監督のスリッパの、ぺたぺたという音を廊下の方から聞いた瞬間、一斉に 無口になって黙々とストレッチをはじめるのである。 この鈴木監督、一歩普通の会話をはじめると、気さくな面が話の随所にみられるの である。練習中には檄を飛ばしたり怒鳴ったり、大変怖いイメージがあったのだが、「おもしろいヤツがたくさんいてねぇー、・・・」と、部員の話を始めると、とたん にニコニコ語り始めるのであった。

 練習中の厳しい指導は、選手たちが監督の家で寮生活を送っている部分からくる親 心的な厳しさでもあったことが伺える。それにしてもあれだけ大きいカラダの高校生を何人も住まわせているとなると、監督の住まいは平等院鳳凰堂ではないかと思わされた。

 

 取材当日、チビッコレスリングの練習もあったため、監督夫人みちこさんも道場で 指導に当たっていた。みちこさんは、監督と同じくとっても気さくで笑顔の絶えない 方であった。彼女の声のかけ方は、監督とは全く違うトーンで指導をする。怒鳴った りはせずに、小中学生の練習の動向を見守っているという感じであった。
 監督が、「こら、なにやっとんだぁ〜!」と怒鳴っているとき、反対に座っている みちこさんは、「ほらもう一回やってみなさい」と穏やかに声をかけるのである。

 みちこさんは日常生活の中で選手と監督の橋渡し役。部員は監督に言えないことも、 みちこさんになら言えるらしい。それは、部員たちの返事の仕方でわかる。監督の前では、「はい!●●です!」と、めちゃくちゃハキハキと答えるていた部員Aがいる。 一度電話口で聞いてしまった、みちこさんと部員A の会話では、「あぁ、うん、はぁ、 そーですぅ」と、のほほ〜んと返事をしていたのであった。

 実のお母さんのような感じなのだろう。「母」としては、選手の栄養などを考えた 食事作りなど大変であるはず。「栄養などを考えるのは確かに難しいですね。でも監 督から、具体的に料理の指示が出ますし、結局は全部監督がやってくれるんですよね 。」とほほえんだ。

【PreFighters 表紙に戻る】