横森 綾の |
アマレス至上主義者宣言!! |
Round2:お気楽レスリング観戦のすすめ −会場へ行けば何とかなる |
掲載2回目にして「番外編」を載せるという暴挙を犯しましたが、今回は初回の予告通り、「お気楽レスリング観戦ガイド」です。レスリングを見慣れている人にはつまらないかもしれないですが、誰でも最初は通る道。これからレスリングを見る人が一人で悪戦苦闘する手間を省いていきましょう。
アマチュア・レスリングの試合?よくわからなーい!と思いこんでいるいませんか?細かいことなんてわからなくても楽しめます。今回は、いー加減にみられるお気楽観戦方法をお伝えします。
とりあえず会場へ行ってみましょう。アマレスの大会はほとんど無料ですので交通費しかかかりません。そして会場を覗いてみましょう。
会場へ行くと、体育館にレスリングマットがたいてい2つ以上敷かれています。レスリングの大会は、2スタイル8階級の試合が組まれるためにどうしても試合数が多くなります。たくさんの試合数を消化するため、2つや多いときにはもっとたくさんのマットを敷いて同時に複数の試合を進行させていきます。そのため、会場に入ったときに、レスリングの試合をしているのはわかるけれど、いったい、どこで何をしているのかなかなかつかめません。そこでお気楽観戦術。ルールなんてよく分からないままで全然だいじょうぶ。誰と誰が試合をしていて、どちらが勝っているのかわかるようにだけとりあえずなりましょう。
まず、自分が席に着いたところから近いレスリングマットの試合を見てください。レスリングの二つのスタイル、フリースタイルの試合なのか、グレコローマンスタイルの試合なのかを見分けましょう。
一番簡単に見分ける方法は、審判掲示器を見ること。審判掲示器とは得点板のことです。マットの脇に置いてあります。掲示板の中央上あたりにFREEもしくはGRECOとそのマットで行われている試合のスタイルが表示されます。
その表示がよく見えないよぉ。と言う場合は、試合をしている両者が立った状態になったときに注意してみましょう。多くは相手の脚を取ることを狙ってタックルを仕掛けるのがフリーで、しないのがグレコです。グレコローマンスタイルはベルトライン(だいたい腰のあたり)から下への攻撃が一切禁止されたルールなので、絶対にタックルをしません。そのため、グレコローマンスタイルの試合は相撲の差し合いのまわしナシ版といった風に見えます。
スタイルがわかったら、今度は階級です。見かけで重量級か軽量級か、くらいはわかりますが、63kgか69kgか、などの細かい違いは見ただけではなかなかわかりません。それを見分けるには、やっぱり得点掲示板です。スタイルの表示の下あたりに69kgなどと出てます。
スタイルと階級がわかったら、次はどちらの選手が勝っているのかが気になりますね。
レスリングは直径9メートルの円の中で試合が行われます。9メートルの外側1メートルが赤く彩られていて、その赤い丸から内側の黄色い部分全体が試合場です。赤い円をはみ出ると「中に戻りなさい」とレフェリーに指示されます。
レスリングの試合場はまるいのですが、赤コーナーと青コーナーがあります。マットの試合場の外側、対角線上にあたる二つの角の片方が赤色、もう片方が青色に塗られています。その色がコーナーの色です。それぞれのコーナーにはパイプ椅子が置かれて、セコンドが座っていることが多いです。
試合をしている選手がどっちのコーナーか、を見分けるのはタイツの色で一目瞭然。それぞれ細かいデザインの違いはあっても、赤コーナーの選手は全体的に赤っぽい、青コーナーは青っぽいシングレット(レスリングタイツ)を着ています。赤、もしくは青を基調としたシングレットを着ることはルールで決まっていることなので、まっ黄色やまっ黒のタイツ姿をみることはありません。(小さい子供だとカラフルなタイツが時々あります。今回は男子のシニアのルールで説明しています。)
シングレットの色でどの選手が赤コーナーか青コーナーかがわかれば、今度はどちらが勝っているのかが気になりますね。さあ、どちらが勝っているのか?これも得点板をみれば一目瞭然。得点板の大雑把な見方さえわかれば、試合途中からでも、どのマットでどんな試合をしているのかもすぐにバッチリわかりますよ。
手動の得点掲示板の場合、赤コーナーの選手は赤の数字で、青コーナーは青色の数字で点数が表示されています。レスリングは優位にあると判断された選手に得点を積み重ねていく方式なので、点数が多い方が勝っている選手です。
得点がわかったら、今度はその試合が序盤なのか中盤なのか、もう終わりに近いのかが気になりますね。レスリングは第一ピリオド(3分)→30秒のインターバル→第二ピリオド(3分)で試合が進行します。第1ピリオドだと「1P」、第2ピリオドの場合は「2P」と示されます。時間は、電光掲示板の場合は得点板と同じところに、手動の場合は、多くは得点板とは別にタイマーが設置されます。そして、3分から減っていって、0になるとそのピリオドが終了することが表示されます。0になるとブザー(またはゴング)が鳴って、バトンが投げ込まれます。
時間にならなくても試合が終わることがあります。それは、フォール、またはテクニカルフォールでどちらかの選手が勝利した場合です。
フォール、というのは相手の両肩をマットへ1秒間つけたことを評価します。フォールであると認められた瞬間、覗き込んでいるレフェリーが大きな動作でマットを1回たたきます。これで試合は終わり。体を捩って必死で抵抗する相手の両肩をマットに完璧につける、というのはかなり難しいですよ。
そして、テクニカルフォール。点差が10点以上開いた時点で決定です。野球で言うコールドゲームみたいなもので、力の差がありすぎるからそこで試合を終わりましょ、ということです。
一方、試合時間が終わっても点差がない場合があります。そのときは延長戦が続けて行われます。そして、延長戦の時間が終了しても同点のときは、試合中についたコーション(警告)やパッシブ(消極的であると注意されること)の数によって勝敗が決められます。
でも、この点数やコーション、パッシブはいったい、誰が判断してつけているのでしょう?
得点板に掲示される点数は、審判団が判断して決めています。そのマットの点数を決めている審判団は3人。レフェリーと、ジャッジとチェアマンです。
レフェリーはマットの中にいるホイッスルを持った人です。試合をする選手の一番近くにいますから、レフェリーが試合の判断を一番最初にします。ポイントが入ったと判断すると、ポイントを獲得した選手のコーナーの色のリストバンドをつけた方の腕を上げ、1ポイントの場合は親指を、2ポイントは親指と人差し指を、3ポイントのときは親指と人差し指と中指をたてて示します。
でも、レフェリー一人ではポイントの加算を決定できません。もうひとり、ジャッジの判断と気が合わないと決定事項として得点板に反映されません。
ジャッジは、マットの脇、得点板がおいてあるところの向かいにある机に座っています。机に「ジャッジ」と書かれた紙が張ってあります。ジャッジは、試合を見ながら得点が入ったと判断したときには、得点を入れた方の選手のコーナーの色をしたおたまじゃくしのような形をした表示板を掲げます。その表示板には「1」「2」「3」などの数字が書かれていて、それがポイントをあらわすのです。
レフェリーとジャッジの判断が同じときにはまったく問題なく、そのまま得点板にポイントが詰まれていきます。が、二人の判断が食い違った場合、どうなるのでしょう?そのときに、ジャッジの向かい側に座っているチェアマンが裁定に参加します。レフェリーとジャッジが違う判断を下した場合に限り、即座にチェアマンがどちらの裁定を採るか判断して、前述のおたまじゃくしのような表示板を掲げます。そして、チェアマンが表示したポイントが最終的な判断とされて得点掲示板に反映されるのです。
これで赤コーナーと青コーナーのどちらの選手がリードしているのか、勝利したのかはわかるようになりました。でも、そのポイントを判断する基準がわかりません。つまりルールですね。
この項目は、どうしてもルールをきちんと説明することになります。タックルだとたいてい1ポイントだとか、ローリングだとたいてい2ポイントだとか、ニアフォール(相手の肩を90度以上傾けさせた場合)は2ポイントで、それを5秒続けると1ポイントおまけがもらえるとか、そのほかにもいろいろあります。でも、ちゃんと説明しようとするとルールをきちんと説明しなければわかりにくいので、ちょっとお気楽観戦術の初回にはボリュームが大きすぎます。ということで、次回に説明します。(決して面倒だから後回しにしたんじゃないですよ(^-^;)ですから、今回はさくっと飛ばします。次回に細かく説明します。
ここまでで見ている試合の勝敗をみわける方法はわかりました。そうなると、今度は試合を見て気に入った選手がどこの誰なのかを知りたいのが人情というもの。
基本的には、得点掲示板に名前が掲示されます。位置はポイントを示す数字の下あたりです。そこに名前があれば、カッコ書きで所属も明記されていることがほとんどですので、何の問題もないですね。
しかーし。この数字の下の名札が掲示されていないことが案外多いのです。そのためにおのずと選手を見わけるコツが必要となってきます。
まず、「できれば」ですが大会のパンフレットを手に入れましょう。出場選手名と、要項、日程などが書かれているものです。今度、4月の17,18日に埼玉・朝霞市総合体育館で開かれる全日本選抜大会は、去年と同じなら入り口でそれを手にすることができます。値段は、昨年は一部100円でした。
パンフレットが手に入れられない場合は、会場入り口に張ってある組み合わせ表&進行表を見ましょう。階級ごとの試合の組み合わせがどこのマットでどの試合をするのかわかるように書かれた紙が貼ってあります。
そうしたら次は、試合に出てくる選手のシングレットの胸の部分、またはお尻の部分、ごくまれに脚の外側あたりに入っている所属名に注目。この所属名、漢字でそのまま書いてあるところはすぐにわかるのですが、独特の略称の場合は、すぐにはわかりません。よく見るところだと
警視庁 … M.P.D.なんてのがあります。
自衛隊 … P.T.S.
綜合警備保障 … S.O.K.
日本体育大学 … N.S.S.U.
山梨学院大学 … Y.G.U.
所属を確認できたら、ここまでで知った得点板の見方などを駆使して階級を確認。パンフレットと照らし合わせてみれば、どこの所属のどんな選手かバッチリわかりますね。
細かいところはさっぱりわからないかもしれませんが、ここまで述べてきたことを頭の隅に入れておいて、レスリングを見に行きましょう!野球場でお酒を飲みながらでもどこのチームが勝ったかわかって楽しめるように、レスリングもわかります。
では、次回のお気楽レスリング観戦のすすめは「有名な技を見たらジャッジと一緒にポイントを数えてみよう」です。
横森 綾 (よこもり あや)
BZG03701@nifty.ne.jp
「世界征服宣言」 http://member.nifty.ne.jp/gattiri/
カメラ:横森綾 HTML編集:井原芳徳 |