これが修斗公式戦18戦目となる大河内。最近は勝ち星に恵まれていないとはいえ，安定した寝技と卓越したディフェンス技術はまだまだ健在だ。修斗の次代を担う一人と期待される植松直哉だが，デビュー戦こそ快勝したものの，続く2戦目ではベテラン野中公人相手に痛恨のドロー。デビュー3戦目にしてランカーとの対戦というビッグチャンスを掴んだ植松だが，この試合でその真価が問われることになるだろう。

　少し固い表情で入場してきた大河内とは対照的に，植松はあくまでもリラックスした表情で試合開始を待つ。このあたりの試合度胸はとても20歳とは思えない。試合が始まっても，植松はこの冷静さをキープしたまま終始試合をリードしていく。大河内の蹴り足をすくってテイクダウンを奪うと，そのままサイドポジションに移行して十字固めを狙う。体を返して防御する大河内だが，植松はこれをがぶるとそのまま上から固めてパンチを落としていく。苦しい体勢の大河内はそのまま植松を持ち上げるが，植松は自分から前転してこれを難なくクリア。危なげない試合運びを見せる。スタミナの消耗が激しい大河内には苦しい展開が続くが，この日の植松はなかなか隙がない。

　2Ｒが始まっても植松の有利は変わらず，巧みに上を制して大河内にチャンスを握らせない。逆転を狙って植松の足を取りにいく大河内だが，植松はそのままがぶって大河内の頭を両足で挟むと一気に腹固めの体勢に。両腕のクラッチを離さない大河内に，上からパンチの雨を降らせる。ここでレフェリーが試合をストップ。TKOで植松が勝利を飾った。ランカーを下した植松は，この勝利でクラスAに昇格。いよいよ修斗のエースとしての道を歩み始めた。

（山崎和也）

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